第10話 GWはDIY 1

GWになり、DIYを始めることにした。

細かいところの修繕は3人の休みが重なった日にやっていたけれど、今回は大規模なところを改修していく。


「しかし、防音室とは」

「家でも楽器引きたくて、近所は知り合いばっかりだから今のままでも気にしないかもしれないけど一応揉め事は減らしておきたいから」

「いいじゃん!壁紙張って吸音材貼っていくんでしょ?私でもできる!」


今までの修理は電動ドライバーでやることが多かったけど、日向はなかなか使えるようにならず、私と高尾くんが殆どやっていた。

(ちなみに私の分の電動ドライバーはなにかに必要かと自腹で購入した)


「ボンドで固定もするけど、細い釘で見えないくらいに固定するから落ちてくることはないと思う。」

「全面にお願いしたからね。ありがとう」

「防音室は作ったことないからちょっとワクワクしてるんだ。机は通販で買ったやつ届いてるんだろ?」

「うん。机と棚は可愛いの欲しかったから大手通販サイトで買ったの。椅子は明日届く予定だよ」

「なら、今日は備え付けの棚みたいなやつ解体して壁紙貼るところまで?」


3人でワイワイしながら勧めていくのは楽しい。

二人はGW中、リビングの隣の和室に泊まり込むらしい。

ご飯は日向が作ってくれるというのでお任せだ。

夜になったらゲーム大会や映画を見たりすることになっているから!今からとても楽しみだ




「葵ー」

「どうした?」


壁紙を貼るのは高尾くんに任せて、出てきたゴミをまとめていると彼氏と一緒にいたはずの日向が寄ってきた。


「ほんとに防音室でいいの?」

「なんで?」

「なんか無理やりやりたいこと見つけろ〜みたいなこと言っちゃったから。今更だけど」

「まあ、びっくりはしたけど、いいきっかけだったんだよ。……私歌う事がすごく好きで、でも本気で向き合うのは親不孝かなぁって思ってやってなかったんだよね」


急に語りだしても!日向はちゃんと目をみてくれる。

こういうところが本当にいい子なんだよな。


「親が死んで、親孝行しようと思って就職先も安定したところって思ってたのが自由にできるようになったんだ。だからやりたいことやってみようかと思って」

「無理してない?」

「全然!むしろ今めっちゃ楽しい!」

「なら良かった!」


歌のレッスンはGW明けから、新しいバイトも5月末から始まる。

色んなところに遠慮して無難に生きていこうと思っていたから方向転換がすごいけれど。

それでも今の生き方のほうが前のときより呼吸がしやすく感じるのだ。

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今度は我慢せずやりたいこと、やってみます! まあく いと @riko-ito

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