【読了後の感想です】
若き才能がその情熱のすべてを注ぎ込んだ作品。
月並みではありますが、そんな表現がこの作品にはぴったりだと思います。
あらゆるミステリの要素を詰め込んで、なおかつそれらが分離することなく絶妙に絡み合って、ひとつの大きな犯罪絵巻を描いています。
大胆な物理トリックが目を引きますが、それだけに支えられた脆弱な作品ではありません。
ミステリのあらゆるテクニックを駆使して、大技小技を惜しげもなく繰り出しながら、読者を大いに楽しませてくれます。
まさに鬼気迫る力作であり、144,153文字で構築された作者の不敵な挑戦を受けてみてはいかかでしょうか。
といっても、読むのがシンドイといったような、作者のひとりよがりの文章ではありません。
キャラの書き分けが巧みで、リズム感のある文章と相まって、非常にリーダビリティが高い作品ですので、ご安心を。
遊び心に満ち溢れて、なおかつ精巧に作られたミステリ。
そんなミステリがお好きの方には、必読の力作だと思います‼
【第20話まで読了した時点での感想です】
「絶海の孤島」、「怪しげな館」、「連続殺人」、「そして誰もいなくなる」、「首切り殺人」といったキーワードで彩られ、クローズドサークル型のミステリーに真っ向から挑んだ作品です。
ストーリーは、被害者パートと捜査側パートが交互に描かれます。
その結果というべきか多数の人物が登場しますが、そのキャラの書き分けが巧みで、リズム感のある文章と相まって、非常にリーダビリティが高くグイグイとストーリーに引き込まれました。
さらに、謎も魅力的。
島にいた七人全員が首を地面に串刺しにされた状態で発見される、という結果は捜査側パートで初めから明らかにされてはいますが、なぜそうなったかという理由は被害者パートを読み進めても現時点ではまったくの不明で、謎は深まるばかりです。
2つのパートがどのように結びついていくのか、今後の展開に目が離せません!