第6話 神野 彩夏

5.5話SSを近況ノートにUPしてます。

https://kakuyomu.jp/users/amkze/news/16817330666905660731


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僕は、バイクに跨りアウトドアショップの駐車場から出ようとする。

入るときには気づかなかったが、駐車場の端にバイクが止まっているのに気付いた。

CBF250か、随分懐かしいバイクだな。

まあ、僕のVツインマグナも相当だけどね。

CBF250は2004年から2012年までの間に販売されていたバイクだ。

中古車ならまだ出回っていてもおかしくない。

Vツインマグナは、1994年から2007年までの間に販売されたバイク。

まあ、これも中古車っで購入した。

僕は、少しそのバイクを見てからアウトドアショップを後にしたのだった。



その日の夕方。

僕は、職場でコーヒーを飲みながら初心者向けのキャンプ雑誌を読んでいる。

アウトドアショップを出た僕は、イオンで雑誌を数冊買った。

それを持って、昼過ぎからずっと読書をしていたのだった。

iPhoneで音楽を聴いていた僕の耳に急に着信音が飛び込む。

僕は、スマホを確認した。

LINEの通知が増えている。

僕は、LINEを開く。

そこには、『神野 彩夏』の名前の横にチェックが付いていた。

彼女からのメッセージだったようだ。


『今日は、ありがとうございました。』とメッセージが来ていた。

僕は、すぐにメッセージを返すことにした。

『こちらこそ色々教えてくれてありがとう。

また、次の休みにでも伺おうかと思います。』と返した。

すぐに既読が付き、『是非是非。でも、こっちでもよかったら仲良くしてください。』と返信があった。

『勿論。僕でよければ』と返信をする。


「『ソウ』さん、顔凄いことになってますよ。

なんかいいことありました?」


フロア清掃に出ていた女性従業員にそう声を掛けられる。

僕、そんなににやけ顔になってたのか。

やばいな。


「ちょっとね」

「お、その反応は彼女で来たんですか?」

「…いや、まだそんなんじゃ」

ですか」


彼女は、嫌な笑みを浮かべて行ってしまった。

これは参った…明日の出勤が怖い。

広まりそうだな。

とりあえず、退散しよう。

僕は、荷物を纏め店を後にすることにした。


「んじゃあ、また明日」


レジにいる従業員に声をかけ店の扉を開けて外に出た。

あつっ、7月も半ばを過ぎたばかりなのにもう暑い。

僕は、駐輪場に停めてある愛車の元に向かう。

すると、ちょうどそこに昼間見たばかりのCBF250が入ってきた。

バイクには、ライダースハーフメッシュジャケットを着た女性が跨っている。

ジャケットはピンクで、ヘルメットはJETタイプのアイボリー。

シールドは、スモークが貼ってあるので顔は見ることは出来ない。


「あれ?眞道さん?」

「え、その声は神野さん?」


僕は、声でその人が神野さんだと気づいた。

思ったよりも僕は、彼女の事が気になっているようだ。

神野さんは、ヘルメットを外す。

パサッとヘルメットから髪の毛が下りてくる。

それを手櫛で直す。


「びっくりしました。まさか、すぐに眞道さんに会うなんて」

「あはは、そうだね」

「折角なので一緒にお茶しませんか?」


え、今さっき撒いた餌が消化されない内から新たな餌を投入するのか。

うーん、でも神野さんとはじっくりお話をしたいし。

僕は、もう一度店に戻ることを決心した。


「じゃあ、行きましょう」

「はい」


神野さんは、ジャケットを脱いでサイドバッグの中からカーディガンを出し入れ替えるように着替えた。

そして、ヘルメットをヘルメットロックに掛ける。


「眞道さんのバイクはVツインマグナなんだね」

「そうだよ、CBF250もカッコいいね」

「えへへ、ありがとう。

お父さんのお古なんだよ」


お店で会った時と違ってかなり砕けた喋り方だ。

なんだか、こっちの方が距離感としては好きだな。

まあ、客と店員じゃあ敬語は仕方ないよな。

それも、今朝までは初対面だったんだから。

僕らは、店内へと入る。


「こんにちは、ご来店ありがとうございます…あれ?『ソウ』さん」


レジにいたのは、さっきフロアで話しかけてきた女性従業員だった。

やべぇ、不敵な笑みを浮かべている。


「神野さん、良かったら好きな物頼んでよ」

「え?私、自分の分は払うよ」

「あー、社割利くから僕が払うよ」

「社割?」


神野さんが首を傾げる。

そう言えば、何の説明もしていなかった。


「ここ、僕が働いてる職場…」

「え!そうなの…えっと、じゃあ眞道さんのおススメで」

「あ、ダメだよ。お姉さん、この人のおススメはドリップとしか言わないから」

「いや、まあそうだけど…酷くない?」

「ドリップしか飲まない人の言うことは信じません」


僕は、基本ドリップコーヒーしか頼まない。

あんまり、牛乳が得意じゃないから。


「お姉さんには、私がお勧めしましょう。

『ソウ』さんが出すんですから普段は出来ないようなカスタマイズもしちゃいましょう」


それから、彼女のオススメで注文をして会計を済ませてドリンクを受け取ると客席に腰を掛けた。

ちょうど片側がソファで、もう片側が椅子の席が空いていたのでそこにした。

もちろん、僕は椅子だ。


「えっと、眞道さん。ありがとうございます」

「いえいえ、今朝のお礼だと思ってもらえたら」

「うふふ、そう言うことにしとこうかな。

まさか、眞道さんの御勤め先だとは思わなかったよ」

「あ、そうだ。良かったら、ソウって呼んでよ。

店の子達も大体そう呼んでるし」

「え…じゃあ…ソウくん」


神野さんは、照れくさそうに僕の名前を呼んだ。

その顔は、上気している。

あ、そうすると僕も呼び方を変えた方がいいよな。

えっと、「彩夏あやな」だから「アヤ」さんかな。


「うん、それで。じゃあ、僕はアヤさんって呼ぼうかな」


そう言った瞬間。ボフっと効果音が鳴りそうなほど一気に神野さん…アヤさんの顔が真っ赤になった。

「あぅあぅ」と小さな声で呟いてもいる。


「大丈夫?アヤさん」

「あ…はい、だいじょぶだいじょぶ」


大丈夫そうではないが…まあいいか。

なんだか、こうしてみると今朝のアヤさんとは違って見える。

ギャルぽい見た目だけど、とても凛としたカッコいい感じだったけどいまはすごく可愛らしい。

こっちがきっと素なんだろうな。


「…可愛いな」


僕は、すぐに口に手を当てる。

やばい、口から出てた。

アヤさんを見る…うん、顔が赤いな。

僕も相当ヤバいかも。

顔が熱い。


「ソウくんの持っているのってキャンプの本ですか?」

「うん、あの後イオンで何冊か買ったんだよ」


僕は、テーブルの上に買った本を広げた。








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