第7話 コーヒーとアウトドア

「ソウくんは、キャンプでやりたいことはある?」

「やりたいこと?」

「あはは、気付いてないんだね。

1人キャンプはすぐにやること終わっちゃうんだよ。

なにか、1つ目的を作ると楽しみが増えると思うよ」


僕は、ドリップコーヒーを口に含む。

うーん、やる事か。


「参考までにアヤさんはどんなことをするの?」

「私は、天体観測…かな」

「いいね、天体観測。

そう言う楽しみ方もあるのか」

「自然の中にいると人は自由だからね」


ズズズっとコーヒーを啜る。

コーヒーのテイスティングは、こうして啜ることに意味がある。

酸味やコク、風味をより感じる為の飲み方だ。

テイスティングか…。


「僕は、コーヒーを飲むよ」

「え?それだけ?」

「まあ、普通はそうだよね。

風景を眺め、風情を楽しむ…淹れた環境が違えば味も変わるかもと思ってね」

「…なるほど?」


あ、うん。流石に理解されないか。

もしかすると、僕だけの感性なのかもしれない。

まあ、よくお酒も月見酒とか風景を見ながら嗜むっていうしありだとは思うんだけど。


「じゃあ、ケトルは必須かな」

「確かにお湯はその場で沸かしたいね」

「焚き火台でお湯を沸かす方法とバーナーを使って沸かす方法とあるよ。

ガスコンロは、大きすぎるから今回はなしで」

「焚き火はしてみたいけど…焚き火台って必要なの?」

「えっと、キャンプ場によっては直火NGなところがあるから焚き火台はあった方がいいよ。

コンパクトな物もあるからバイクにも詰めるよ」


なるほど、直火NGなんてあるのか。

確かにそれなら必要だな。


「あとは、焚き火台は焚き火だけで。

料理は、バーナーを使うって方法…ちょっとその本良い?」


彼女が指さしたのはアイテムが一覧で載っている本だった。

僕は、アヤさんに手渡す。

彼女は、ペラペラと捲る。


「えっと、ソロ向けの焚き火台でもゴトクを置くと料理も作れるようになったりするよ。

あとは、シングルバーナーかな。

アウトドア缶やガスボンベを使って火を起こすの」

「へえ、なるほど…そうするとテーブルも欲しいんだね」

「うん、テーブルとチェアもかな」


おー、いろいろ欲しい物が増えていくな。

全部揃えるのにいくら掛かるかなぁ。

来月の給料の半分くらいは使い切るかもなぁ。

といっても、今まであんまり使ってこなかったから貯金はそれなりにあるけど。

バイク用品もある程度揃えると買う物もないからなぁ。


「テーブルはどんなものがいいの?」

「うーん、使う用途次第だけどローテーブルでも充分だよ。

チェアは、テーブルに合わせるのもいいけど2段階の高さに変えれるのがいいと思うよ」

「なるほど、うーん。どうしようかなぁ」

「料理をする場合は、もっと荷物が増えるからね」

「ああ、食器とか調理器具とかか…いずれするとしてご飯は花桃の里とかで食べてこようかな」

「それもありだと思うよ。最初のキャンプだから」


僕も雑誌をペラペラ捲っていく。

そして、あるページを見つける。


「スターターキット…」

「あ、そういえばそう言うのもあったね」

「これは、ありかも…今回使わないものもあるかもだけど」


ソロキャンプ専門サイトAND MYSELFと言うとこがあるらしい。

僕は、そこで頼んでみることにした。


「じゃあ決まってよかったよ。でも、聞きたいことがあればいつでも聞いてね」

「ありがとう、アヤさん」

「ううん、決まってよかったよ。

あ、そういえばいつ行くの?」

「えっと、7月末は無理だから8月1週目の土日かな」


7月20日頃の水曜日には新作が出るから8月頭なら休みが取れるはずだ。

それからは他愛のない話をして分かれるのだった。


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あんだけ長々と書いておいてスターターキットにするというね。

まもなく、序章も終わります。

次回、遂にソロキャンへ…。







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