第12話 縁
「ハナぁ〜。」
「何だ。」
「家族って何だろうね。」
「……同じ建物に住む集団の事だろ。」
「定義は分かってるんだけどさ。それならボク達も家族って事になるの?」
「拡大解釈すれば、そういう事になるな。」
「ふむぅん。……お姉ちゃん!」
「気色悪いからやめろ。」
「ボクの方が歳下じゃん。」
「今更妙な呼び方するなって言ってるんだ。」
「誰の事も家族だと思った事は無い。」
「そもそも親に当たるのがアレだからね。」
「お前の他には数えるくらいしか会えてない。」
「ボクもだよ。兄弟姉妹は何万人と居るはずなのにね。」
「自分の世界に引き篭ってるんだろ。オレ達と同じだ。」
「気の合う人と一緒だと良いね。」
「……ああ。人形相手は、寂しいからな。」
「ボクがお姉ちゃんになってあげよう。」
「歳下だろ。」
「昔の人は歳下の姉というのが好きだったそうだよ?」
「絶対極一部の人間の話だろ。嫌だよ、御先祖様がそんな奴等ばかりだったら。」
「勿論、ネットワークの片隅の話さ。前時代のね。」
「よくもまあ、数十億の人間を前に恥知らずな事を言えた物だ。」
「フッ、知らないなら教えてあげるよ。この程度は恥の内に入らない。」
「人間辞めたくなってきた。」
「何故ならもっと恥知らずな輩が跋扈していたからさ。」
「相対的な理由かよ。それは恥である事には変わらないだろ。」
「……お姉ちゃん。」
「うわ。すごい違和感。」
「何だよ。やれって言うから言ってやったのに。」
「妹感が無いよね。精々義理の妹が限界って所か。」
「知らないのか? 実の妹とは結婚出来ない。」
「おやおや。プロポーズかい?」
「な、何勘違いしてる訳? べ、別にお姉ちゃんの事なんて!」
「それは古に謳われるツンデレ! 妹キャラや幼馴染みキャラと相性が良いと言われる物だね!」
「お姉ちゃんの事なんて大好きなんだからね!」
「成る程、そう来たか。」
「姉妹って感じじゃあないだろ。」
「じゃあさ、ボク達の関係って何?」
「……一番近いのは、仲間だと思う。」
「友達だとも思ってるよ。」
「傷を舐め合う仲。」
「共依存は、ちょっと違うかな。」
「ああ。でも依存し合ってる。」
「自覚があるだけマシ?」
「どうしようもないとも言える。」
「まあね。ちなみに恋人とかはどう?」
「はっ。そんな壊れ易い関係なんて真っ平だ。」
「だよね〜。」
「どっちかと言えば熟年夫婦の方が近いだろ。」
「……こぉのぉ〜!」
「叩くな。何だよ、急に。」
仮想退廃アイディール 清水悠生 @haruki_s
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