第39話 放課後の他愛ない話からの死刑宣告
巻き添えを文字通り食らわせる罪悪感から、どうしても仁に優しくしてしまう俺がいる……そんな居心地の悪い1日を過ごした放課後。
「羅怜央くんよ?」
「気持ち悪いな……何だよ仁くん」
「なんかお前さ……俺に隠し事があるだろ?」
ギクッ……チッ相変わらず勘のいいやつだな。
「何の事だ?」
ダメ元で惚けてみようか。
「今日はなんかいろいろ変なんだよお前、妙に優しいと言うか後ろ暗い事があってそれを隠してると言うか」
「そうか?普段からこんなもんだろ?」
「バカヤロ、普段俺に対してどれだけ辛辣か……」
失礼な!誰に対しても謙虚で優しいと一部で有名なこの羅怜央くんをつかまえて辛辣だと?
「思うに明日お前ん家に行くと良くない事が起きそうな気がするんだが?」
ホントに勘のいいやつだな……仕方ない、ここは少し情報を開示して安心させてやるか。
「そうそう、隠し事ってわけでもないけど明日の昼飯をいよなが作ってくれるってさ」
「へ〜安里さんって料理出来たんだ。ん?なんか前に沙織から安里さんは料理が苦手って聞いたような?」
よし、食いついたな、ここでしゃくってやる。
「そうなんだ料理好きのくせに料理下手なんだよアイツ、だからお前と沙織さんには悪いけど練習台になってやってくれないか?」
「あ〜そういう事ね、そういう事なら安里さんの為にも謹んでお受け致しますよ」
よし、フィッシュ!チョロいやつ……
「なんの話してんのぉ?」
仁を釣っていたら後から声がした。
声の主は死神……じゃなかった、いよなさんでした。
「明日お前が昼飯作ってくれるって話をだな」
「羅怜央から聞いたんだよ、なんでも料理が好きなんだってね?明日はご馳走になるね」
「うん、ラーくん達以外に料理を振る舞うのは初めてだから緊張しちゃうけどぉ、腕によりをかけるから楽しみにしててねぇ♡」
「おお、そりゃあ楽しみだな!」
「期待してくれてイイよぉ!」
「グワッハッハハッハッハッーー!ワーハッハッハーー!」
何気にフェミニストな仁が、俺からいよなの料理下手を聞いた上で楽しみにしてる旨をいよなに伝えている。
やべぇコイツもしかしていい奴だな?そんないい奴な仁を道連れにすることに対して、罪悪感が半端ない……だが、もう戻れないんだ……賽は投げられたんだから……投げた奴が言うこっちゃないけどね!この胸に去来する罪悪感はとりあえず笑って誤魔化そう!
俺は悪くないったら悪くない!
「ん?なにいきなり馬鹿笑いしてんだ羅怜央?持病の発作か?」
「ラーくんはラーくんだから時々ラーくんになるのは仕方ないけどぉ、いきなりラーくんされるとこっちも困っちゃうから自重してね?」
ふたり共その可哀想な物を見る目はやめなさい!どっちかっつうとお前等のほうが可哀想なんだからな?特に仁!
あといよなさん?ラーくんされるとってどういう意味ですか?
「なんだか羅怜央くん楽しそうだね〜どしたの?」
隣のクラスから沙織さんがやって来た、珍しいことではないな最近はいつも一緒に帰ってるし。ちなみに昼休みにこないだの謝罪は終わらせてる。あと、今の俺は楽しい訳では無いよ?
「いやなんか知らんけど急にバカ笑い始めたんだ、あまり近づくなよ?何か変なのが移りそうだし」
「ラーくんたまにイミフなことするけどぉ見捨てないであげてね?悪い子じゃないんだよ?」
「お前等黙って聞いてたら大概だな……」
「あっラーくんが正気に戻ったぁ、ダメだよいきなりラーくんしたらこっちが困っちゃうからぁ」
ラーくんを乱心みたいな言い方するな!
「じゃあ羅怜央も正気に戻ったし、沙織も来たしボチボチ帰ろうぜ?」
俺の奇行はスルーして帰宅を促す仁。そこで沙織さんからお誘いが来た。
「明日は勉強会だし遊べないから……遊ばないよね?まぁ良いや……遊べないからどうせならどっか寄って遊んで帰らない?」
「それもいいな、カラオケでも行こうぜ」
「あぁそうだなたまには良いだろ」
沙織さんの提案に俺も仁も乗り気になっていると、
「あん、ごめんネあたしちょっとこれから用事があるんだぁ」
「なんだ、珍しいな」
「うんちょっと買い物に行きたいのぉ」
「それなら私達も付き合うよ〜?男どもに荷物持ちの大役を仰せ付けるよ!」
遊びに行くのは中止らしいな。そんで荷物持ちっと。
「ありがとう〜、けどちょっと遠くのお店まで行かなきゃだし、大した荷物でもないからいいよ」
「そう?私だけでも付き合おうか?」
「あっそれは嬉しいかもぉ。お願いしていい?」
どうやら女子ふたりはお買い物みたいだな……ならヤローだけでカラオケ行くか?と思っていたら、
「男ふたりでカラオケ行っても悲しいだけだから今日はやめとこうぜ」
仁は行く気が削がれたみたいだな。まぁいいや……
「オッケーじゃあ俺たちは帰ろうか。それでホントに俺たちは行かなくていいのか?」
「うん大丈夫だよぉ」
「そうか気を付けて行って来いよ。てか、なに買いに行くんだ?」
「ちょっと近所では買えない食材を買うんだぁ」
「ん?どういうこと?いよなちゃん料理するの?」
沙織さんの疑問に仁が説明してるが耳に入ってこない……なんか不穏な言葉を聞いた気がした……
「へぇ〜いよなちゃんが御飯作ってくれるんだ〜」
「うん!あたしの得意料理なんだ♡」
ん?今なんて?得意料……ハハハいやいや聞き間違いだよな?得意料理とか言ってないよな?
「ホウホウなんて料理?」
ちょっ待てよ!聞くな仁!いよなも言うな!
「子羊のエストラゴン風味っていうの♡」
「おぉ~なんか強そうに名前だね」
あっ……俺等死んだわ……
幼馴染のチャラ男に幼馴染の彼女を寝取られたがもう1人のあざとい幼馴染と恋人になって幸せになるかもしれない? ごっつぁんゴール @toy1973
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。幼馴染のチャラ男に幼馴染の彼女を寝取られたがもう1人のあざとい幼馴染と恋人になって幸せになるかもしれない?の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます