異世界ファッションチェックガール(?)

@Kanae_1107

プロローグ

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1925年  フランス  パリ

  その日を境にファッション界の常識は大きく変化した。これまでの当たり前だった大きなフリルが付き、様々な装飾品に囲まれる動きにくいドレス。

女性たちはドレスから自由となり新たなファッションの秩序『モード』が生まれたのだ。この世に新たな秩序をもたらしたのは新生ブランド、『ブルゴーニュ』のデザイナー、そう彼の名は...!!




「 ちょっと‼あたしのことを、‘彼’だなんて呼ばないで頂戴。そう、このあたしこそがブルゴーニュのデザイナーであり現代ファッションのパイオニア、ガブリエル・シャロンよ!!

 


 てやだ、もうこんな時間だワ。早くしないとショーに遅れちゃうじゃない。」 




そうこの彼女(?)こそが稀代の天才、ガブリエル・シャロンなのだ。





                  ◇ ◇ ◇









まるで女のように見えるこの美しい男は急いでいた。カラスのような漆黒と白鳥のような純白が混ぜあった髪を乱しながら、街を歩く人々が例外なく振り返る美しい顔を紅く染め、息を乱しながら、彼女(?)は走っていた。それもそのはず、今日は彼女にとって長年の夢が叶う大切な日だからだ。この日のために艶やかな髪にはヘアミルク、ヘアオイル、美しい顔にはきらきらと輝くラメが入ったオイルに、金色のアイシャドウ、鋭くひかれたアイラインに、見るものすべてを誘惑する紅い唇...。




それはもう美しかった。アフロディテが生きるのであれば彼女であろうとすべての人が考えるそんな美しい最高の女。



それは神さえも誘惑してしまう、極上の美しさ。だから、その、つまり、まあ、仕方のないことだった。彼女の才能を異世界の神が欲してしまうのも。






「今日のために、あんだけ準備したのよ、あたしは。間に合わなかったら、失神するワ。」



ガブリエル、それはいけない。そういうのは我々の世界ではこう呼ぶのだ。


フラグと。





                  ◇ ◇ ◇






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