エピローグ - シェルター病

 最後に、僕の世界における「social talk」の話をして終わるとするよ。

「Social Negativists Shelter」といって体験型VRみたいに、別世界を体感できる装置になってるんだ。結構良く作られていて、風が吹いたら感じるし、温度も伝わるし、匂いまでする。ホント、そこに居るみたいに感じるんだよ。羨ましいかい?まあでも、どんなにリアルだとしても、本質的に良いものじゃないってことは、さっきの話で分かったよね。普段は頭文字を取った呼び方をするんだけど、ここではシェルターって呼ぶことにするよ。

 シェルターは政府が用意した(言葉を選ばずに言えば)現実逃避装置なんだ。そうでもしないと、まともに生きていけない社会ってことなんだけど、そんな真実からも逃げたいぐらい退屈だし、不満に思う人は少ないみたい。というか、僕みたいに長くこもり続けないと、シェルターの嫌な部分は見つからないだろうからね。

 因みに、シェルターにこもり続けた人は「シェルター病」になって、みーんなうわそらになっちゃうんだ。世間では『別世界に酔いどれ過ぎたからだ。』って言われてるけど、今なら分かる。シラけちゃったんだよ。僕と同じようにね。この世のナニからナニまで、全てにシラけたんだ。僕もシェルター病になる一歩手前って感じだし、もう使わないようにするよ。


 さて、お別れの時間だ。

 僕がここに帰ってくることは無いだろうけど、このまま僕の世界を覗いてくれててもいいよ。どうせ退屈なんだろうしさ。くれぐれも、シェルター病にはならないように、気をつけてね。










 P.S.察しの良い人なら気付いているだろうけど、「シェルター」って文字を僕の世界通り、頭文字に入れ替えて読んじゃダメだよ。シラけちゃうからね。

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Shelter social talk @socialtalk369

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