後から考えるとちょっと怖かったお話

川埜榮娜

不思議な体験

 どうもこんにちは〜。筋肉が出てくる小説を書いていたら、余計に筋肉が好きになった川埜榮娜かわのさかなです。


 今回は、後から考えるとちょっと怖かったお話を書いてみようと思い、筆を執りました。(残念ですが今回はマッチョは全く出てこない……あぁっ! そこのあなたっ! 引き返さないでーっ!)


 そして実話ノンフィクションです。コメディ要素も、ギャグも、筋肉も、オチもありませんが、どうぞ最後までお付き合い下さい。



***



 私には姉がいて、小学生の時は二段ベッドで一緒に寝ていたのですが、ある日の夜中、父の机が置いてある隣の部屋から、引き出しを開け閉めする音が聞こえて目が覚めました。

 その机は、学校の職員室の机タイプだったので、ガラガラ~バンッ! みたいな音が出て、結構うるさかったのですが、誰も起きてくる様子もなく、すぐ音はしなくなったので、


(何やったんやろ? お父さん何か物でも取りに来たんかな?)


 と思いながらも、すぐ寝てしまいました。

 そして、単純なお子様だった私は、その事はすぐに忘れてしまいました。


 更に月日が経ち、とある真冬の夜中に目が覚めました。今度は音ではなく光です。

 当時、二段ベッドの頭の方に勉強机があったのですが、その机の電気が点いていたのです。机と二段ベッドの間には、荷物をかけたりする為に、突っ張り棒タイプのメッシュのパーテーションがあって、冬は寒いのでそこに薄手の毛布をかけていたのですが、そこから光が漏れて眩しいと感じ、目が覚めたのでした。


(あれ? お姉ちゃんが机で何かしてるんかな? 眩しいなぁ)


 と思いながらも、またすぐ寝てしまいました。

 そして今回は、起きてからもよく覚えていたので、すぐ姉に聞いてみると。


「お姉ちゃん、昨日私が寝てから机で何かしてたん? 眩しかったでー」


「えっ? 一緒に寝てから朝まで起きてないで? ていうか、こないだ榮娜さかなが夜中に机の電気点けてたやろ? 眩しかったで」


 という返事が……。今思えば二人して同じ体験をしていた、とってもおかしな事なのですが、その時はお互い『気の所為せいやったんかなー?』 という事で話が終わりました。


 この後、また何回か光で目が覚めましたが、寒いし眠たいので机を確認することも無く、特に怖くもなかったので放置していたら、いつの間にか不思議な現象はおさまり、それからは何事もなく、私は18歳になっていました。


 その頃、車の免許を取ったばかりで浮かれていた私は、当時付き合っていた彼氏と、夜のドライブデートをしていました。

 人通りが少ない場所に路駐して、取り留めのない話をしたり、イチャイチャしたりしていました。


 その日は、土手のような場所の横に車を停めて話をしていたのですが、彼の方を見ると窓の向こうの土手の上に影が見えました。


 あれ? と思ってよく見ると、暗いのですが何故かその影が人の頭だと分かりました。

 暗いし覗きかな? と思いながらも見ていると、不自然に回転してスーッと消えたのです。


 その瞬間、ゾッと寒気がして、彼氏に速攻で『帰ろう!』 と言うと『何で?』 と問われたので『覗かれてる!』 と反射的に返しました。


 覗きよりも、その影の動きが気持ち悪くて寒気がしていたのですが、咄嗟に言えずその場から離れ、落ち着いてからやっと話ができました。

 しかし彼氏には、暗かったし気の所為ちゃう? と言われ、そうかなぁ? と思いつつもその日は帰宅しました。


「ただいまー」


「あれ? 榮娜さかなさっき帰ってきてなかった?」


 帰宅して早々、母と姉にそう言われました。


「えっ? 今帰ってきたんやけど? なんで?」


「玄関の方で、榮娜さかなの咳払いが聞こえたから帰ってきたんかと思ってんけど」


「??? いや、今帰ってきたばっかりやけど?」


 と言いながら部屋へ入ろうとすると、飼い猫ちゃんがテトテトと寄って来ました。


 この飼い猫ちゃんは、私の部屋が好きなのか、私のことが好きなのか、どちらかはわかりませんが、私が帰って来ると一緒に部屋に来る、可愛い可愛い猫ちゃんなのです。


 いつも通り私が先に部屋に入り、飼い猫ちゃんの方を見ると……。


「フーッッッ!!!!」


 毛を逆立てて、部屋の入り口から室内を見ているではありませんか。


 温和で怒ったことがない飼い猫ちゃんの様子に、先程の影を思い出し、またもやゾッとした私は、気持ち悪くて部屋を出ました。

 部屋を出てからも室内を見て威嚇する飼い猫ちゃん。


 母と姉も困惑しながら、飼い猫ちゃんを見守っていました。


 暫くして、飼い猫ちゃんが威嚇をやめ、普段通りの可愛い様子に戻り、私の寒気もおさまりました。

 

 そして私は二人に先程の影の話をしました。母と姉も私の咳払いが聞こえた話をして、3人とも幽霊は信じていないのですが、これはおかしいという事になり、色々話していたら、小学校時代の私達の不思議現象の話になりました。


 すると母が、何か気づいたような表情になりました。


「もしかしたら……水子? かな? 最近供養行ってなかったわ。あんたらが小学生の頃、その不思議な現象を体験してた時も忘れてて、思い出して行った頃やと思うわ」


 それまで知らなかったのですが、姉の前に一人、姉と私の間にも一人流産していたそうです。

 数日後、母が供養に行ったおかげなのか、飼い猫ちゃんの威嚇のおかげだったのかは分かりませんが、それからは不思議現象はありません。


 ……そういえば、18歳のあの不思議現象の後、その彼の運転中に事故りました。(人間は無傷だったけど車は廃車)

 その前にも、彼氏の無謀な運転で事故りかけたことが何度かあったし、ドライブ中に眠気が来て山で仮眠したら、気持ち悪い変な声を聞いて悪寒で起きたり、この不思議現象が起こったり、悪い事続きだったので、もしかしたら、その時の彼氏が何か悪いものを引き寄せる体質だったのかも……?

 あの日は、それを飼い猫ちゃんが、たまたま威嚇して追い返してくれたのかも?


 ちなみにその彼氏は、別れた後大病を患ったそうです。一応治ったそうですが、こうやって思い返すと何かに憑かれていたのか? と霊を信じていなくても勘繰りたくなりますね。


 因みに、幼少期の不思議現象の時は、寒気も恐怖も何も無かったので、兄姉の霊だったのか……生まれてこられなかった兄姉達が、自分も勉強がしたくて出てきてしまったのか、実は夢を見ていただけだったのか、今でも謎です。


 とうことで、後から考えると少し怖かったお話でした。最後までお読みくださりありがとうございました。

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後から考えるとちょっと怖かったお話 川埜榮娜 @sa-ka-na

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