最終話 誕生日に百合カップルに挟まれても許されるよね

今日はわたしの誕生日当日。

学校に行く前にお母さんから「お金を上げるから好きな物を買ってね」と言われて

お金をもらった。

お母さんには夕と温海と寄り道をするから遅くなるけど、お父さんが帰るぐらい帰ると伝えておいた。

お父さんは大体20時に帰ってくるから、19時過ぎには帰宅する予定で学校にむった。


教室に着くとわたしの席で温海が待ち構えていた。


「おはよう、温海」

「おはよう。今日、文乃の誕生日でしょ、受け取りなさいよ」


温海は照れながらプレゼンを差し出したけど、喜んで受け取る。


「ありがとう、温海。温海からの初めてのプレゼントだから家宝にするよ」

「全く大袈裟な。大したものじゃないわよ」

「何度も言うけど、温海から貰えるものは何でも嬉しいよ」


わたしはニコニコしながら温海からのプレゼントを受け取るけど、それを見てた

夕が包みもってこちらへ来た。


「おはよう、文乃ちゃん。これ、わたしのプレゼント~」

「ありがとう、夕。夕からの初めてのプレゼントも家宝にするよ」

「末代まで大事にしてね~」


夕は温海と違って、わたしに乗ってくれるけど家宝にすると自分で

言っておきながら、末代まで大事にするのは違うかもって思ってしまった。

でも、夕からのプレゼントも温海のプレゼント同様に大事にする。


「開けるのは放課後か帰ってからにするけど、放課後もどこか寄り道してこうね」

「元からそのつもりだったわよ。でも、夕飯の事を考えとあまり食べたりは出来ないわ」

「2人が一緒にいてくれればいいよ」

「言われなくてもそのつもりよ。それに夕が言っちゃったから気づいてると思うけど……」


温海は周りを見て、耳も元で小声で


「あれもあたしと夕のプレゼントだからね……」


と囁いたけど、朝からこれはたまらないですよ、温海さん。

温海のツンデレをみるだけでも、朝からでもご飯3杯行けるのに

こんな事されたら、鼻血がでるぐらい興奮しますよ。

ああもう、学校でなければ夕の目で前であっても、押し倒したいぐらい。

もっとも、そんな事はしないし、多分したら温海の方が恥ずかしさでどうかなりそだし。


「ええ、わかっておます温海さん……いえ、温海様」

「温海様って……大袈裟ね」


温海はこうはいうけど、頬を赤くして照れている。

行っている本人も照れてはいるんだろな。


「そろそろ先生が来るから席に戻るわよ」

「それじゃ、放課後を楽しみにしてるよ」


温海が席に戻るけど、今から放課後が楽しみだな。



―—そして放課後


放課後になるとすぐ、3人で学校を出た。

今は16時過ぎだけど、19時には家に帰らないといけない。

なので、2時間ぐらいしか時間がないけど、2時間は長いようで短い。



「今からどこに行こうか」

「時間がありそうでないから悩むわね」

「いつみたく、どこかお店に行っておしゃべりするのもいいなか~」

「それもいいけど、お店に行くと何か食べてお腹いっぱいになるからどうしよう」

「かといって、行く所は特にないでしょ」

「そうだけどね。あと、ケーキを買って帰るけど、買う予定のお店が19時に

閉まるからそんなにのんびりできないかな」


ケーキを買う予定のお店は駅から家の帰り道の途中にある洋菓子店。

60年ぐらい続いて、家の近くの洋菓子店としては古いお店。


「それじゃ、余計寄り道は出来ないでしょ」

「そうだけど、2人と一緒に居たいんだよね」

「それなら~、文乃ちゃんの家にいけばいいんだ~」


夕がこういうけど、確かにそれがいいかも。

時間の関係もあって家に呼ばないって言ったけど、どこかによるにも

いっそのこと家に来た方がいいか。


「夕、文乃の家に行かないから、どこかに行こうとしてるんでしょ」

「そうだったよね~」

「いや、それでいいかも。わたしの家に行こよ」

「え、いいの?」

「行く所を考えて時間を潰すだったら、わたしの家に来てもらうのが早いしね」

「文乃がそういうならいいかな……」

「わたしも文乃ちゃんいいなら行く~」


こうして、わたしの家に2人が来る事になったけど、これだったら最初から

家に呼んでも良かったかもしないけど、悩んで時間を無駄にするよりはいいかな。


「それじゃ~、駅までこうしよね~」


夕がわたしの腕を組んできたけど、腕を組むと夕の大きな胸がどうしても当たる。

自然にやってると思うけど、わたしも合法的に胸に触れらるから構わないよ。

そして、温海も顔を赤くしながら腕を組んできた。


「こ、これはプレゼントだからね。普段はこんな事しないんだからね」


温海は相変わらずテンプレのツンデレだな。

でも、今日も合法的に百合に挟まれので素直に喜ぶ。


 2人に挟まれて駅へ向かうけど……通り過ぎる人が皆見てくる。

百合に挟まれて喜んでたけど、制服で女の子が両手に女の子と腕を組んでたら皆見るよね。

というか、わたしだったらガン見するし、写真と動画をとるよ。


「やっぱり、恥ずかしいかも」

「流石の文乃もこれは恥ずかしいのね」


温海も顔を赤くしてるけど、一番恥ずかしがってるのは温海みたい。


「流石に人通りが多い所だとね。だから、組むのをやめてまた家で頼むね」

「わかったわ」

「わたしはもっとこうして居たいけどね~」


夕はそう言ってさらにわたしにくっついて来たけど、夕さん腕が胸に挟まってますよ。

制服の上でもおっぱいに腕が挟まるから、夕の胸はすごいなぁ。


「夕、嬉しいけどまた後でね」

「うん、わかったよ~」


夕はそう言って腕を組むのをやめたけど、本音を言えばもっと組んでいたかったけどね。


********


家の最寄り駅に着き家へ向かう。

その前に洋菓子屋さんでケーキを買っていくけど、もちろん2人の分も買ってあげる。


「文乃の誕生日なのに、本当にあたしたちの分もいいの?」

「これはもてなしだから気にしない。それに、温海の誕生日の時にもっとおごってもらったし」

「そうだったわね」

「わたしは何もできなかったけどね~」

「夕も気にしないで隙なのを選んでよ」

「ありがとね~」


夕と温海は自分が好きなものを選んだけど、1つと言わず2つでも3つでも

と言ったけど、夕も温海も流石にそこまではと言って事で1つにした。

あと、自分の分はホールケーキを購入した。


 家に着いたけど、時間的にお母さんはまだ帰ってない。

わたしはお茶とケーキを出すため、夕と温海はわたしの部屋に行ってもらった。

今は17時過ぎだけど、あと1時間もすればお母さんも帰ってくるかな。

紅茶を淹れて部屋に持って行こうとしたら、チャイムが鳴ったので

何かと思えばわたし宛の荷物が届いた。

家に誰もいなかったから、早く帰って来て正解だったかな。

荷物を受け取って荷物の宛名をみると、夕と温海で

結構大きなものだけど……もしかして、これもプレゼントなんだ。


「学校でくれた物だけ良かったのにな」


わたしはつぶやくけど、先にお茶とケーキを持って行く。


「2人ともお待たせ」


テーブルに紅茶とケーキを置くと、2人がわたしの横に寄って来た。


「文乃ちゃんの家なら、気にしなくていいよね~」


夕は腕を組むだけでなく、胸も押し当ててくるけど……夕さん、わざとですか?

そして、温海も同じ様にしてくるけど……これ以上は言わない。


「2人とも嬉しいけど、先にケーキを食べてよ」

「でも、あたしと夕の分しかないわよ」

「わたしは今はお茶だけでいいよ。それに、2人に挟まれてお腹いっぱいだし」

「それならいいけど」

「あと、2人からの荷物も届いたから、部屋に持ってこないとね」


わたしが荷物を取りに行くため立ち上がると、温海はしまったって顔をしてるけど

どうやら、驚かすために黙ってたらしい。

わたしとしてはそこまで気にしなくてもって思うけどね。


 玄関に置いて置いた荷物を部屋に持って来たけど、サイズの割には軽いかな。


「学校で貰った分だけじゃなくて、さらに貰って悪いよ」

「あたしと夕があげたかったんだから、素直に受け取りなさい」

「もちろん、ちゃんともらうけどね。開けてもいい?」

「ええ、いいわよ」

「うん、開けてね~」


箱を開けると、色違いの同じ長いクッションだった。

クッションは会った方がいいかなって思ったけど、長いクッションなので

これならば、横にもなれていいかな。


「2人ともありがとうね」

「これぐらいいいわよ」

「わたしもゲーミングチェアーを貰ったからね~」

「それじゃ早速使おうかな」


わたしが早速クッションを敷くけど、ふかふかして厚みがあってこれは気持ちいいな。


「うーん、これはいいな。多分、このまま寝れる」

「寝ちゃだめでしょ」

「なんなら、3人で川の字で寝ようよ。わたしが真ん中で」

「2つしかないんだから、無理でしょ」

「温海はわたしと1つのクッションでいいよ」

「な、ないいってんのよ……」


温海はまた顔を赤くしてるけど、深い意味はないけどね。

温海って性的な事に弱いと言いつつも、いろいろ想像してむっつりだよね。


「そうえば、学校で貰ったのも開けていいよね」

「もちろんよ」

「大したものじゃないけどね~」


温海から貰った物を開封すると、シルクのハンカチ。

そして、夕のプレゼントはボールペンだったけど、見た目からして高そう。


「2人ともありがとう。結構高いんじゃないの?」

「そこまでじゃないから気にしなくてもいいわよ」

「普段使いできるものだから気にしないで~」


2人はそう言うけど……絶対高い奴だよ。

ボールペンはまだいいけど、シルクのハンカチなんてわたしには使えないかな。


「ありがとう、大事にするね」

「ちゃんとか家宝にしなさいよ」

「そうだったね、忘れてた」


嬉しさにあまりに、素直に喜んだけど2人からの大切なプレゼントだから大事にするよ。


 プレゼントを開封した後は特に何をする訳でもなく、何時もどおりのおしゃべりをするだけ。

ただ、何時ものと違うのは夕と温海に挟まれている事。

百合カップルに挟まれて両手に花だけど、わたしが百合の間に入った訳じゃないよ。

何度も言うけど、例え女の子でも百合に挟まるのはご法度。

でも、夕と温海からしてきたし、誕生日プレゼンとだからね。


 ただ、夕は時々胸を押し当ててくるけど、無意識なのか故意なのかはわからない。

くっつたら夕の胸が当たるのは仕方がないけど、当たるというよりも押し付けてる感じだからね。

でも、夕は気にしてないし、わたしも嬉しいから何も言わないけどね。


 温海は頬を赤らめながら腕にしがみついてるけど、こっちはこっちでかわいい。

夕みたく当たる物はないけど、照れながら一生懸命何かしてあげるのがいいよね。

学校では耳元での照れデレがあったし、温海は油断した時にかわいさを出してくる。

普段はツン多めだけど、人前だと照れと恥ずかしでツンモードだけど

3人だけになると、デレになるから本当にツンデレだなぁ。


「ただいま……文乃、夕ちゃんと温海ちゃんが来てるの?」


わたしが2人に挟まれて、ニヤニヤしてたらお母さんが帰って来た。

お母さんの声を聞いたら、2人はささっと離れたけどわたしもお母さんに

2人に挟まれる姿を見られるのは流石に恥ずかしい。


「うん、そうだよ」


わたしは部屋のふすまを開けて、顔を出してお母さんにそういう。


「今日は来ないんじゃなかったの?」

「当初はそうだったけど、どこかに寄り道するよりは家の方がいいかなって思ったから」

「そうわかったわ。夕ちゃん、温海ちゃん、いらっしゃい」

「お邪魔します」

「おじゃましてます~」


2人がお母さんに挨拶をすると、夕飯をどすするか聞いて来たけど時間的に帰る事にした。


「もう18時30分なので、そろそろ帰ります」

「わたしも、そろそろ帰ります~」

「あらそうなの」

「文乃さんからケーキをいただきましたので」

「ケーキはおいしかったです~」

「学校帰りだから、仕方がないわね。文乃、駅まで送ってあげてね」

「うん、わかった」


わたしは制服のままだったかけど、服を着替えて2人を駅まで送っていく。


「お邪魔しました」

「おじゃましました~」

「夕ちゃん。温海ちゃん、また遊びに来てね」

「はい、わかりました」

「また来ます~」


2人はお母さんに挨拶をすると、2人を駅まで送っていく。

駅までの道も夕と温海と腕を組みながら帰るけど、やっぱり百合に挟まるのはいいなぁ。


「それじゃまた、学校でね」

「そうね、また学校で」

「また明日ね~」


駅の改札で2人を見送って、家に戻ると2人から貰ったクッションを寝っ転がる。

夕が座ってた辺りに顔があるけど、少し温もりがあって何かいい香りもする。

思わず顔をうずめるけど……変な意味はないよ?くんかくんか。


 2人からの初めてのプレゼントを貰ったけど、どのプレゼントも大事にする。

あと、2人の間に挟まったけど、これはあくまでも誕生日プレゼントで

2人から挟まって来たから、百合カップルに挟まっても許される事だよね?

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誕生日に百合カップルにはさまれるのは許されますか? しいず @shiizuu

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