第6話 プレゼントなので百合にはさまれます

食事をした後、駅前へ戻る前にアニメに出てきた場所へ行く。

その場所は港ある大型水門で、その上は展望台になっている。


「天気もいいし、アニメにもでて来てるから上ってみようよ」

「え、あそこに上るの?」


温海は上を見てそう言うけど、まさか高い所が苦手なの?


「温海って高い所が苦手なの?」

「苦手と言えば苦手だけど、苦手じゃないと言え苦手てじゃないわよ」


どっちだかわからない言い方をしてるけど、きっと苦手なんだろうな。


「大丈夫だって、周りは囲まれているし怖くないよ」

「こ、怖いなんていってないわよ。もう14時過ぎだし、すぐ暗くなるから行くわよ」


温海はそういって展望台に向かうけど、きっと強がってる。


「夕、温海って高い所苦手なの?」

「どうなんだろう~高い所って行った事ないから~」


確かに、高い所に行く事はないか。

最近は高いビルも出来たけど、上部はマンションやオフィスだから

わたしたちが入れる所じゃないからないからね。


「ちょっと、文乃も早く来なさいよ。文乃のための日でしょ」


先に行った温海がこう言うけど、今日はわたしのための日だったから

温海が先に行ったら意味がないか。


「そうだね、すぐに行くよ」


わたしと夕は温海の元へに行き、3人で展望台のエレベータに乗ったのであった。


 港にある水門は想定される津波対策のための大型水門。

その上部は展望台になっており、さっきも言ったけどこの展望台はアニメにも登場しっている。

展望台からは目の前の湾を一望できるほか、海を挟んで山々を見る事ができる。

その反対側は市街地とその後ろの山々を見る事が出来て、眺めが良い所。


「今日は天気がいいから、海と山が綺麗だね」

「そうだね~山の上に雪が積もってるし、綺麗だよね~」


わたしと夕が景色を眺めているが、温海はベンチに座っている。


「温海も見なよ、綺麗だよ」

「わ、わたしは疲れたから休んでるの。それに、ここからでも見えるから」


確かに、ベンチからも景色は見えるけど、展望台は屋内だから下を見なけれ大丈夫なのに。


「温海って高い所が苦手なの?」


わたしがまた聞いてみると、温海は


「だから、苦手と言えば苦手だし、苦手じゃないといえば苦手じゃないのよ」


とまた同じ事を言うけど、結局のところ苦手なんだろうな。


「苦手なら苦手で言えばえばいいのに」

「べ、別にいいでしょ、苦手かどうかなんて」

「だって、せっかく100円だして上て来たんだから少しは景色を見なよ」

「け、景色は十分見えてるわよ」

「見るなら、もっとガラスの近くで見ようよ」

「別にいいわよ。夕と一緒に見てよ」


からかい半分であるが、わたしも一緒に景色をみたいけど温海は頑なに動かない。

何時もならもっと強引にするけど、周りに他に人がいるし今日はわたしのために

付き合ってもらってるから、変に雰囲気を悪くするのも嫌だかられ以上はやめておく。

ただ、少しでいいから温海と一緒に景色を見たかったかな。

あと、アニメに出て来た場所でもあるけど、写真を撮るには人が多かったので諦めた。


 展望台を下りると、この時期の日没は早くてもう夕日になっていた。

温海は展望台から降りてほっとしてる様子であったけど、やはり苦手だったようだ。

わたしのために付き合ってくれたと思うけど、半分は温海自身のプライドかな。

でも、苦手でもこうして付き合ってくれるのは温海のいい所。


 港から駅前へ戻るけど、ちょうどバスが来る時間だったののでバスで駅まで戻る。

バスの中では最後尾のシートで夕と温海に挟まれてるけど、これが会った時に言ってた

「わたしたちがプレゼント」の意味であったけど、2人は口にだして言ってはいない。

何時もは夕と温海がイチャイチャするのも見るためでもあるけど、わたしは2人の間絶対にに入らない。

百合の間に挟まるのは例え女の子であってもご法度なのである。

ただ、2人に無理やりこうやって座らされたけど仕方がないよね。

それに、プレゼントだからちゃんと受け取らないといけないしね。


「ところで文乃、あたしたちのプレゼントなら何でもいいよね?」


温海が聞いて来たけど今まさに貰っているけど、これは今の状況でなくてわたしへの贈り物の事。

わたしとしては2人から貰えれば駄菓子でも構わないぐらい。

もっとも、誕生日プレゼントで駄菓子はプレゼントしないと思うけど

実際に貰っても喜んで食べるけどね。


「もちろんだよ、駄菓子でも喜ぶよ」

「そ、そう。思った以上だったわ」


温海が言うには100円の文房具でも喜ぶと思った、それ以上だったとか。

もちろん、100円の文房具でもわたしは嬉しいけどね。

でも、欲しい物がないから、プレゼント選びに困ってるのかな?


「もしかして、何でもいいって言ったからプレゼント探しに困ってる?」

「プレゼントは既に決まってるわ。当日に渡すから」

「そうなんだ、それなら良かった」

「ただ、結構悩んだけどわよ。何でもって難しいから」

「確かに、難しいよね。でも、何度も言うけど2人から貰えるなら駄菓子1個でも

小躍りすぐらいに喜ぶから」

「誕生日プレゼントで駄菓子をもらって小躍りされたら、流石に引くわよ」


確かに、誕生日に駄菓子1個で小躍りされたら引くけど、それだけ2人から貰えるものは嬉しいのだ。

それに、百合カップルに挟まれてること今の状況自体が十分なプレゼントだよ。


「そういえば、商店街もアニメ推しみたいだからちょっと見てこうか」

「今日は文乃が行きたいところに付き合うわよ」

「わたしも構わないよ~」

「それじゃ、途中で降りようか」


駅に付く前にバスを降りる。

その商店街は駅から聞かいけど、長いアーケードが続く大きな商店街。

歴史もあるけど、それでも地方の商店街は寂れていてここも同じ。

ただ、アニメの効果で訪れるとも増えていて、商店街もアニメを推している。

そして、アニメに出て来た店もあるけど、今日はあまり時間がない。

暗くなるのが早い時期なのと、親から早く帰って来てと言われてる。

うちの親は比較的甘いけど、帰宅時間に関してはちょっと厳しい所があるけど

女の子だから仕方がないかな。


「えーと、ネットにあったけど、結構色々あるね」


商店街にはキャラクターのパネルや、横断幕などもあってアニメ推しである。

放送されれて数年経ってるけど、アニメ以外はまだまだ続いてるし、イベントも行われてる。

元々人気があるシリーズの1つではあるけど、街全体で推していて受け入れてるからね。


「久しぶりに来たけど、確かに来るきっかっけだよね」

「わたしと夕は文乃が居なかったら来てなかったわよ」

「そうだよね、学校帰りに寄れるけど意外と来ないからね~」


つまり、2人が来るきっかけになったのは、わたしなのか。

2人は隣の市で、今はここよりも2人が住んでる街の方が便利なぐらい。

なので、わたしがきっかけてで来る事になったからちょっとうれしいかも。


「2人のきっかけになったのはうれしいかな」

「ま、今日は文乃の日だからね」

「いつも文乃ちゃんの事を思ってるけど、今日はさらに倍だよ~」


そういて、また2人がわたしを挟んで腕を組んできたけど少ないとはいえ

人通りがあるからちょっと恥ずかしいけど、百合カップルに合法的に挟まれるから

嬉しさの方が上回ってるし、さらに夕のおっぱいが腕にあたってるし。

温海の方は……気にしないでおこう。

こうして、わたしは夕と温海に挟まれて駅に向かったけど……

さすがにさらに人が多くなる駅前では腕を組んで歩くのはやめたけどね。

そして、日もすっかり暗くなり、時間的にまだ早いけど明日は学校なので

帰りの電車に乗って帰宅したのであった。

そして、誕生日当日も2人が学校帰りに付き合ってくれる事も改めて約束した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る