第5話 聖地巡礼と港のお寿司

夕のいとこの家から駅に戻り、予定通り学校の最寄り駅へ向かう。

学校の最寄り駅はわたしが住む市の中心駅で、県内でも4番目に大きい街だ。

以前はデパートも2軒あったが、どちらも閉店してしまったものの

再開発で新しいビルが建ち、数年前に放送された人気アニメでの舞台にもなって

観光客や移住者が増えているけど、わたしもそのアニメが好きで


「珍しくこっちへ来たけど、なんでなの?」


何時もは夕と温海が住む街へ行くけど、そっちのほうが店が多くて

賑わってはいるけど、たまにはこっちに来てもいいかなぁって思っただけ。

あとは、せっかく地元だからアニメの舞台の聖地巡礼もしたいかな

っと思ってみたりもする。

以前から行きたかったけど、近いせいかいつでも行けると思って行かなかったけど

今日なら2人も付き合ってくれかなって思ったのもあるけど。


「せっかくだから、アニメの聖地巡礼をしようかなって思ってね」

「ああ、あのアニメの舞台だったわね。

あたしもここが舞台ってみたからアニメは一応、見てたわよ」

「わたしもアニメは見てたけど~行きたい思ったけど意外と行ってないよね~」

「それじゃ、行ってみよう。あと、港まで歩いて、美味しい物を食べようよ」

「港まで行くと結構距離はあるんじゃないの?」

「片道3kmあるけど、これぐらいじゃ平気だよ」

「だから、歩きやすい靴にしてって言ってたのね」


往復で6㎞ぐらいあるけど、これぐらいは通学で歩いてるから平気。

ただ、あえて事前に行く場所を教えてなかったけど、それなりの距離を歩くから

靴だけは歩きやすい物を履いてきてとは言っておいた。

そして、向かう港もアニメに出てきた場所でもあるんだよね。


「えーと、ネットで調べたら、駅の近くに何か所か登場した場所が

あるみたいだけど、お腹もすいて来たから港へご飯食べに行こうよ」

「わかったわ」

「それじゃ~行こうね~」


わたしたちは港に向かうけど、港へ向かう途中にもアニメに出てきた場所があったから

そこで写真を撮ったりしてけど、今日は日曜日でアニメに出て来たイベントが

城跡の公園で行われていたけど、人が多いのと時間の関係で行くのはやめた。


 港へ向かう途中もかつての街道の宿場町でもあったので、その名残があったり

かつて港へ伸びていた線路の跡があったりして、地元だけど近すぎて

逆に来た事がないから新鮮に感じる。


「港の方ってなかなか来ないけど、意外と歴史的な物があのね」

「温海って歴史が好きなの?」

「特に好きって訳じゃないけど、地元の歴史を知るのは良い事よ」

「アニメでもほんのちょっとだけど、出てたよね」

「えーと、この先も古い建物もちょっとだけだけど、アニメに出てるみたいよ~」


ワンカット程であるけど、今歩いている辺りの街並みのアニメにでてるそうだ。

歴史的な建物の前を主人公たちが歩いてるだけなんだけど、これによってその建物が

知られるようなったそうで、それらしい人たちが数人写真を撮っていた。


 駅から大体1時間ぐらいで港に到着。

時間は13時すぎであるが、日曜日のせいか店はどこも混んでいる。


「この時間でも混んでるわね」

「お店自体は色々あるから、どこか空いてると所もあるかもね」

「港だけあって、お寿司屋さんが多いね~」

「他にも地元の魚を使ったフィッシュバーガーの店とかあるよ」

「港に来たら食べるのはお寿司でしょ」

「でも、お寿司結構高いんじゃないの?」

「港のお寿司は結構安いわよ」


温海は近くの寿司店のメニューを見て言うけど、1000円で食べれる物もあったけど

今日は3人で出かけるから、誕生日祝いもかねてお金には余裕があるから

もう少しいいもの食べたいって思ったけど、食べられないネタが結構あったからちょっと悩んだ。


「実はわたし、食べられるお寿司のネタが少ないんだ」

「え、それじゃなんで港にきたの?」

「といっても、食べられる生魚が少ないだけなんだけどね」


温海が呆れるけど、少ないと言ってもまぐろとサーモン、アジは食べられる。

アジは地元の名産なので、アジに関する料理も多いけどお寿司に関しては

回転寿司があるから回転寿司で好きなものを食べればいいかな。


「お寿司意外もあるから、いいかなって思って。それに、回転寿司もあるし」

「ここまで来て回転寿司なの?」

「温海さん、今は回転寿司もレベルが高いのですよ」


回転ずしと言っても、地物の魚を使ってて地元の海でしか獲れない深海魚や

定番の物でも物が良いので回転寿司もレベルが高い。

お値段的には回らないお寿司と変わらない、場合によっては高いけど

食べられるものが決まっているから、回転ずしの方がなにかと良いと思うし。


「そうなのね。今日は文乃の誕生日祝いも兼ねてるから、好きにしなさいよ」

「わたしも食べられるお寿司が決まってるから、回転寿司でいいよ~」

「それじゃ、回転寿司にしよう」


わたしたちは回転寿司に行ってみたけど……13時半になっても待ち時間1時間とあった。


「うーん、待ち時間1時間か」

「別に待ってもいいけどね~」

「でも、今から1時間は長いし、お腹も空いたから悩むわね」


今から1時間待ちは流石に長いとなったので、結局諦めたて他の店にする事にした。


他の店を探す……と言っても、港もそう広くない。

ただ、狭い範囲に見せは多いので一通り確かめる事にしたが

しばらく行った所にあったお店に「アニメファン特別割引」と書いてあるお寿司屋さんがあった。

このアニメファンと言うのは店主がアニメファンという意味で、お店の名前をネットで調べたら

時々割引をやっているようで通常価格より2割引きとなっている。

お店の感じから、しっかりしたお寿司屋さんのようだからここでも良いかもしれない。


「2割引きならここでいいんじゃないかな。元の値段もお寿司にしては安いし」

「でも、食べられるものが決まってるでしょ?」

「マグロ丼があるからそれでいいかな。しかも、本マグロだし」

「わたしもマグロは食べれるからここでいいかな~」

「2人がそういうならここでいいわよ」


わたしと夕が良いならと言う事で、この店に入る事にした。


 店内は高校生が入るにはちょっと緊張するちゃんとしたお店であったけど、

よく見ると店内には舞台になっているアニメのグッズがあっり

と書いてあったので、本当にお店の人がアニメのファンの様だ。


「本当にファンなんだね。逆に安心できるかな」

「安心できると言えば出来るけど、なんか複雑」

「でも、割引になるから良い事だよね~」


確かに、このおかげで安く食事が出来るから、アニメ様様かな。


 さて、肝心の食事の方だけど、わたしと夕が食べた本マグロ丼は

マグロの量も多く、しかも味も良かったのでこれで1200円は安いと思う。

と言っても、テレビなんかで本マグロが高いというぐらいしかしらないけどね。

ただ、何時もスーパーで買ってくるマグロと比較にならないぐらいに美味しかった。


 一方、温海は上握りを頼んだけど、これも美味しそう。

量が少ないから分けてもらう訳にはいかなかったけど、丼の酢飯が美味しかったから

きっと握り寿司もおいしいとは思うけど、ネタをみたら半分ぐらいは

食べられないから本マグロ丼で正解であったけど。

あと、お茶も地元のいいお茶を使っていて、普段お茶をあまり飲まないわたちでも美味しかった。


「ごちそうさまでした」


お会計を終えて、お寿司屋さんを出るけどお店を出る時に温海も美味しかったと店の人に言っていた。

温海のこういうところがお嬢様って言っていいのかな。

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