第4話 ファミレスでの出来事②
そして、詩月のその言葉を聞いた空はどう答えるべきか一瞬悩んだモノの。
変に誤魔化しても良い事は無いだろうと思い。
「すみません水野さん、もしかしたら手帳の持ち主の名前が書いてあるかもしれないと思って最初のページだけ見てしまいました」
空は申し訳なさそうにそう言った。すると、
「……そうですか、青木くんは手帳の中身を観てしまったのですね」
詩月は少し暗い表情を浮かべてそう言ったので、内心悪い事をしたと思っていた空は何と言えばいいいのかと少し悩んで居ると。
「……お願いします青木くん、何でも言う事を聞くので手帳の中身の事は誰にも言わないで下さい」
詩月は唐突にそんな事を言ったので。
「そうですか、何でも言う事を……えっ?」
急にそんな事を言われ空は一瞬頭が真っ白になった。そして、数秒経ってから。
「あの水野さん、別に何か特別な事をしなくても僕は水野さんの手帳の中身の事は誰にも話しませんよ?」
「……えっ、そうなんですか?」
空の話を聞いて数秒経ってから、詩月は少し呆けた表情でそう言ったので。
「ええ、勿論です、寧ろ今回は僕の方が水野さんの言う事を聞かないといけないくらいですから」
空がそう答えると。
「えっ、それは何故ですか?」
詩月はそう聞いて来たので。
「何故って、僕は持ち主を探るためとはいえ水野さんの手帳の中身を勝手に観てしまったんですよ、これはどう考えても僕の方が悪いのにその上手帳の中身を他の人に話すなんて酷い事僕には出来ませんよ、だから何か一つ相手の言う事を聞く必要があるのなら、それは手帳の中身を勝手に観てしまった僕の方で水野さんはそんな事をする必要はありませんよ」
空はそう言って自分の思いを口にした。すると、
「……そうですか、青木くんはやっぱり真面目な人なんですね」
水野詩月はそう呟いた後。
「でもやっぱり、私は青木くんの言う事を何か一つ聞く事で安心したいです、青木くんの事を疑っている訳ではありませんが、それでもただの口約束だけだともしかしたら手帳の中身の事をうっかり話してしまうかもしれないと不安に思ってしまうので、口約束以外にも何か一つ保険が欲しいんです」
彼女は続けてそう言ったので。
「そうですか……」
そう言って、空は数秒間悩んだ後。
「それなら水野さん、僕から1つ提案があるのですが聞いてもらえますか?」
空がそう言うと。
「提案ですか? はい、良いですよ、何ですか?」
詩月はそう言ったので、空は話し始めた。
「僕は手帳の中身の話をしないと約束する代わりに水野さんに1つ僕の頼みを聞いて貰います、ただそれだと僕の中で罪悪感が凄い事になってしまうので、僕が水野さんの手帳の中身を観てしまった分のお詫びとして僕も水野さんの言う事を何か1つ聞く、要するにお互いに相手の頼み事を1つ聞くという事でこの件は納得しませんか?」
空は詩月に向かってそう提案した。すると、その言葉を聞いた詩月は数秒間悩んだ後。
「まあ、それで青木くんが納得して私の手帳の中身の事を誰にも話さないでいてくれるのなら私はそれでも良いですよ」
少し不安そうな口調ながら、詩月は一応は納得した様子でそう言ったので。
「それは勿論です、それに何度も言いますが、今回悪いのは勝手に手帳を観てしまった僕なのでこれ以上悪事を広める様な事は決してしません!!」
空にしては珍しく少し強めの口調でそう言った。すると、そんな空の様子を見た詩月は数秒考えてから。
「分かりました、多少の不安は残りますが青木くんの言葉を信じてみる事にします」
詩月はそう言ったので。
「ありがとうございます、水野さん」
空がそう言うと。
「お礼を言われるような事では無いです、それで青木くん、私への頼み事は一体何にしますか?」
「水野さんへの頼み事ですか、そうですね……」
そう言って、空は少しの間考えを巡らせてから。
「あっ、そうです」
空はそう言ってから。
「それじゃあ水野さん、良かったら水野さんが書いている小説を僕に見せて下さい」
空は少しワクワクした口調でそんな事を言った。
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