KAC20244 コスプレ喫茶のバイトが考える「ささくれ」は、ここ?キモミステリーだ

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 ロッカー(バンドの人じゃないぞ。掃除用具入れ)からわかった「ささくれ」。それは、ゆがんだミステリーでした。

「ささくれ」は、コスプレ喫茶にもある。

 残念なミステリー。

モナタ君という高校生アルバイトの男子には、わかっていた。

夕方になると、客がミステリーなことを言いはじめるんだ。

 「見える人と見えない人」

 「信じる人と信じない人」

「感じる人と感じられない人。キュルンは、どっち?」

 「スターハルトには、見えないの?それは、ささくれているね」

 うーん…。

 それ、ささくれなの?

 笑い返すだけ。

今、彼は、キュルンやスターハルトなる異世界人を演じているところ。

 「こんにちは~」

良い感じのコスプレキャラが近付いても、その客にとって興味がわかない対象だったら、スルー。

 その客には、そばにはだれもいないように「感じる」はずだ。

 でも、その「感じる」は「感じられない」という意味で…。

 ややこしいな。

すると、ややこしい事件が起きた。

 「モナタ君?」

 「何です、店長?」

 「客のいない今、店内の掃除をやってくれないか?」

 「わかりました」

 「私は、無理。手が、ささくれてしまってねえ。年、かな…?いや、関係ないか。ハハハ」

「店長?任せてください!」

彼が、掃除用具を取りにいくと…。

 「あ!…俺、何も感じない派だと思っていたのに!」

 まさかの事件。

 掃除用具入れのロッカーが、開かない。

 「…え?俺、今、ロッカーの中からだれかに、見つめられた?」

 恐怖。

 「て、店長はどこですか!」

恐怖。

「あ、まただ…!」

 ロッカーの中から、妙な視線が彼を襲う。

 「…だれだ、お前!」

 ロッカーの中に叫ぶと、聞き覚えある声が返ってきた。

 「いやーん」

 負けじと言い返す、彼。

 「いやーん!」

 声が、ハモる。

 「いやーん」

 「いやーん!」

 そうして…。

ある男が、ロッカーの中から出てきた。

 「じゃ、じゃーん!男の子は、エレガントにな!私だよ、モナタ君!」

 「あ、店長!」

 「モナタ君!私と一緒に、掃除をしよう!店が、心を失ってささくれないようにね!」

 …ちがうな。

気付け、店長。

 本当にささくれているのは、あんただ。

 






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