変わったコスプレ喫茶店でかくれんぼ。キモい目線ミステリーで、良い子は真似するな
冒険者たちのぽかぽか酒場
第1話 変わったコスプレ喫茶へ、ようこそ。ロッカー(バンドの人じゃないぞ。掃除用具入れ)の中は、ゆがんだ空間でした?
「世の中には、変わったコスプレ喫茶があるってよ」
「ふうん」
「残念なミステリー喫茶」
「何、それ?」
「そこで働いてみれば、わかるらしいよ?」
「…客じゃなくて?」
「ああ。その店で働いてみないと、わからないらしい」
「ふうん」
「俺も、いく」
「俺も」
「で、どこ?」
SNSの情報力には、いつも、感心させられる。
「変わった店」
モナタ君という高校生アルバイトの男子には、よくわかっていた。その店で、働いていたから。
「うちの店って、夕方になると、客がミステリーなことを言いはじめるんだよな…」
その通り。
客たちが、騒ぐ、騒ぐ。
「見える人と見えない人」
「信じる人と信じない人」
「感じる人と感じられない人。キュルンは、どっち?」
「スターハルトには、見えないのか?」
もちろん、皆、本名じゃない。
今、彼は、客に頼まれてキュルンやスターハルトなる異世界人を演じているところ。
「感じる」
「感じない」
意外に、難しい言葉だ。
「こんにちは~」
良い感じのコスプレキャラが近付いても、その客にとって興味がわかない対象だったら、スルー。
その客には、そばにはだれもいないように「感じる」はずだ。
でも、その「感じる」は「感じられない」という意味でもあって…。
ああ、ややこしい。
するとまた、ややこしい事件が。
「モナタ君?」
「何です、店長?」
「客のいない今、店内の掃除をやってくれないかな?」
「わかりました」
彼が、掃除用具を取りにいくと…。
「あ!…俺、何も感じない派だと思っていたのに!」
まさかの事件。
掃除用具入れのロッカーが、開かないのだ。
「…しかも、え?俺、今、ロッカーの中からだれかに、見つめられた?」
恐怖。
「ミ、ミステリーじゃないか!」
恐怖。
ロッカーの中から、また、妙な視線が彼を襲う。
「…だれだ、お前!」
ロッカーの中に叫ぶと、聞き覚えある声が返ってきた。
「ふふふふ…」
「だ、だれなんだ?」
「私だよ、モナタ君♪」
「あー!」
「じゃ、じゃーん!男の子は、エレガントにな!私だよ、モナタ君!」
「やっぱり、店長!」
「モナタ君!私と一緒に、店内をお掃除をしよう!」
…ちがうな。
気付け、店長。
本当にお掃除しなければならないのは、あんただ。
こんな店は、いかが?
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