冬玄郷冬守奇譚

リアルアートは本物に負ける

　命の価値か。

　無条件で赤ん坊。

　若者が偉い。

　年寄りか。

　どうせ後３年も働けないだろう？

　労働力が減るから年寄りは後回しにしろ。

　この程度の理屈が分からんか。

　恋愛ラノベな。

　数千円か。

　中古エロゲなら楽勝で買える。

　経営者マインドを持つには領地シミュレーションでいい。

　下っ端ユニット？

　買い直す。ポーンが取られたからって降参する奴があるか。

　王様になりたい？

　はあ。

　エロゲに腐るほどあるのに。

　何周遅れなんだ。今のラノベ作家たち。

　＋

　あー。クイズを出そう。

　アナログとデジタル。

　これを日本語に訳してごらん。

　うん。

　正解は、

　再現「不」可能と再現可能だ。

　デジタルとは１と０だ。

　ぶっちゃけ数字なんだな。

　コピー可能。

　絵はアナログ。

　モナリザの絵を模写しろとか不可能だろう？

　文章とはデジタルなんだ。

　頭の中で「あいうえお」と言っているのに、書いてみたら「かきくけこ」になっている。

　あり得ない。

　つまりだ。

　ぐだぐだな文章の奴って、頭の中もぐっだぐだ。

　つまり阿呆と見なされるんだ。

　いやー。

　俺は自分で書くから知ってるけど。

　主観的にはファンサービスなんだよな。こういう駄文。

　知ってる知ってる。

　デビューしてもいねえ癖に、作品だけは書き溜めちゃって。

　もっともっと！　もっともっと！

　いやー。逆なのに。

　いったんアカウント消せばいいのに。

　今までのは習作でしたって。

　ファンなんていねえよ。何、自惚れてるんだ。アマチュア。

　あー。

　俺の「寺子屋遊戯」は消すの惜しい。感想０だけど。

　惜しいんだよ。本当に。

　主観的には。

　＋

　さて。

　問題はサメ映画だ。

　どんなサメなら恐ろしいだろうか。いや、こう言い換えよう。

　どこなら逃げ場がない？

　我が家にサメが現れるのが最悪だ。

　不動産屋が主人公とかどうかな。

　管理物件にサメが出た。戦うしかない。

　駄目かな。

　うーん。

　やはりプロは凄い。

　＋

　俺が何故、小説投稿サイトを毛嫌いするのかか。

　フリーゲーム製作者たちの方が上だから。

　同じ無料なら、彼らの方が才能がある。

　絵を描けるし、プログラムも組めるし。

　小説？

　スキルなんて要らねえよ。修羅場を突破すればいい。

　＋

　あー。遊びをしよう。

　上

　①神聖

　②断崖

　③グランド

　④バックギャモン

　⑤泥んこ

　⑥嘘つき

　下

　①ポーカー

　②オセロ

　③ドラゴン

　④少女

　⑤フレイム

　⑥アイス

　振れ。

　３と６か。

【グランド＝アイス】！

　はー。

　まあまあ、強そうだ。お前、運がいいな。

　もう１回やるか？

　１と１か。

【神聖ポーカー】。

　ほう。

　はあはあ。

　いいな。

　もう１回。これで打ち止め。

　５と５。

【泥んこフレイム】！

　はっはっは。

　まあ、バトルなんて殴る／防御／飛び道具／洗脳しかないんだけどな。

　サブキャラは炎系には効かないとか、アンデッドにしか効かないとか。

　主役な。

　最後は殴り合いになるんだな。

　漫画喫茶も今はないのか？

　過去の名作知ってると、バトル書くのは阿呆だと思う。

　打ち切り作品の９割９分がバトルだ。

　ギャグの方が延命率高いのに。

　どうして研究しないかな。

　あー。

　ギャグラノベは確かに買わないな。シリアスがいい。

　うーん。

　アレとアレくらいかな。ギャグで一世を風靡したのは。

　能力バトルな。

　超進化が付き物なんだ。実は。

　心当たりない？

　１と３？　ま、いいけど。

【神聖ドラゴン】！

　能力バトルとは「必殺技バトル」なんだ。

　素の殴り合いは弱いんだよねえ。

　ルールか。勝ち負けの。

　秘密の奥義を隠していた方の勝ち。

　言い換えれば、ネタが思い付かなくなったキャラを退場。

　これだけ。

　３と１？　はあ。

【グランド＝ポーカー】！

　あのサイレント・アサッシン、異能力高校の生徒にとっては実話なのに。

　＋

　新規？　はあ。

　①ぐらぐら

　②爆弾

　③とんがり

　④言い訳

　⑤イカサマ

　⑥スピード

　はい。

　①キング

　②土偶

　③しゃちほこ

　④ナスビ

　⑤カリフラワー

　⑥ラナンキュラス

　どうぞ。

　３と６か。

【とんがりラナンキュラス】！

　うん。

　３と４か。

【とんがりナスビ】！

　次やるの？

　１と１か。

【ぐらぐらキング】！

　はい。

　６と３。

【スピードしゃちほこ】！

　いやー。

　はあ。

　名古屋県民に恨みはねえよ。

　愛知県民か。いや、知り合いはいないな。

　知ってるか。しゃちほこって海の妖怪だろう？

　あれって火災避けのおまじないなんだよな。

　効果があるかどうかって？

　俺は迷信を軽蔑してる。

　ただ、これ言っちゃうとな。

　オカルトって昔は売れ線だったらしいんだ。

　いいか。

　科学が勝利したのは１９９９年７月の翌月だ。

　あの有名な大予言は大嘘だった。

　幽霊？　神？　宇宙人？　ＵＭＡ？

　いるわけねーだろ。

　人類は、おとぎ話を卒業したのさ。

　８月１日、０時０分にな。

　＋

　上

　①のこぎり

　②たんぽぽ

　③ウィング

　④ブラッド

　⑤プラチナ

　⑥会員制

　下

　①メイド喫茶

　②ターコイズ

　③くまちゃん

　④川柳

　⑤ナックル

　⑥バスター

　どうぞ。

　３と６か。

【ウィング＝バスター】！

　はー。

　ど平凡。

　次。

　４と２。

【プラチナ＝ターコイズ】！

　どっちだ。

　６と２。

【会員制ターコイズ】！

　いやー。

　ターコイズってトルコ石のことなんだ。

　迂闊にファンタジー小説で出すと恥を掻くから気を付けような。

　アレキサンドライトも、この世界にはアレキサンダー大王がおわしたのですか？　とツッコまれる。要注意。

　七面鳥がターキーって言うのは知ってる？

　これ「トルコ人」って意味だ。

　クリスマスには七面鳥を食べる。

　トルコってイスラムなんだなあ。つまり、宗教戦争なんだ。

　豆知識。だから、どーだこーだ言わねえよ。

　２と１か。

　空気読まねえな、お前。

【たんぽぽメイド喫茶】！

　あー。

　はあ。

　４０万部くらい売れるんじゃね？　漫画なら。

　＋

　ファンタジー小説を書きたい？

　あー。

　インターネットアフターでは無理。

　あんな世界。

　情報が伝わるのが遅過ぎる。

　ねーよ。お宝なんて。

　よその街に知られてるってことは、他の冒険者に取られたってことだ。

　なんだよ。

　ネトゲなんだよ。

　レアアイテムとレイドボスの奪い合いが華。

　ファンタジーはＰＶＰなんだ。

　ソシャゲ用語でＰＬＡＹＥＲ　ＶＳ　ＰＬＡＹＥＲって意味。

　モンスターは雑魚。

　人間がボス。

　倫理的にヤバいんだよ。ハクスラって。

　強盗物語になるんだ。

　ネトゲかよ。

　これなら悪の管理人や意思を持ったバグを敵にしていい。

　けどなあ。

　流石に頭打ちだろう。

　５と３？　お前さ。

　いいけどよ。

【プラチナくまちゃん】！

　あー。

　くまちゃんはヤベえんだよな。

　八っつぁん熊さんか。

　友達に思えるけど。

　東海道中膝栗毛の２人が、そういうカップルだって知ってる？

　あれ、不倫旅行小説なんだよな。恐ろしいことに。

　民衆の嗅覚は確かだ。

　日本人はクールジャパンとか悦に入ってる場合か。

　猛省しろ。

　５と５。

　あのよ。

【プラチナ＝ナックル】！

　はあ。

　拳なんか使わねえし。

　売れば５０００Ｇにはなるな。

　宝箱から見つけたら売れ。

　＋

　あー。グリム童話と落語教えてやろうか。

　面白いんだ。厳選してやる。

　ショートショートに。

　＋

『蛙の王様』

　へい！　そこなお嬢さん。どうしたんだい。

　へー。黄金の鞠（まり）が泉にね。取って来てやるから、ミーと同棲してもらおうか！

　おい。約束破る気か。ほう。王様いいこと言うね。このお姫様を説得しろ！

　ＣＨＵ！

　蛙から王子様に戻ったぜ！　ＨＡＰＰＹ　ＭＡＲＲＩＡＧＥ！

　＋

『猫と鼠の仲』

　猫さん……。

「鼠ちゃん……」

　らぶゆー。

「みーとぅー」

　冬に備えて牛脂を買っておきましょう。

「いいアイディアだわ。だーりん」

　どこ行って来たんです？

「親戚に子供が生まれたの。名付け親になったわ」

　へー。何て名前？

「表面ぺろり」

　へー。

　あー。

　また子供が生まれたんですか。

　今度の名前は？

「半分ぺろり」

　ふーん。

　もうすぐ冬だなあ。

　まあ、あの牛脂があるから平気だけどね。

　ん？

　また子供ですか。名前は？

「全部ぺろり」

　へー。

　あー。そろそろあの牛脂食べに行くかなあ。

　…………。

　てめえ！　ようやく真相が分かった！　このクソ猫！

「うるせえよ。がぶり！」

　ぼくは死んだ。

　猫を信用したぼくが馬鹿だった。

　＋

『こわがり修業に出た男』

　出来のいい兄貴がいた。にぶちんの弟がいた。

「ぞっとするって、どういうことなのか分からねえ」

「教会に幽霊が出るそうだ。愚弟」

「ふーん。あ。何か白いのがいる。お前、何してんの？」

　…………。

「突き落としちゃえ」

「ウチの人に何してくれたの！？」

「はあ。オラを脅かそうとしてたんかい。教会守さん」

「お前を見込んで頼みがある。呪われた財宝の呪いを解いてくれ！」

「はあ。一晩この古い城にいればいいんかい」

　…………。

「何だ。この大男。邪魔だボケ」

　…………。

「見事！　娘を嫁に取らせよう！」

「はあん」

　…………。

「この夫、嫌。ベッドに水と魚入れてやる」

「ひゃあ！　これが、ぞっとするってことかいな！」

　＋

『狼と７匹の仔山羊』

　いい子たち。母さん買い物に行って来ます。

　狼に気を付けるのよ。

　アイツ黒い手してるから、すぐ分かるわね？

「母さんですよー！」

「手黒い」

「もしもしパン屋さん？　手、怪我しちゃったから粉かけて」

「母さんですよー」

「手白い。母さんだー！」

「ヒャッハー！　ご馳走だー！」

「テーブルの下に隠れても無駄ぁ！」

「ベッドに隠れても無駄ぁ！」

「かまどに隠れても無駄ぁ！」

「台所に隠れても無駄ぁ！」

「たんすに隠れても無駄ぁ！」

「たらいに隠れても無駄ぁ！」

「ヒャッハー！　仔山羊６匹丸呑みだあ！　無駄無駄無駄無駄無駄無駄！」

「１匹見つからないけど、まあいいや。ぐうぐうぐう」

　末っ子の坊や。時計に隠れていたのね。

　狼のお腹切り裂いて、代わりに石ころ詰めちゃいましょ。

　ちょきちょきちょき。

　坊や６人救出。

　石ころ詰め詰め。

　縫い縫い縫い。

　隠れろ。

　あ。狼、井戸に落ちて死んだ。浮かんで来ない。重いから。勝利！

　＋

『忠臣ヨハネス』

　ヨハネスよ……。王子を頼む。

　城の全てを見せてやってくれ。だが、行き止まりの部屋だけは駄目だ。

「すっげー美人のお姫様の絵があった！　あの人と結婚したい！」

　絵のお姫様を見つけ出した。

　黄金細工を作るとしよう。

「凄いわ！　買い取らせて。全部全部！」

　我が主君の城に来てくだされば、もっともっとございますよ。

「行くわ！」

　色々あって私は死んだ。

　しかし、王子は忠実なわたくしめを生き返らせてくれたのです。

　＋

『奇妙な旅芸人』

　森の中でヴァイオリンを弾いたら、狼が来た。

　弟子入りしたい？　はあ。では、言う通りにしろ。

　前足をこの木の割れ目に突っ込め。

　いいと言うまで、そうしてろ。

　今度は狐が来た。お前も弟子入り志願か。

　前足を出せ。

　木に縛り付けてやった。

　もう片方もだ。

　素直に出しやがった。馬鹿め。

　縛る。当たり前だな。

　野兎かよ。嫌だ。こんな弟子。

　ちょっと首をひもで縛らせろ。うん。もう片方は木に結わえる。

　ぐるぐる回れ。

　そうか。身動き取れませんか。

　アデュー！

　狼・狐・野兎「「「復讐してやる！」」」

　ほう。きこりさんか。タダで聴かせてやる。

　はっはっは。うっとりしてらあ。

　？

　何だ。動物ども。

「おい！　動物ども。この人に何かする気なら相手になるぞ！」

　あ、逃げた。

　さんきゅー。きこりさん。お礼にもう１曲聴かせてやろう！

　＋

『１２人兄弟』

　男１２人か。

　１３人目が女の子だったら、男ぶっ殺して財産全部娘にやる。

　妹は、お兄さんたちを助けるために何やかんやしました。

　お兄さんも養ってくれる金持ちの王様が見つかりました。

　何故なら末の娘は心正しい子だったからです。

　＋

『ろくでもない連中』

　おんどりとめんどりが思った。

　山にくるみを食べに行こう。リスの野郎に喰われるのはムカつく。

　台車に乗ろう。

　お前が引っ張れ。

　いや、あんたでしょう。

　あひるが来た。

　てめえら、あたしの山に入ろうとはいい度胸だ。

　宿屋に着いた。

　めんどりは卵を産んでやると言った。あひるはもっと産むよと言った。

　どんちゃん騒ぎ。朝になった。

　おんどりとめんどりで卵は食べた。

　宿屋の親父のタオルに待ち針を仕掛けた。

　さて。

　宿代踏み倒して山に行こう。

　＋

『兄さんと妹』

　母さん死んだ。

　つまんない。どこか行こう？

「私を飲んだら虎になる。私を飲んだら虎になる」

「兄さん、この泉の水飲んじゃ駄目！」

　我慢する。

「私を飲んだら狼になる。私を飲んだら狼になる」

「兄さん、この泉の水も飲んじゃ駄目！」

　我慢すればいいんだろう。

「私を飲んだら鹿になる。私を飲んだら鹿になる」

　もう我慢出来ない。飲む。

「いやあああああああああああ！」

「兄さんを救うには、王様のお后になって悪い魔女を倒すのじゃ！」

「はい！」

　はっぴーえんど。

　＋

『ラプンツェル』

　あの人に会いたい。

　塔の中に入る。髪の毛を垂らしてくれ。

　魔女の婆さんにバレた。

　ラプンツェルというのは野菜の名前だ。実は。

　あの子の両親が魔女の畑からラプンツェルを盗んだので、娘を代金に奪われたのだ。

　荒れ野に追放された嫁を、ようやく見つけた。

　さあ。幸せになるぞ。

　＋

『森の３人のこびと』

　父親が再婚した。

　継母にいじめられて家を出た。

　こびとたち

「あの子が日ごとに綺麗になるようにしてやるか」

「俺はあの子の口から金貨が飛び出すようにしてやるよ」

「俺は王様と結婚させてやる」

　継母と連れ子死亡。

　はっぴーえんど。

　＋

『糸紡ぎ３人女』

「この亜麻を全部紡いだら上の王子と結婚させてあげる」

　出来るわけないわ。しくしくしく……。

　誰？　あなたたち。

「あたしらを結婚式に呼んでくれたら代わりにやってあげよう」

　はーい。

「嫁」

　はい。

「てか后。何この変な人たち」

「失礼だね！　糸紡ぎをしていると足が広くなって、下唇が垂れ下がって、親指が平べったくなるんだよ」

「踏むし、舐めるし、よるからね」

「そうそう」

「なるほど。おい、后。一生、糸紡ぎはしなくていい」

　はっぴーえんど。

　＋

『３枚の蛇の葉』

　父さん。

　家貧しいから兵隊に行くよ。

　手柄を立てた。

　お姫様と結婚出来る。

　だけど娘が死んだら、お前も死ねか。

　…………。

　可愛い寝顔。

　まるで眠ってるみたいだ。

　む。蛇め！

　ぶつ切りだ！

　あれ。

　別の蛇が葉っぱをくわえて来た。

　あれ。

　生き返ったぞ。さっきの蛇が。

　それ寄越せ。

　生き返りの効果あるのか。この葉っぱ。

　マイハニー。

　お早う。

　何か嫌われちゃったけど、王様には好かれてたから誤解は解けた。

　よしよし。

　はっぴーえんど。

　＋

『白い蛇』

　王様のとっておきのご馳走の白い蛇を、こっそりつまみ食いした家来の僕。

　動物の言葉が分かるようになった。

　お后様の指輪がなくなって泥棒の疑いがかけられた。

　あひるの１羽が言っていた。

「指輪なんか喰ったから胃もたれするー！」

　料理番。こいつを殺せ。

　ヒャッハー！　丸焼きだあ！

　指輪出て来た。ふぅ。危ない。

　悪いことをしたね、か。

　馬１頭と路銀ください。旅に出ます。

　魚が地面にいた。

　水の中に、お戻りー。

　馬に踏み潰されると蟻たちが抗議して来た。

　ごめんごめん。避けて通る。

　仔鴉たちが、お腹を空かせていた。

　しょうがないな。

　死ね。馬。

　お姫様の婿募集か。

　海の底の指輪を拾って来い？

　あ、魚さん。さんきゅー。

　お姫様、僕が嫌いっぽい。

　穀物のきびをぶちまけて明日までに全部拾えだってさ。

　蟻さんがやってくれました。

　黄金の林檎を取って来い？

　鴉さんたちが遠い国から取って来てくれた。

　ＨＡＰＰＹ　ＭＡＲＲＩＡＧＥ！

　＋

　使い魔の契約だな。これは。

　奥が深い。

　後は大した話はない。落語。

　＋

『猫（ねこ）久（きゅう）』

　はっはっは。いつもへらへら笑ってる猫久が血相変えて怒ってやんの。

　いやいや、相応の事情があるのであろう。笑い飛ばすお主、情が薄いぞ。

　＋

『湯屋番』

　へっへっへ。女湯女湯。

　あの若旦那、しょうもねえな。

　＋

『浮世床』

　将棋で負けるのやだ。王将を懐に隠しちまえ。

　＋

『長屋の花見』

　おう。店子の皆。ぱーっと花見に行こうぜ。

　大家の野郎。卵焼きと言っておきながら、これ沢庵じゃねーか。酒は薄めた番茶だし。

　＋

『三人旅』

　馬に荷物載せて来て、これから帰るんだ。格安で乗せてやってもいいだよ。お前様、名前は？　団十郎？　アホ！

　＋

『三方一両損』

　三両拾った。お前のか。受け取れ。

　てやんでえ。落とした金なんか受け取れるか。

　何だと、この野郎。

　待て待て。役所の方で一両出してやろう。二両ずつ分けろ。

　へ。

　お主らは三両が二両に減った。ワシらは一両出した。これで三方一両損！

　＋

『饅頭怖い』

　はあ、乱暴者のアイツが、饅頭が死ぬほど怖い？

　はあ。

　たくさん買って枕元に置いてやるか。

　おい、もしゃもしゃ喰ってるぞ！

　あの野郎！

　おい、てめえ、本当は何が怖いんだ！

「あー、熱いお茶一杯が怖い」

　おあとがよろしいようで。

　＋

『粗忽の使者』

　しまった！　ご用件を忘れてしまった。かくなる上は切腹いたす！

　いやいや、そこまで……。

　しまった！　屋敷を出る時、要件を聞いて来なかったんでござった！

　＋

『王子の狐』

　あ。狐が人間に化けやがった。俺を騙す気か。おう、玉ちゃん、久しぶりー！　酒でも飲みに行こう！　さ、勘定しないで逃げちゃえ。

　お前、罰当たりなことしたなあ。お狐様って神様だぞ。

　そうか。お詫びしよう……。

　母ちゃん！　人間が牡丹餅くれたよ！

　えー……？　馬糞じゃないだろうね……？

　＋

『猫の皿』

　おやおや。この爺さん三百両はする皿で猫に餌を喰わせてるぞ。ははーん。さては価値を知らないな。

　あのう。お爺様、お宅の猫ちゃんが可愛くて一目惚れしまして。三両で猫ちゃんを売ってもらえませんか。

　はあ。構いませんよ。

　どうもどうも。あ、猫ちゃん使い慣れたお皿の方がいいですね。これも、ついでにくださいな。

　駄目です。コイツは三百両はする値打ち物なので。

　は、はあ。だったら、どうして猫のご飯皿に？

　いやー、こうしていると、たまに猫が高値で売れるんです。何故か。

　＋

『蟇の油』

　さては皆様お立合い。この刀ですっぱり腕を切ってみせます。

　血がどぴゅー。

　そこでこの蟇の油を塗りますと……

　…………。

　あれ。

　お客様。

　どなたか血止めの薬をお持ちではないでしょうか……？

　＋

『花見酒』

　花見客に酒売って大儲けしようぜ。

　おう！

　飲みてえなあ。一貫出すから飲ませてくれ。

　まあ、いいや。客に売るのも、お前に売るのも同じだ。

　ありがてえ。ぐびぐびぐび。

　俺も飲みてえ。さっきの一貫お前に渡すから飲ませてくれ。

　いいよ。勘定は合うはずだ。

　ぐびぐびぐび。

　いい飲みっぷりだなあ。なあ、また一貫出すから飲ませてくれ。

　ぐびぐびぐび。はい。一貫。

　ぐびぐびぐび。ほらよ。一貫。

　ぐびぐびぐび。はい。一貫。

　ぐびぐびぐび。ほらよ。一貫。

　ぐびぐびぐび。はい。一貫。

　おかしいな。八両の売り上げになってるはずなんだけど。

　＋

『大工調べ』

　ほう。

　店賃を滞納したので商売道具の大工道具を差し押さえたか。

　なるほど。

　大家。

　お主、質屋の免状はあるのであろうな？

　やっていることは質屋だぞ。うん？

　ないと言うならば道具は返せ。

　＋

『松山鏡』

　お主、働き者と評判じゃの。何か欲しい物はあるか。

　あー。死んだおっ父に会いてえ。

　はあ。

　駄目でやんすか。

　お主、父親に似ていると言われるか。

　はあ。まあ。

　おい。鏡をくれてやれ。

　おっ父！　死んだおっ父でねえか！　おらだぞ！　分かるか？

　…………。

　あんた！　最近にやにやしていると思ったら、この不細工な女一体何！？

　＋

『狸賽』

　狸が恩返しにサイコロに化ける。

　まあ、所詮は狸なんだよなあ。

　口でいちいち指示出さないと望み通りの目出さないの。

　もちろんイカサマばーればれ。

　＋

『鹿政談』

　今で言う奈良県です。

　鹿を殺したら打ち首です。

　この野郎！　商売で売るためのおからを！

　死ね！　あ……。

　ああ！　破滅だ！

　おい、これは犬だよな？

　はい。犬です。お奉行様。犬を殺しても罪にはなりません。商売に励めよ。

　＋

『一眼国』

　一つ目の国があるのか。捕まえて見世物小屋に売ろう。

　…………。ここかー。うわあ！？

　おい、コイツ目が二つあるぞ。

　珍しいな。見世物小屋に売ろう。

　＋

『水屋の富』

　千両当たった。

　盗まれるのが怖くて仕方ない。

　盗まれた。

　ああ、やっと安心して商売出来る。

　＋

『千両みかん』

　夏だけどみかん喰いてえ。

　みかん問屋です。千両出せば売りますよ。

　せがれのためなら千両出すか。

　一房か二房喰えばいいや。残りは番頭さん。食べていいよ。

　このみかん、いくらで売れるんだ……！　旦那様、すみません！

　＋

『天災』

　お前な。雨に降られたからって、お天道様を怒りはしないだろう。

　小僧がうっかり水かけたくらい、雨に降られたと思って許してやれ。

　＋

『目黒のさんま』

　お殿様が迷子？　さんまの塩焼き喰いねえ。

　あの味が忘れられん！　さんまを持って参れ。

　あー。お吸い物にするか。

　何だ、これは！　やはりさんまは目黒に限る。

　＋

『寿限無』

　せがれに、いい名前をつけてやりてえんです。

「寿限無」というのはどうだ？　寿命が限りないという意味だ。

　ほう。

「五劫のすりきれ」というのはどうだ。仙女が三千年に一度下界に降りて、岩を撫でる。岩が完全にすり減るまでが一劫だ。それを五回繰り返す。つまり長生きということだ。

　ほうほう。

「海砂利水魚」というのはどうだ。海の砂や魚は無限にある。つまり寿命が長いということだ。

　ほうほうほう。

「水行末、雲来末、風来末」。水も雲も風も死ぬことはない。

　素晴らしい！

「食う寝るところに住むところ」

　おめでてえ名前だ！

「やぶらこうじ」。冬でも枯れない縁起のいい木だ。

　はあ。

「パイポ」国の「シューリンガン」王は「グーリンダイ」王妃との間に「ポンポコピー」「ポンポコナー」という姉妹を作った。とても長生きだったそうだ。

　なるほど。

「長久命」「長助」。どちらも長生きという意味だ。

　ありがとう、先生！　せがれや。お前は今日から「寿限無寿限無、五劫のすりきれ海砂利水魚の水行末、雲来末、風来末、食う寝るところに住むところ、やぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシューリンガン、シューリンガンのグーリンダイ、グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助」だ！

　＋

『時そば』

　美味い蕎麦だったなあ。一六文かい。一文、二文、三文、四文、五文、六文、七文、八文……。あ、今何時だい。

「へい、九つです」

　十文、十一文、十二文、十三文、十四文、十五文、十六文っと。へへ。またね。

　あー！　あの野郎、一文誤魔化してる。はあ。俺もやってみるか。

　一文、二文、三文、四文、五文、六文、七文、八文……。あ、今何時だい。

「へい、四つです」

　五文、六文、七文、八文……。

　＋

『茶の湯』

　隠居したので茶道をやってみよう。

　泡が立たないな。

　椋（むく）の皮でも入れてみるか。

　お茶菓子か。

　羊羹高い。

　手作りしよう。

　あー、またご隠居の客が雪隠に駆け込んでる。

　風流だねえ。

　＋

『牛ほめ』

　せがれや。伯父さんの新築の家、柱に穴が空いてるから火除けのお札を貼るといいですよと伝えなさい。

　伯父さん。この牛の〝ピー〟の穴に火除けのお札を貼るといいですよ。

　＋

『寝床』

　頼むから、ご隠居の素人浄瑠璃やめて欲しい。

　ｂｙ丁稚奉公一同。

　＋

『火焔太鼓』

　古道具屋やって数年。

　ぼろっちい太鼓が三百両で売れました。

　＋

『鼠穴』

　蔵に鼠が穴を開けた。

　そこから火が入って財産全部灰になった。

　……という夢を見た。

　本当、夢で良かった。

　＋

『二番煎じ』

　寒い中での火の用心の見回りきついねえ。

　お酒と鍋がなけりゃやってられませんよ、まったく。

　お酒また用意して。

　二番煎じだよ。

　＋

『文七元結』

　旦那様の金を落としたから死ぬしかない？

　てやんでえ！

　娘を売った金だが持って行け。

　娘は女郎になるだけで死にはしねえ。

　お前さんの命の方が大切だ。べらんめえ！

　＋

『芝浜』

　財布拾ったー！　豪遊だー！　酒だー！　ぐうぐう。

　あんた、財布って何？　それ、夢……。

　なのか。働いて取り戻さねえと……。大変だ。

　あんた、あの財布、夢じゃないんだよ……。落とし主、見つからなかったって……。

　なのか。いや、真面目に働くのが大切だ。お前はいい女房だ。

　＋

『千早振る』

　ご隠居。百人一首の千早振るって何ですか。

　ああ。とある相撲取りがな。千早太夫って花魁に振られたのさ。

　※　百人一首の時代に吉原はない。

　＋

『阿武松』

　おら、飯喰うしか能がねえ……。死ぬ。

　そうか。米たっぷり送ってやるから相撲取りになりな。べらんめえ。

　＋

『初天神』

　お父っつぁん。あれ買って！　これ買って！

　うるせえな。あ、久しぶりにやると凧揚げ面白え。ひゃっほう！

　ああ、お父っつぁんなんかと、お祭りに来るんじゃなかった。

　＋

『雪てん』

　初雪や　瓦の鬼も　薄化粧

　猿飛んで　一枝青し　峰の松

　初雪や　狭き庭にも　風情あり

　初雪や　犬の足跡　梅の花

　初雪や　二の字二の字の　下駄の跡

　雪の日に　坊主転んで　手鞠かな

　初雪や　せめて雀の　三里まで

　初雪や　草履を穿いて　隣まで

　初雪や　子供の持って　遊ぶほど

　雪の日や　あれも人の子　樽拾い

　初雪や　二尺余りの　大鼬

　＋

『夢の瀬川』

　夢の中で色っぽい女と会ったよ。

　いやだから、夢だって言ってるだろう。お前。

　＋

『粗忽長屋』

　あ、兄貴が死んでいる！　大変だ、兄貴！　あんた死んでるよ！

　何だって！　俺が死んでるだって！？

　死体を引き取りに行かなくちゃ！

　分かった！　行こう！

　うう。兄貴が死んでしまうなんて……。

　本当にな。俺が死んでしまうなんて……。

　兄貴、兄貴、兄貴……。

　あのさ。俺はこの通り死んでるんだけど、死体を担いでる俺は誰なんだ？

　＋

『鰻の幇間』

　へっへっへ。旦那。鰻おごってくれませんか。

　ああ、いいよ。

　へっへっへ。ご馳走になりやす。

　おう。たーんと喰え。

　いやー、ありがてえ。

　俺も喰った喰った。ちょっと厠。

　へい。ごゆっくり。

　おい、女将。勘定はアイツが払うからね。ＢＹＥ！　あ、新品の下駄履いてやがる。生意気だな。パチッちまえ。（退場）

　＋

『酢豆腐』

　おい、あの気取り屋の馬鹿旦那に腐った豆腐喰わせてやろう。

　ほほう。これは酢豆腐でありんすね。いやー、乙なもんでありんす！

　全部喰っていいよ。

　いやー、酢豆腐は一口に限りやす！（おげぇっ！）

　＋

『三枚起（き）請（しょう）』

　あの花魁、結婚しますって念書三枚も書いてやがった！

　悔しい。こうなったら三人で一度に押しかけてやろう！

　＋

『代り目』

　おい。うどん屋。

　あー、いや、俺はうどんが大嫌いだ。

　ちょっと酒のお燗をさせてくれ。

　いやー、やっぱ冷酒は駄目だな。

　おーい。うどん屋。もう一回来い。

　行かないのかい？

　どうせ二本目を燗させろって代り目です。

　＋

『紺屋高尾』

　ほう。貧乏職人が三年分の給金を貯めて、わっちに会いたいと言ってくれますか。

　いいでしょう。こういう人なら本当にわっちを大事にしてくれる。

　＋

『松曳き』

　植木屋。

　ははっ。

　あの松を植え替え出来るか。

　仰せのままに。

　ほう。ありがたいの。伝来の松であってな。酒でもあがれ。

　へへー！

　＋

『三軒長屋』

　あのさ。両隣。五月蠅いから引っ越して。

　分かった。俺が二つ隣に引っ越して、二つ隣の奴が俺の所に引っ越すことにする。

　＋

『一目上り』

　しなわるる　だけは堪えよ　雪の竹

　仁に遠き者は道に疎し　苦しまざる者は知に于し

　遠仁者疎道　不苦者于知

　おにはそと　ふくはうち

　＋

『片棒』

　俺が死んだら葬式はどうする？

　ド派手に。

　ド派手に！

　長男と次男は見込みがねえな……。

　別に。死体を樽に入れて担いで墓まで運ぶだけ。

　三男のお前が気に入った。運ぶのは俺も手伝ってやろう。節約節約。

　＋

『厩火事』

　あの人、私を愛しているのか分からない……。私、年上で髪結いで……。

　あー、孔子様はな。馬を大層可愛がっておられたが、厩が火事になっても使用人の心配をするだけで、「馬は無事だったか？」とは一言も聞かなかったそうだ。

　はあ。

　アイツが大事にしている瀬戸物を、ちょっと割ってごらん。

　おい、お前！　怪我とかしてねえか！

　あんた……私が大事なのかい？

　当たり前だ。瀬戸物はまた買えるが、お前に怪我をされたら俺は明日から遊んで酒が飲めねえ！

　＋

　これは知ってたか。

　あとはまあ、言葉遊びでな。

　はあ。マザーグースか。分からん。

　あー。ダンテの神曲は読まない方がいい。アレ、当時の金持ちを批判してるんだ。

　地獄に、どこそこの町の誰それがいるとか。僧侶とか。

　しょうもないんだな。読まないでいいよ。

　はあ。

　俳句？

　ふーん。

　①古池や

　②胸元や

　③トリモチや

　④鳳仙花

　⑤裏切りや

　⑥サイコロや

　中７

　①インドネシアの

　②パンプキンパイ

　③クリスマスには

　④ドラゴンブレス

　⑤春雨サラダ

　⑥万年氷

　下５

　①ウクレレよ

　②サボテンと

　③愛してる

　④またかいな

　⑤救急車

　⑥許嫁

　５、５、３か。

　裏切りや　春雨サラダ　愛してる

　何が起きたんだ。

　５、５、５？

　凄い確率だな。

　裏切りや　春雨サラダ　救急車

　毒ぅ！

　６、４、５。

　サイコロや　ドラゴンブレス　救急車

　ＴＲＰＧ世界に転生してる。

　嫌だな。アレすぐ死ぬんだよ。ゲームマスターが本気出すと。

　１、３、１。

　古池や　クリスマスには　ウクレレよ

　松尾芭蕉が東洋文明を見限ったっぽい。酷い。

　南半球にいるのか？　お前。

　４、６、２。

　鳳仙花　万年氷　サボテンと

　はあん。このくらいにしな。

　帰りなさい。織鶴ちゃん。

　叔父さんによろしく。