第6話 スキル トランクルームの選択


 スキルトランクルームが、展開されアシスタント生成が選択された。


アシスタントを生成するに当たり、その形態を選択することになる。幸いトランクルームの所持者は低レベルながらも鑑定持ちであるため、状況把握がしやすい。

また媒介として利用できる素材は情報収集端末であり更に情報収集がしやすい。


現状を鑑みて、アシスタント機能を万全に起動させるためには、相談しやすい形態が良いと選択された。


その選択に従い、同種であり同性が選択された。

異性の場合、相談し難い事案が発生する可能性が思考されたからである。


アシスタントが女性の場合、所有者がアシスタントの負担を軽くしようとして、不要な気遣いをする点が指摘されたためである。それではアシスタントの機能を万全に発揮することが難しくなるとの判断が下された。


次いで年代については、年下が選択された。

同性で相談しやすい、気安いだけであれば同年代が良いとも思考されたが、所有者の責任感や判断力をより助長するために年下が選択された。

また年代が異なることによって、アシスタントとして同行することが、よりスムースになる可能性も思考された。この場合も所有者の年齢を鑑み、年上よりも年下のほうが良いと判断された。


細かな形態については、所有者の世界及びこの世界の人型の平均値を取った。その上で敵対個体を減少する目的でより親しみやすく認識できるような見目を加えた。


アシスタントは、実体としてトランクルーム内の情報端末を用いたが、表現された表面は、そう見せることが可能である。


 

 その結果、



「アシスタントを起動しました」


アシスタントの出現は、所有者を弾き飛ばしてしまった。

アシスタントは、尻餅をついた体勢をしている所有者に手を伸ばす。所有者はその手を取り、立ち上がった。



「えっと、君は?」

戸惑ったような所有者に対して自己紹介をした。

「アシスタントです」


そうして、白金という存在が確立した。

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貸倉庫屋さん 小話 凰 百花 @ootori-momo

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