第46話 仲間と名付け

《緊急任務:〈No7〉を達成しました》

 緊急任務:〈No7〉北から攻めて来る竜人族を撃退しよう。

 達成条件:竜人族を撃退する。

 達成報酬:20,000開拓ポイント。



 あ、緊急任務だった事を忘れてた。

 まぁ無事に済んだだけで良しとしよう。


 改めて〈スーパー温泉〉へ来てみたが、もはや一種のエンタメ施設だな。

 男女別々になった脱衣所。

入り口の間には、店員が座る番台。


(湯屋番なんていなかったはずだが……)


「『奇跡の湯屋・ダイチ』へようこそ〜。お一人様、10銅貨になり……ダイチ神様!?……よ、ようこそいらっしゃいました。どうぞお入り下さいませ〜」

「え……?」


(『奇跡の湯屋』なんて名前付いてたのか……?)

《マスター、レーナ様が広めたと断定します》


 え、レーナが?

 いつのまにか番頭なんているし、ダイチ神って言ってたよな?


 あ、このエルフの子思い出した。

 ジャンポンしてたアルビアって子だ。


「アルビアだったよね? 湯屋番受付してるのか?」

「ッ!? わ、わたしの名前を知ってくださっているなんて……は、はい! 聖女様からの神託で、住民は順番に番台をやらなければ真の忠誠を得られないと。今週はわたし、アルビアの番でございます……ッ!? な、何か間違いがあったでしょうか……?」

「――い、いや大丈夫だ。ご苦労様」


 レーナの神託だと!?

 そもそも温泉と何ら関係ないし、住民から入浴料まで取っているとは思わなかった……。

 ま、まぁ楽しそうにしてるから放っておくか。


 中央に大浴場があり、囲む様に小さめの温泉がいくつもあり、それぞれの湯に効能が書かれていた。


 ・壱の湯:トロトロのお肌になる。

 バフ効果:24時間モテる。


 ・弍の湯:ツヤツヤのお肌になる。

 バフ効果:24時間良い匂いがする。


 ・参の湯:ピカピカのお肌になる。

 バフ効果:24時間光る。


 ・肆の湯:テカテカのお肌になる。

 バフ効果:24時間滑る。


 ・伍の湯:ムラムラのお肌になる。

 バフ効果:24時間ヤル気になる。


 ・神秘の湯:すべてを回復させる神秘の湯。

 効果:体力完全回復・魔力完全回復・気力完全回復・状態異常完治・病気防止・老化防止

 


 以前、レーナとシルフィが負傷した時に入れたのは、大浴場の神秘の湯だ。

 どうやら完全回復するのは神秘の湯だけのようだが、24時間光るとか何? って思っていたら、爺さんと婆さんの体が輝いている。


「爺さんや、今日はやけに眩しいね」

「そう言う婆さんもピカピカしとるのう」


 さらにその奥にはプールのスライダーや流れる温泉。

 屋台までズラリと並んでいる。


「「「いらっしゃい、いらっしゃい!」」」

「スパイシーなカレーはいかーがデースか〜」

「ハンバーガーとポテトにコーラの特製バーガーセットがお得ですよ」

「甘いスイーツもありますよー」


 この屋台は街の通りにもあるものだが、召喚もしていないのに何で増えてるんだ?


《マスター、二号店を開業したと断定します》

「二号店……」

《ちなみに〈スーパー温泉〉も進化可能です》

「え? マジ?」

《マジです》



 <進化前>    <進化後>

 スーパー温泉 → ハイパー温泉 2,000


      <残356,924KP>

ーーーーーーーーーーーーーーー


 ハイパー温泉:すべてがハイパーな神の温泉。

 効果:不壊・清潔・体力完全回復・魔力完全回復・気力完全回復・状態異常完治・病気防止・老化防止・バフ効果・忠誠アップ・レベルアップ

 必要KP:2,000(進化使用時)



「ん? レベルアップってどういう事?」

《一日一度だけ温泉に入るとレベルが1上がります》


 すげえ……。

 うん、これから毎日来よう。

 あ、住民がいるから進化できないのか。

 

《本日の深夜に退去命令を出し、進化しておきます》

「そ、それは助かる。さすがプランだ」

《このプランにお任せください。すべてはマスターのために》


 やっぱり最近のプランは何かがおかしい気がする。

 んじゃ、風呂入って飯食って寝よ。


 ◇


 翌朝。


「「「「「国王様、大変申し訳ございませんでした!!」」」」」


 あれ、国王って俺の事……?

 竜人族の様子を見に来たら、メルセスたちと同じ土下座からのスタートだ。

 改めてコイツらに<住民鑑定>をしてみる。


 名前:ドラール

 LV:50

 忠誠:信

 適職:竜剣士

 称号:無し


 名前:ドドーラ

 LV:48

 忠誠:信

 適職:竜剣士

 称号:無し


 名前:ドラーラ

 LV:49

 忠誠:信

 適職:門番

 称号:<フェロモンの権化>


 名前:ドーラン

 LV:47

 忠誠:信

 適職:竜剣士

 称号:無


 名前:ドラエマン

 LV:50

 忠誠:信

 適職:猫使い・国王の奴隷

 称号:<猫に愛されし者><国王に愛されし者>



 あれ? なぜかドラエマンの称号が増えているし、全員が忠誠〈信〉になっているぞ。

 メルセスたちは、赤バンだけが信者になったのだが、なぜだろうか。


《マスター、アイル様たちの仕業と断定します》

「またかよ……」


 ◇


「あぁ、その通りだ。誰か、神秘の湯を用意するのだ。アレを始めるぞ」

「アイル村長、すでにお持ちしてますよ」

「うむ。話が早くて助かるな」

「救世主様が作り上げられた楽園に無断に足を踏み入れただけでなく、侵攻してくるとは許さんぞ!」

「そうだ! クソトカゲに鉄槌を!」

「皆の者! ドラエマン以外へ放て!」

「「「ウインドカッター! ウインドカッター! ウインドカッター! ウインドカッター!……」」」

「「「「ドラーッ!」」」」

「わたしもするわ! えい!」

「ちょっ、ちょっと!? ラミーまで槍で刺すことないよ!?」

「何言ってるのよ、リブニット。ほら、あんたもしなさい」

「えぇ!? ボ、ボクにはそんな事できないよ……」

「それなら、わたしが教えてあげるわ。こう持って、こうよ」

「ドラーッ!?」


 ◇


《と、こんなことがありました》

(――ラミーが一番危ない子じゃないか……?)

《前回のイケメン君よりも酷く痛ぶったお陰で、より改心したと断定します》

(な、なるほど……)


 改心したようだし、解放してやるか。と、その前に聞いておくか。


「お前たちはなぜここへ来たんだ?」

「吾輩たちはティシリス聖教国へ向かっていた途中ドラ。城を見かけたので、前王様が立ち寄ったドラ」


 ふむふむ。

 同盟破棄での報復というやつか。


「今頃は戦を始めているに違いないドラ。いつかここにもやって来るドラ」

「来た所で返り討ちにするだけだ。それじゃ、お前たちはこの街の警備隊に任命する。ドラエマン、お前はペン銀の世話役を頼む」


「御意ドラ!」「「「「御意!」」」」


「世話役が決まったぞ。よかったな、ペン銀」

「ピュ〜イ♪」


 あ、そろそろペン銀の名前を付けてあげようか。

 色々と考えておいた候補がコレだ。


 1.俺のペットという意味で、ペットン。

 2.俺を癒すという意味で、リラックペン

 3.そのままの見た目で、シルバー。

 4.ただ可愛い感じで、ペンペン。

 5.日に当たると輝くため、銀ギン。

 6.鳴き声から、ピューイ。

 7.神獣扱いされているため、フェンリル。

 8.鋼鉄ボディから、メタリックバディ。



 むむむ。

 我ながらベリーナイスネーミングセンスだな。

 これまた悩む。


 やはり候補は、5番の銀ギンか。

 いや、8番のメタリックバディも捨てがたいな。ボディと相棒のバディをかけているのだからな。


 ただ、もう少し可愛いさをアピールした名前の方がいいか?

 よし、それっぽいのを絞りこむか。

 ということで、やり直し!


 1.ペットン

 2.リラックペン

 3.ペンペン

 4.銀ギン

 5.ピューイ


(この中では、やっぱり銀ギンが一番だな)

《銀ギン。とても良いと断定します》


 うーむ。

 ペットンは、ペットとしてあからさまか。

 ペンペンってのは単純だよな。

 リラックペンは、ちょっと長いし、本命の銀ギンは何となく強そうな感じだ。

 よし、決めた!


「お前の名前はピューイだ。よろしくな」

「ピュ〜イ♪」

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