第45話 デジャヴ
敵討ちか。
せっかく俺が考えた、『王を倒せば部下が一目散に逃げて行く所を一網打尽に捕らえて牢屋に入れて改心させて仲間にして大宴会を開いて朝まで飲もうよ作戦』が不発に終わってしまったな。
まぁ予定が変わる事はあるし、そればかりは仕方ないか。
《自動迎撃システムが発動しました》
「え? 自動迎撃?」
あ、〈城〉の砲台が勝手に攻撃しまくってる。
すげえ……俺に辿り着く前に倒されていくぞ。
「クソッ、一体何だと言うのだ……」
「セイリオス隊長、ここは一度引きましょう。我らは元より聖教国を滅ぼすのが目的です」
「クッ……貴様らよくも我らが王を……覚えておくがいい!」
またどこかで聞いた台詞だな。
何を覚えておけと言うんだ?
そもそも王を倒したのは、完全に自己防衛だ。
決して過剰防衛ではない。
何もしなければ俺だけでなく、仲間たちも酷い目に合っていた。
俺は、やられたらやり返す。
やられそうになればやる。
ハンムラビ式だからな。
「トカゲがパタパタと飛んで来ただけだろうが」
この世界のヤツは、攻めたヤツが不利と見るや、「お、お前ら、覚えとけよ!」と、捨て台詞だけ吐いて逃げて行くモブしかいないのかも知れないな。
黒竜も見た目だけで、砲台や魔法隊、ルナリスたちにあっさり撃ち落とされていくし。
あのセイリオスとかいうトカゲも<住民鑑定>してみた所、ぶっちゃけ大して強くなかった。
名前:セイリオス・ドラゴ・アドマギア・ヴェガ
LV:65
性別:男
年齢:743才
種族:竜人族
適職: 副官
スキル:<身体強化LV10><槍技LV10><言語理解><竜魔法LV10><竜化><鑑定><威圧><統率><狡猾><恫喝><恐喝>
称号:<人族キラー><獣人族キラー><エルフキラー><ドワーフキラー><魔族キラー><D級キラー>< C級キラー><B級キラー><A級キラー><S級キラー><戦闘狂>
忠誠:無
クソトカゲの弟っぽいのは分かるが、そんな事はどうでもいい。
ただ一つ言えるのは、今や俺の前で強さは関係無いという事だ。
そんな事を考えている間に、「ドガンッドガンッ!」と、鳴り響いていた城の自動迎撃システムの攻撃が止まった。
五匹ほど落下したので、捕らえて牢屋に入れておく。
黒竜は牢屋に入らないので、ひとまず城壁で囲んで放置だ。
「おい人間共、我らをこの様な所に閉じ込めて、どうなるか分かっているのか……」
五匹共が黒い鎧を纏った緑色の半人トカゲだ。
見た感じ、全くもって見分けが付かない。
何ならリザードマンにすら見えてくる。
ひとまずコイツらも<住民鑑定>だな。
名前:ドラール
LV:50
忠誠:無
適職:竜剣士
称号:無し
名前:ドドーラ
LV:48
忠誠:無
適職:竜剣士
称号:無し
名前:ドラーラ
LV:49
忠誠:無
適職:門番
称号:<フェロモンの権化>
名前:ドーラン
LV:47
忠誠:無
適職:竜剣士
称号:無し
名前:ドラエマン
LV:50
忠誠:無
適職:猫使い
称号:<猫に愛されし者>
「ドラエマンだと……」
俺が元いた世界の猫型ロボの名前にそっくりじゃないか……。
よし、コイツは気に入った。
有能なら幹部に迎えよう(そんなものは無い)
「わ、吾輩の名前をなぜ知っているドラ?」
「そんな事より、お前らはなぜここへ来た?」
「ドラララッ! 人間如きに教えるとでも思っているドラ?」
語尾のドラが気になるが、予想通りの答えだよな。
ま、一日経てば改心するし、放っておくか。
「貴様ら、あたしの旦那に向かって何たる言葉を……我慢ならんぞ! これでも食らえ!」
「グギャッ!?」
あら? ルナリスが勝手にドラールとかいうヤツに弓
を放ったぞ……。
「そうだ、そうだ! みんな! やっちまえ!」
おい、ルナリスが攻撃したせいで、エルフたちも魔法の詠唱を始めたじゃないか……。
メルセスたちと同じ目に合わせるつもりだが……ま、ちょっと見てみようか。
「「「ウインドカッター!」」」
「「「「「グギャッ!?」」」」」
「ざまぁ見やがれ。竜人共が」
「あぁ、スッキリしたぜ」
「え? もう終わりなの? ほーんと、みんな甘いわ。ちょっとボコボコにしたぐらいじゃ懲りてないわ。だってこの竜人たちは勝手に攻めて来たんでしょ? 槍とか剣で刺しちゃえばいいのよ」
「ちょっ、ちょっとラミー、何てこと言うんだよ!?」
「だって、それくらいしないと反省すると思えないもん」
……あれ? 何か聞いた事がある様な?
デジャヴか?
やっぱ、ラミーにはちゃんとした道徳を覚えさせる必要があるかも……。
「あー、みんな、コイツらを殺すなよ? それと、ドラエマンは俺のお気に入りだからな」
「「「ドラエマンですか……か、かしこまりました!」」」
「それでは、わたくしはお祈りのお時間ですので、大聖堂へ行かせていただきますわ」
「わたしはご夕飯のお支度をしますね」
「あたしはシルフィとドラスポでレベル上げをするか」
「ん。シルフィ頑張る」
「それじゃ、俺は疲れたから温泉にでも行ってくるわ」
「あ、ダイチ様、私も行きます」
こうして、俺たちは一度解散する事となった。
「皆の者、聞いたか? あの右端にいる者がドラエマンだ」
「アイル村長、あのドラエマン以外ならボコボコにしても良いって事ですよね?」
「あぁ、その通りだ。誰か、神秘の湯を用意するのだ。アレを始めるぞ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます