転生開拓者のRestart 〜ご都合主義が激しすぎる能力で死の荒野を開拓しています〜

第42話 魔族キラー

「「「「「く、く、くくくくくくくくくくくくくくっせえええええええええええええええええええええええええええええええええええええぇーッッッ！！！」」」」」

　さすがは、シキ神様だ。

　見事に全員気絶した。

　〈牢屋〉を五つ召喚して警備兵たちをぶち込んで行く。

「ふぅ〜、こえでひとまにゅ大丈うだにゃ」

　砦の中に入ると、石造りの階段が下まで続いていた。

　俺は足音を立てないようにゆっくりと下りていく。

　薄暗い中、しばらく下りていくと話し声が聞こえてくる。

「喜べ。お前たちはあの方の生贄になってもらう」

「生贄だと……？」

「あの時は目障りなだけだったが、今は状況が変わってしまってな。あの方は力を欲しているのだ。力ある者を喰らう事により、あの方はさらに強くなる」

　ん？　生贄がどうとか聞こえたが、残す敵は魔族と兵士長らしきヤツが一人。

　盗み聞きは性に合わないので、さっさと先制攻撃を仕掛けるとする。

　だが、ここはかなり狭い。

　〈木柵〉や〈石壁〉で閉じ込めるスペースは無いからな。

（むむむ、どうしよ……）

「ん？　何か臭うな？」

　あ、やべっ、ゲテの臭いがここまできてるのか。

　考えてる暇は無さそうだ。

　ま、単純に考えれば、狭い場所で戦えないのなら、広い場所へ移動させればいいだけか。

「く、くくくくくくっせえええええええぇーッ！　こ、これは一体なんだというのだ……」

　よし、成功だな。

　転移魔法陣を配置変更して、魔族の足元に置いてやった。

　すぐさま起動して地上に移動したわけだが、兵士長はすぐに気絶。

　だが、こいつはなかなかしぶとい。

　さすがレベルが高いだけはある。

「き、お前は何者だ……？」

「木柵木柵木柵木柵木柵！」

　俺は何も答えず、不壊の木柵で閉じ込める。

　相手に合わせて答える義理はないし、そもそも余計な隙を与えることにもなりかねないからな。

「ふ、ふはははッ！　この様な柵で私を閉じ込めたつもりか？　私を誰だと思っているのだ」

「お前は魔じょくだりょ？」

「き、奇怪な物を身に付けた道化が……。私を舐めているのか……」

「別ににゃめてにゃんかにゃいじょ」

「こ、殺す！」

　おぉッ。これはオークロード以上のプレッシャーだな。正面からやりあえば確実に殺されるだろうな。

　ま、そんな事しないけど。

「グオオオオッッ！！　な、なぜ壊せんのだ！　こんな柵如き……」

　ん？　黒い角に黒い翼か。

　魔族らしく悪魔っぽく変身したな。

　まぁ何をやっても動かせないし、壊れないから安心安全。

　さっさと終わらせて助けてやらないとな。

　魔族なら闇属性で間違いないだろうから、アレが一番効くよな。

　俺はいつもの聖剣を構える。

「突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜ッ！」

「ぐはッ！　わ、私の体に傷を……」

　おー、まだ生きてるのかよ。というか、あんまり効いていない気がする……。

　ま、今まで倒してきた方法で試してみるか。

「これにゃらどうにゃ！　落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上落上ッ！」

「ぐふ……こ、これしきの事で……」

「まだにゃ！　これでも食らえ！」　

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオォッッ！？」

　ふっふっふ。

　よしよし、苦しんでるぞ。

　ゲテ料理を顔面に思い切り投げつけやったからな。

　普通なら即失神痙攣コース間違い無しなんだが、やはりレベルが高いだけあって相当タフだ。

　だが、これはこれで絶大なダメージ。

　う、こいつゲロゲロしやがった。

　ま、仕方ないか。

　よし、このまま聖剣と傘の二刀流でフルボッコだ。

「突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜ッ！」

「ぐはッ！！　い、一体何者な…」「答えりゅ義理はにぇにょ」

　後はくたばるまで続ける簡単なお仕事だ。

「突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜突抜ッ！」

「――て、転移…………」

　え？　消えた！？

　転移して脱出できるのかよッ！？

「死ねえええぇッ！」

《マスター！　かがんで回避をして下さい！》

（うわッ！？　あっぶねえッ！？）

　俺の髪の毛がぁ……！

　やばいやばいやばいやばいやばいやばい。

　絶対に逃げられないと侮った。

「い、今のを避けるとはな……」

「生憎と運だけはいいんだにょ」

「わ、私を前にして、運だけで生き残れるとは思わない事だ」

「石壁石壁石壁石壁石壁！」

　とりあえず、石壁で自分を囲ったのはいいけど、どうやって倒せばいいんだ？

　転移魔法なんてものを使えるなら、〈牢屋〉に入れても逃げられるだろうし、木柵の攻撃も、聖剣と傘の二刀流でも倒せないのなら、松明技も役に立ちそうにないだろうな。

「ふ、ふははは。今度は石壁か、変わった土魔法だが、私の前では何の意味も成さぬぞ。地獄の炎よ……ヘルフレイム！」

　う、なんかめっちゃ暑い。

　いや、どちらかといえば熱い。

「ふぅ……仕方ないか」

　今までの攻撃が通じない相手が現れた場合、どうすれば対応できるのか、密かに温めておいたアレをやるか。

　転移魔法陣を魔族の足元に再び設置してと。

「なッ！？　こ、これは……？」

《マスターのレベルが42に上がりました》

　ＬＶ：42

　スキル：＜剣技LV6＞＜盾技LV4＞＜言語理解＞＜柵技LV7＞＜松明技LV2＞

　称号：＜異界の開拓者＞＜転生者＞＜スライムキラー＞＜リザードキラー＞＜オークキラー＞＜魔族キラー＞＜D級キラー＞＜ C級キラー＞＜B級キラー＞＜A級キラー＞＜S級キラー＞＜拷問好き＞

　称号効果：＜開拓術・極＞＜？＞＜スライム与ダメージ2倍＞＜リザードマン与ダメージ2倍＞＜オーク与ダメージ2倍＞＜魔族与ダメージ2倍＞＜D級魔物与ダメージ2倍＞＜C級魔物与ダメージ2倍＞＜B級魔物与ダメージ2倍＞＜A級魔物与ダメージ2倍＞＜S級魔物与ダメージ2倍＞＜拷問時精神耐性大UP＞

　ＫＰ：174

　よし！　

　レベルが上がったって事は、無事に倒せたな。

　ま、さすがに上空三万メートルの無酸素状態では耐えれないよな。

　転移魔法陣最強説というやつだ。

　さてと、ガトーたちを助けてやらないとな。