第43話 世界最強

「「「領主様、申し訳ありませんでした!」」」


 ひとまず、ガトーたちを超転移魔方陣で拠点に連れ帰った後、スーパー温泉に入れてやった。


「それで、あの魔族は何者なんだ?」

「ヤツは王国の親善大使を務めるクランという者です。私とは古くからの仲でしたが、まさか魔族とは思いもしませんでした……」


 なるほど。やはり、ヴァイスクローゼ王国に魔族が紛れ込んでいたのか。

 むむむ、何とも嫌な予感がするが、俺は関わりたくないんだよな。テンプレ展開なら魔族が王を洗脳、もしくは魔族が王と入れ替わっていて、仮に居場所がバレたら、この拠点に攻め込んで来る。といった所か。

 

 ま、こちらからわざわざ攻めに行くのはナンセンスだし、とりあえず放置でいいな。

 そのうち向こうから勝手に来るだろうし、攻めて来れば返り討ちにし、全員牢屋にぶち込んで住民にすればそれで終わりだ。


 あー、そんな事態になるならS級冒険者たちをスパイにする必要は無かったかもな。

 まぁどうなるか分からないし、考えるのはやめにしよ。

 

「ま、お前たちが無事で良かったって事で、この件は終わりにする」

「か、感謝致す」「「「ありがとうございます!」」」


 ひとまず今日は疲れた。

 とりあえず自宅に引き篭もるとする。


 ◇


 三日後。


《マスター、本日は雨後、緊急任務でございます》

「ふぁ〜。おはよ〜って、緊急任務かよ……」

「ダイチ様、ようやくお目覚めになられましたか。もうお昼を過ぎていますよ」


 え? ガチ?

 どうやら疲れ過ぎていたのか、そろそろ夕方だ。

 あぁ、ようやく平穏な連休が続いていたのに、また緊急任務かよ。

 俺に静寂という時は来ないのだろうか……。


 あぁそうだ。

 あれから、王国スパイのメルセスたちのお陰で、この拠点に移住者が増えてきた。

 ざっと120人だ。


 ここに神の楽園があると街の者に吹き込んでいる様で、これからも続々とやって来ると、元王国の者たちから聞いた。


 拠点はここ二日は特にいじってはいない。

 自宅や城、植物園や魔物園など、全体を見回っていただけで丸二日が過ぎたからな。


 ちなみに、今の拠点ステータスはこんな感じだ。


 拠点:共存の街

 LV:9

 住民:11,086

 開拓:<召喚><強化><進化><?>

 任務:45

 スキル:<念話共有><配置変更><住民鑑定><?>

 領域:半径100km

 KP:221,174(1日経過+110,860KP)



 今日から開拓をと思っていたら緊急任務が発生したわけだ。


 緊急任務:〈No7〉北から攻めて来る竜人族を撃退しよう。

 達成条件:竜人族を撃退する。

 達成報酬:20,000開拓ポイント。尚、未達成の場合は、10,000開拓ポイントのペナルティを受ける。



 おおッ! 竜人族か!

 内心会って見たかった最強の竜人族がやって来るとはな。嬉しい気持ちもあるが、まさか初対面で敵対する事になるとは思わなかった。


 基本的にこの世界の連中は、好戦的なヤツが多すぎるんだよな。


 よし、是非とも牢屋に入れて仲間に迎え入れよう。

 仲間にするためなら、どんな卑怯な手も使ってやる。


「ダイチ様、相手は世界最強の竜人族です。お気をつけ下さい」

「そうだぞ、ダイチ殿。あたしでも手に負えないかもしれないからな」

「御領主様、わたしは愛情たっぷりの料理を作ってお待ちしております」

「わたくしがなぶり殺しにしてみせますわ」

「ん、シルフィすんごい頑張る」

「大丈夫だ。すでに策は考えているからな」

「さすがはダイチ様ですね。いつもいつも感激します」

「ピュ〜イ♪」


 ん? そういやペン銀もベッドに来たんだよな。

 俺に任せろってか。

 いや、お前は流石に無理だぞ(何せペットだし)


 ま、気持ちだけは受け取っておく。

 コイツの言ってる事が手にとる様に分かる様になった。<言語理解>は魔物には通用しないらしいが、俺には分かる。これも七不思議にしておく。

 っと、そんな事より、そろそろ準備しておかないとな。


 ◇


 お、きたきた。って多いな!?

 五百体ってところか。

 まさに俺のイメージ通りの全身緑色の竜人族が黒竜に跨がっている。

 ひとまず、相手の出方を見るとするか。


(プラン、いつもの頼む)

《承知しました。竜人族512名が住民になりました》

《一日経過しました。115,980KP獲得しました》


《任務:〈No16〉を達成しました》

 任務:〈No16〉竜人族を住民にしよう。

 達成条件:竜人族を住民にする。

 達成報酬:10開拓ポイント。



 よし、とりあえず先頭の偉そうなヤツを鑑定っと。


 名前:グラディオス・ドラゴ・アドマギア・ヴェガ

 LV:78

 性別:男

 年齢:973才

 種族:竜人族

 適職: 竜人王・執行者

 スキル:<身体強化LV10><槍技LV10><言語理解><竜魔法LV10><竜化><瞬歩><鑑定><威圧><統率><狡猾><恫喝><恐喝>

 称号:<覇王の素質><人族キラー><獣人族キラー><エルフキラー><ドワーフキラー><魔族キラー><D級キラー>< C級キラー><B級キラー><A級キラー><S級キラー><拷問狂い><パワーハラスメント><セクシャルハラスメント><ハーレム王><戦闘狂>

 忠誠:無

 


 超強え……。

 あの魔族なんかと比べ物にならない程に。

 これまた称号も色々と引っかかるが、ヤバいヤツ確定だな……。

 

 ま、今の俺には強さなんて関係ないが。


「貴様、この国は一体どうなっておるのだ?」


 漆黒の鎧を纏った王らしきヤツが俺に声をかけてきた。

 初対面で貴様なんて言われる筋合いは無い。

 失礼なヤツだ。


「貴様こそ俺の国に何の用だ?」


 ムカついたので俺も同じように返してやった。


「貴様だと? ふ、まぁいい。我に二度同じ事を言わせるなよ小僧。この国は何だと聞いておる」


 おー、これまたすげえ威圧だ。

 これが世界最強の竜人族の<威圧>か。

 普通ならお漏らし確定だな。


「何だって言われてもな。俺が作ったんだよ。用が無いなら帰ってくれ」

「作っただと? 貴様が? ふ、我はアドマギア帝国の王。偵察は常にさせておる。一月前まではただの荒野。たった一月でここまでの国を作り上げるとは俄かに信じがたいが」


 一月? いえ、十日です。

 何て言わない方がいいのか?

 それに、ここは一応王国の領土だよな。

 領土侵犯とやらになるんじゃないか?

 ま、裁くやつは誰もいないけど。


「信じるも信じないも見れば分かるだろ? さ、用が無いなら帰ってくれ。俺は忙しいんだよ」


 帰れと言いつつ、竜人族は仲間にするのは変わらない。だが、コイツだけは超うざい。


「ふむ。貴様は危険な存在だな。ティシリスを滅ぼす前にこの国も潰しておくとしようか」


 あー、やっぱ戦闘になるんだな。

 ま、予定通りといった所だ。

 いっちょやってやるか。

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