第33話 開拓時代

「おいッ、あの魔物の群れは一体何だ!? なぜゴブリンキングが複数もいやがる。他にもA級の魔物がうじゃうじゃいたぞ……それにオークやリザードマン、人狼族やエルフまでどこへ消えやがった。あの魔物にやられでもしたというのか……」

「ま、まぁ今は逃げ切れただけマシじゃねえっすか、フォルクスさん。それにヤツら俺たちを襲う気配はなかったっすよ」

「確かに言われてみればそうだが……エルフ村にとびっきり美味え酒があるって聞いたから来たものの、これじゃとんだ無駄足だぜ。たまの休みというのに、なぁオペル」

「………………」

「おい、オペル聞いてる…」「あれ見てほしいっす。あんな所に城壁が見えるのは気のせいっすか?」

「あん? 何言ってんだ、おめえ。ここから先は死の荒……野…………」


 ◇


「さてと、開拓の続きといこうか」


 まずはセール中の〈すごい畑(50)〉と〈すごい果実の木(50)〉を10個ずつ追加する。


 お、ちょっとした果樹園みたいだな。

 これで数千人ぐらいまでなら賄えると思う。


 続いて、南側にも〈井戸(10)〉を一つ追加。

 飲み水は家に蛇口があるとしても、外にあるのは北の広場だけだし。

 

 後は子供たちや年配の方に、憩いの場としての公園がほしい所だな。


 

 <マスターの必須品>

 公園    50

 すごい公園 500

 植物園   1,000

 魔物園   1,000

 遊園地   5,000

 

  <残り10,735KP>

ーーーーーーーーーーー



 また出た、すごいシリーズ。

 ひとまず今は必要な施設を建てまくって明日にでも見ようと思う。


 〈すごい公園〉を中央に置いて、東西南北に〈公園〉を一つずつ設置した。


 公園:住民のために設けられた庭園。

 効果:不壊・清潔・環境耐性・意思疎通(小UP)

 必要KP:50


 すごい公園:住民のために設けられたすごい庭園。

 効果:不壊・清潔・環境耐性・体力(小UP)・意思疎通(大UP)

 必要KP:500



「おぉッ! これぞ憩いの場だな」


 ブランコや滑り台、ジャングルジムに鉄棒と砂場。

 綺麗な水が舞う噴水と彩り豊かな花壇にベンチ。

 公衆便所も付いて、これぞ、ザ・公園。


「お母さん見てー。こんな所に広場があったよー」

「あら、本当ね。こんな所あったかしら?」


 早速、みんな興味津々で公園に行った。


「次は〈植物園〉と〈魔物園〉でも建ててみるか」


 ガラ空きになっている西側に建てることにした。



 植物園:様々な植物が咲き乱れるフラワーホール。館内スタッフ付き。

 効果:不壊・不朽・清潔・防音耐性・環境耐性・美的感覚(中UP)・学習能力(小UP)・不老不死(スタッフ)

 必要KP:1,000


 魔物園:生きた魔物を飼育・研究して公開する施設。飼育員付き。

 効果:不壊・清潔・環境耐性・美的感覚(中UP)・学習能力(中UP)・不老不死(魔物、飼育員)

 必要KP:1,000



 植物園は全面ガラス張りのピラミッド型の建物だった。

 外からでも緑や多種多様な花が見えて何とも美しい。

 みんなの癒しの場になってくれればと思う。


 魔物園は、俺が前世で見た動物園とほぼ同じ作りっぽい。ただゲートが不気味で、中に入れば殺されそうな雰囲気をかもし出している。

 人気が出るかは不明。


 〈遊園地〉は悩んだが、他に建てたい施設があるため見送ることにした。


「「「こ、これが領主様のお力か……」」」


 さっきから地鳴りが続き、見たことがない施設がポンポン出現しているからか、慣れない住民たちは驚きながら眺めている。


 俺は無視して、この調子でどんどん召喚する。


 あと必要なものは屋台などの飲食店だ。

 もちろんエリスが作る料理や、シキ神様の料理ガチャも最高に美味いが、みんなが食べれるほどの用意は無いし、村がより活気付くのは間違いないだろう。


 雰囲気大事。

 ということで、ドーンッ!

 

 <マスターの必須品>

 屋台       10

 立ち飲み屋台   50

 定食屋台     50

 ラーメン屋台   50

 丼ぶり屋台    50

 カレー屋台    50

 うどん屋台    50

 蕎麦屋台     50

 おでん屋台    50

 焼き鳥屋台    50

 焼肉屋台     50

 串カツ屋台    50

 ハンバー屋ー台  50

 イタリ屋台    50

 ケーキ屋台    50

 パン屋台     50

 カフェテラス   100

 純喫茶      100

 甘味処      100

 酒場       500

 ファミレス    500

 回転寿司     500

 ステーキハウス  1,000

 割烹料理屋    1,000

 レストラン    1,000

 高級レストラン  5,000

 回らない寿司屋  5,000

 料亭シキ     5,000(※セール中)

 

     <残り8,045KP>

ーーーーーーーーーーーーー



「むむむ…………」


 色々と店が屋台になっているし、ツッコミ所はあるが、料亭シキってあのシキ神様のことだよな……。


 セール中とはいえ、さすがにKPがキツい。

 でもいつもお世話になってるし……いや、シキ神様には悪いが、500KPまでの店を召喚することにする。



 屋台:屋根が備え付けられた小屋。

 効果:不壊・清潔

 必要KP:10


 立ち飲み屋台:立ったまま酒を飲むスタイルの屋台。よく喋る店主付き。

 効果:不壊・清潔・意思疎通(小UP)・不老不死(店主)

 必要KP:50


 定食屋台:住民の味方、大衆屋台。気前のいい店主付き。

 効果:不壊・清潔・魅了・不老不老(店主)

 必要KP:50


 ラーメン屋台:名物濃厚オーク骨ラーメン屋台。こだわりがすごい店主付き。

 効果:不壊・清潔・魅了・不老不死(店主)

 必要KP:50


 丼ぶり屋台:一椀完結の屋台。気前のいい店主付き。

 効果:不壊・清潔・魅了・不老不死(店主)

 必要KP:50


 カレー屋台:辛い! 美味い! スパイシーな辛さと旨さがクセになる屋台。こだわりがすごいターバン店主付き。

 効果:不壊・清潔・魅了・不老不死(店主)

 必要KP:50


 うどん屋台:モチモチツルツル。喉越し抜群の屋台。こだわりがすごい店主付き。

 効果:不壊・清潔・魅了・不老不死(店主)

 必要KP:50


 蕎麦屋台:かけ込み一杯。年越し必須の屋台。こだわりがすごい店主付き。

 効果:不壊・清潔・魅了・不老不死(店主)

 必要KP:50


 おでん屋台:熱々ホクホク。寒い時期に最高の屋台。よく喋る店主付き。

 効果:不壊・清潔・魅了・不老不死(店主)

 必要KP:50


 焼き鳥屋台:串に刺した鶏がたまらない屋台。こだわりがすごい店主付き。

 効果:不壊・清潔・魅了・不老不死(店主)

 必要KP:50


 焼肉屋台:炭火で焼いた肉は最高。住民が焼いて食べる屋台。こだわりがすごい店主付き。

 効果:不壊・清潔・魅了・不老不死(店主)

 必要KP:50


 串カツ屋台:揚げたてサクサク。二度漬け禁止の屋台。厳つい親父付き。

 効果:不壊・清潔・魅了・不老不死(親父)・出禁(二度漬け者限定)

 必要KP:50


 ハンバー屋ー台:ファーストフードNO1の屋台。手際がいい店主付き。

 効果:不壊・清潔・魅了・不老不死(店主)

 必要KP:50


 イタリ屋台:生パスタと釜焼きピッツァを供する屋台。こだわりがすごい店主付き。

 効果:不壊・清潔・魅了・不老不死(店主)

 必要KP:50


 ケーキ屋台:オシャレな甘いスイーツを供する屋台。こだわりがすごい店主付き。

 効果:不壊・清潔・魅了・不老不死(店主)

 必要KP:50


 パン屋台:朝から焼きたてふわふわの香りが漂う屋台。こだわりがすごい店主付き。

 効果:不壊・清潔・魅了・不老不死(店主)

 必要KP:50


 カフェテラス:解放的なテラスがある若者向けの店。イケメン店長と店員付き。

 効果:不壊・清潔・魅了・不老不死(店長、店員)

 必要KP:100


 純喫茶:落ち着いた雰囲気のコーヒー専門店。おしどり夫婦付き。

 効果:不壊・清潔・魅了・不老不死(夫婦)

 必要KP:100


 甘味処:甘いお菓子を供する年配向けの店。おしどり夫婦付き。

 効果:不壊・清潔・魅了・不老不死(夫婦)

 必要KP:100


 酒場:木樽のエールが美味い店。元冒険者夫婦付き。

 効果:不壊・清潔・魅了・不老不死(夫婦)・出禁(荒くれ者限定)

 必要KP:500


 ファミレス:メニュー豊富な家族向けの店。店長と店員付き。

 効果:不壊・清潔・環境耐性・魅了・不老不死(店長、店員)

 必要KP:500


 回転寿司:魔石で動く小皿の寿司を、住民が自由に選び取る、半セルフサービスの店。店長と店員付き。

 効果:不壊・清潔・環境耐性・魅了・不老不死(店長、店員)

 必要KP:500



「「「いらっしゃい、いらっしゃい!」」」

「二度漬け禁止!」

「スパイシーなカレーはいかーがデースか〜」

「ハンバーガーとポテトにコーラの特製バーガーセットがお得ですよ」

「焼き立てのパン美味しいですよ〜」

「甘いスイーツもありますよー」


 召喚した直後、すぐに屋台の人たちが呼び込みを始めた。召喚した店員たちの頭上にはアイコンが浮かんでいた。

 住民じゃないから見やすくていい。


「ねえ、すごくいい匂いしない?」

「本当ね。私はハンバーガー? 食べてみたいわ」

「私は甘いものにするわ」


 続々と匂いに惹かれて、住民たちが集まってきた。

 なかなかいい出だしだ。


 難民の中には、料理人が何人かいるとプランに教えてもらったので、ひとまず無人の〈屋台〉だけ10軒召喚しておいた。


 〈屋台〉には【テナント募集中】と張り紙がされていた。


「てなんと? ありがとうございます、プラン様。この屋台で開業できるのか。今までは雇われだったが今度は自分でやってみるか」

「僕は故郷の郷土料理屋をしたかったんだよな。屋台だし手軽でできそうだ」


 早速、集まっているようだ。


 後は広場から南に向かって、一軒ずつ向かい合わせに召喚。

 これで、ちょっとした食い倒れストリートになった。


 だが、まだまだ足りない。

 俺の欲望は抑えられない。

 次はコレだ。



 <マスターの必須品>

 道具屋   1,000

 武器屋   1,000

 防具屋   1,000

 装飾品屋  5,000

 魔石屋   5,000

 魔本屋   5,000  

 

  <残り5,295KP>

ーーーーーーーーーー



 異世界といえば、やはり武器屋だ。

 村には武器も防具も圧倒的に足りない。

 使う時が来るかは分からないが、雰囲気は大事だ。


 ただ、プランがおすすめしてくる施設を見れば見るほど全部欲しくなる。


 〈魔本屋〉は、おそらく読めば魔法が使えるようになる本屋だと思うし、俺も一度は「ファイアボール!」 とか言ってみたい。


 欲しい……欲しい……欲しい……。

 いやいや、負けるな俺。

 それらはまた後でいい。

 結局、〈魔本屋〉はやめておいた。


 道具屋もポーションとか売ってるだろうけど、ここには〈スーパー温泉〉があるから今は必要無い。


「〈武器屋〉と〈防具屋〉で決まりだな」



 武器屋:豊富な品揃えが自慢の武器屋。厳つい親父付き。

 効果:不壊・不錆・清潔・環境耐性・不老不死(親父)

 必要KP:1,000


 防具屋:豊富な品揃えが自慢の防具屋。厳つい親父付き。

 効果:不壊・不錆・清潔・環境耐性・不老不死(親父)

 必要KP:1,000


 

 そうそう、コレコレ。

 厳つい親父がいる武器屋と防具屋が欲しかったんだよ、って鋭い眼光でジロジロ見てくるなよ……。


 これで必要最低限は露そろったが、まだまだある。


 髪切りたい、服変えたい、靴欲しい……ってことで、続いてコレだ。


 <マスターの必須品>

 美容院   500

 服屋    500

 靴屋    500

 

  <残り3,295KP>

ーーーーーーーーーー



 美容院:カリスマ美容師付きの美容院。

 効果:不壊・清潔・環境耐性・オシャレ度(中UP)・不老不死(カリスマ美容師)

 必要KP:500


 服屋:豊富な品揃えが自慢の服屋。押し売り店長付き。

 効果:不壊・不汚・清潔・環境耐性・オシャレ度(中UP)

 必要KP:500


 靴屋:豊富な品揃えが自慢の靴屋。押し売り店長付き。

 効果:不壊・不汚・清潔・環境耐性・オシャレ度(中UP)

 必要KP:500

 


「お、そこのお兄さん。この服絶対似合うから買うといいよ。絶対モテるようになるからさ〜。絶対だよ〜」

「そこのお姉さん。今年流行りのスニーカーなんていいと思いますよ〜。悩むより買いましょ、ね、ね、ね」


 ――この店の召喚は失敗したかも知れない。


「ま、こんなものでいいだろ」

  

 せっかくだし、晩飯は屋台を食べ歩きして自宅に帰るとするか。


 ◇


「陛下、大変でございます!」

「何をそんなに慌てておる、ヌーロ丞相よ。普段のお主らしくないではないか。何があったというのか、言ってみるがよい」

「はっ。クワトロ大森林に行った冒険者が、北の領土にて城壁を確認したと聞きました。先遣隊を編成し、偵察に行くのがよいかと」

「ホッホッホッ。何を言うかと思えば北の領土に城壁じゃと? あそこは草木も生えない死の荒野じゃ。我が国ヴァイスクローゼも開拓すらできず、長年放置したままの捨て地に過ぎぬ。そのような所に城などあるはずがなかろう」

「わ、私もそう思ったのですが、ギルド長によればアイゼンフォートから直接聞いたとのことで、虚偽ではないかと……」

「ほう。あのS級冒険者パーティか……ならばヌーロ丞相よ。先遣隊を組み真偽を確かめるのじゃ」

「はっ!」

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