第32話 魔物には魔物を
<強化前> <強化後>
木柵 → 石壁 7,000
木柵 → 城壁 5,000(※セール中)
<残り17,595KP>
ーーーーーーーーーーーーー
「お、強化にもセールがあるのか」
《マスター、只今絶賛〈城壁〉キャンペーン実施中です。まとめ強化がお得です》
まとめ強化って、そういやゲームであったな……。
ま、本来は〈石壁〉に強化しようと思っていた所、まさかの棚から牡丹餅で〈城壁〉に変更できるのは嬉しい。
「〈木柵〉を〈城壁〉に強化だ」
城壁:高さ30mの城壁
効果:不壊・不登
必要KP:5,000 (※セール中)
いつもより大きな地響き、いや地震が起きている。
〈木柵〉が瞬く間に堅牢な〈城壁〉へと変わった。
「ダイチ様、あの掲げられた旗に何か文字が書かれています」
「ん? あー、〈難民の村〉だな。見張り台もあるのか」
これぞ城壁だな。
外から見れば国のように見えると思う。
ま、中に入れば村だけど。
『ダ、ダイチ殿! 突然、柵が城壁に変わったぞ!?』
ルナリスが慌てて念話を送ってきた。
『悪いな。広場の入口から入ってきてくれ』
今回は見張り台から攻撃するか。
「ダイチ殿! すまない。このような事になってしまうとは思わなかった……」
「ま、そんなことより、お前たちのお陰で緊急任務がクリアできたぞ。ありがとな」
「緊急任務がクリア? いや礼には及ばない。むしろ手間をかけさせる事になってしまった。本当にすまない」
「気にするな。みんな無事に帰って来てくれて何よりだ」
「御領主様にとって、魔物が襲いかかってくることは他愛もないということですわ」
「ん。シルフィもそう思う」
いやいや、そうでもないぞ。
かなり焦ったんだが……。
「それじゃ、始めるとするか」
<強化前> <強化後>
石橋 → 吊り橋 17.5
石橋 → 可動橋 25
<残り12,595KP>
ーーーーーーーーーーーーー
「北と南の〈石橋〉を〈可動橋〉に強化して……よし、プラン、橋を上げてくれ」
《承知しました》
「ガラガラ」と歯車が回り始めると、可動橋が上がっていく。
これで大蛇は村の中に侵入できないはずだ。
ま、仮に侵入されたとしても、建物は〈不壊〉だから立てこもれば安全ではある。
ただし、この拠点は俺にとって今や家も同然。
部屋に蛇が這っているなんて、たまったものじゃないからな。
次は念話で一斉通達する。
『戦える者は全員城壁に登り、デススネイクの対処を頼む。繰り返す―・―・・』
◇
「これが、デススネイクか」
緋色に染まる鋭い瞳と鋭い毒牙。
「「「キシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッッッ!!」」」
デカさだけなら、帰らずの森の魔獣と同じだな。
これでB級というんだ。
A級と何が違うのか基準がよく分からん。
う、間近で見ると、かなり気持ち悪い。
ウジャウジャしてるし。
「魔法隊、放てッ!」
アイルが魔法使いたちに合図を送った。
「「「「ウインドカッター!」」」
「「「ウインドアロー!」」」
「「「ウインドランス!」」」
「「「ファイアボール!」」」
「「「ファイアアロー!」」」
「ん。ウインドストーム」
見ない顔が大勢いると思ったら、先ほどの難民たちも参戦してくれたようだ。
スーパー温泉さまさまだな。
ま、城壁の上から攻撃してるだけだから、みんな安心安全。
たまに紫のブレスは吐いてくるが、ここまでは届いてないし。
ただ魔法はあまり効いてない気がする。
オークロードほどじゃないにしろ、再生してるし。
「これならどうだッ! うおおおおぉッ、食らえええええぇッッ!!」
おーッ! やっぱ、ルナリスの弓ってすげえな。
まとめて頭を吹き飛ばしたぞ。
「ダイチ殿、コイツらは魔法に耐性がある。いくら安全に戦えるとはいえ、あたしだけでこの数は無理だ」
「あー、悪い。ちょっと見学してただけだ。後は俺とスフィアに任せておけ」
「ダイチ様、アレですね?」
「あぁ頼む」
俺は一つ忘れていたことがあった。
何も俺たちが直接戦う必要なんてないってことを。
「グゥオオオオオオオオオオオオオオオオォッッ!!」
「レッドドラゴンか!」
「広場のドラスポを移動させたんだよ」
「ドラゴンスポットは一匹ずつでないと召喚されませんが、やられても一秒でリスポンしますしね」
「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉッッ!! やってしまえーッッ!!」」」
皆がレッドドラゴンの出現に歓声を上げた。
「「「「「ドーラゴンッ! ドーラゴンッ! ドーラゴン! ドーラゴンッ! ドーラゴンッ!」」」」」
ドラゴンコールまで起きて、もはや祭りのようになっている。
だがデススネイクが群れでレッドドラゴンに襲いかかると、とぐろに巻かれて消えていく。
S級ならまだしも、数の暴力には勝てないようだ。
「ダイチ様、あのレッドドラゴンでも難しいようです」
「ま、もうちょい待ってくれ。もうすぐ見えると思うが……あー、来た来た」
クワトロ大森林に設置してもらった大量のA級スポットを、<配置変更>した。
うっかり忘れていた、スフィアの産物だ。
取り寄せるのに時間がかかってしまったが。
「スフィア、後は頼む」
「お任せください! DPで設定を変更して……できました!」
「「「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッッッ!!!」」」
援軍到着だ。
なかなか酷い眺めだ。
地獄絵図とはこのことだな。
う、吐きそう……。
「「「ヤツらは仲間なのか……」」」
「「「バ、バケモノの群れ…………」」」
まー、住民たちは驚愕しているが仕方ない。
しばらく魔物大戦争を見てもらうとするか。
◇
「領主様、儂はウィンス・ガーラントと申します。フェインさんに声をかけられ、道中は王国騎士隊の方々に助けていただきました。我々一同心から感謝を表明します」
ふっくら体形の白髪ちょび髭おじさんか。
何となくだが貴族っぽいな。
「領主様、ガーラントさんは、聖都セレスタールの首長を務めるお方です。我々が聖教国に派遣された時から懇意にしていただきました」
首長ってことは、アイルと同じくやっぱお偉いさんか。
「礼ならフェインたちに言ってくれ。俺は何もしてないからな。何はともあれ全員無事でよかった」
「ガトー殿から話を聞きましたが、本当に我々を受け入れてくださるのですか? 事情はどうあれ、儂は聖教国の裏切り者。居場所がバレれば、この村の者にも危険をさらすことになるやもしれませぬ。それでも領主様はよいと申すのですか?」
確かに一国の首都のトップが、国を見捨てたんだ。
見つかればタダでは済まないだろうな。
ま、仮に危険が迫ったとしても、今の俺にはみんなが付いてるから大丈夫だ。
化け物たちもいるし。
「問題ない。それにここにいる者たちは、みんな難民だ。これからよろしく頼む」
「感謝いたします!」
(プラン、この者たちの説明は色々と任せる)
《承知しました。洗脳…洗濯や食料など、村のルールを叩き込み…教えておきます》
おい、やっぱり洗脳って言ったよな。
叩き込むとも聞こえた気がするぞ。
ま、プランに教育を任せて、家を建てなければならない。
予備で建てた長屋でも足りなくなるとは思わなかったが、土地だけは腐るほどある。
<マスターの必須品>
家屋(小) 25
家屋(中) 100
家屋(大) 400
家屋(特) 1,600
家屋(極) 6,400
長屋(小) 50
長屋(中) 250
長屋(大) 1,250
長屋(特) 6,250
マンション 10,000
団地 200(※スーパーセール中)
<残り12,195KP>
ーーーーーーーーーーー
スーパーセールだと!?
〈団地〉安すぎるだろ。
《マスター。只今、絶賛〈団地〉キャンペーン中です。本来であれば、2万KPです。超お買い得団地です》
お買い得団地……。
団地は召喚するとして、その前に気になるのが二つあるから一応見ておく。
家屋(極):重厚な石造10階建ての家屋というより超豪邸。宝石露天風呂、宝石便所、エアコン、システムキッチン、ダイニングルーム、キングベッドルーム、超高級家具備品完備、エレベーター、シャンデリア、絵画、庭、噴水、プール、メイド、執事付。
効果:不壊・清潔・防音耐性・環境耐性・不老不死(執事、メイド)
必要KP:6,400
今の自宅でも見切れないほど広いが、執事とメイドがついてくるのは憧れるよな。
不死身だし。
むむむ、今は保留でいいか。
ということで、〈団地〉ドドーンッ!!!
土地あるし、安いから今のうちに4つドドーン!!!
「「「「「あ″ー………………………………」」」」」
スフィアとルナリスたちを除いて、全員空いた口が塞がっていない。
まさか団地で埋め尽くされることになるとは思わなかった。
「どひゃーッッ!! こ、ここここここれは一体……」
「あー、ガーラントたちと、今後来るかもしれない難民の家だ。団地って言ってな。ま、簡単に言えば集合住宅だ。部屋割りは皆で決めてくれ」
これで、一万人は確保できたと思う。
まだまだ空き地だらけで、ポイントもある。
また開拓を進めるとするか。
◇
現在の開拓ポイント:残11,745KP。
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