コスプレ喫茶で事件!FとMのかんちがいが、エモすぎです。店長、やめてください!

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 アイドルの握手会の話で盛り上がっていたら、SFとSMをまちがえる店長が、やってきました。だれか、何とかしてください。「やめれー!」

 コスプレ喫茶で、働く。

 「それって、毎日が勉強だ」

 オタク男子な店員、モナタ君もポツリ。

 今日は、 3人組の男子客たちが団結。

「アイドルの握手会って、ハイスペックすぎると怖い説」

 面白そうなテーマで、話し合いがおこなわれはじめた。

客の交わす話に耳をかたむける、彼。

 「まず、皆に、考えてもらいたいことがあるんだ」

 「何だ?」

 「何だ?」

 客たちのいる席のまわりを、うろうろ。

 「俺…。ついに、SF的になってしまったんだよ!」

 「お、どうしたんだ?」

 「聞かせてくれ!」

 「俺…、握手会の、中心人物になっていたらしいんだ」

 「うん。そうか」

 「…妄想?」

 「何?もう、ばれたか!」

 「それで?」

 「良かったな」

 「だから俺は、フリフリの服を着た、休日アイドルの女の子になっていたんだ」

 「…だからの使い方が、ビミョーだな」

 「…で、どうなったんだ?」

 「朝、俺は、パジャマ姿だったんだよな」

 「フツーだよな、それ」

 「ああ。フツーだな」

 「…けどな?家の玄関から外に出たら、駅のホームだった」

 「ほら、妄想だ」

 「SF的すぎる」

 「そうなんだよな…。俺は、時空を超えられるように、なっていたんだろうな」

 「ウソだあ」

 「時をかけるオタク」

 「でな?握手会の会場に、着いたらな?」

 「ああ」

 「…そうしたら?」

 会場に着いたら、メガネ姿で背の高い、スーツ姿の男性にうながされたという。

 マネージャーか?

 「こちらです」

 それから、学校の 1教室くらいに広い会議室のような空間に、案内されたんだとか。

 部屋には、机が 5人分ほど、パイプイスが20人ほど用意されていたそうだ。

 「乱闘か?」

 「…いや。プロレスじゃ、ないんで」

 「何だ。ちがうのか」

 はじまったのは、握手会。

 何人もの男子が、女の子の姿になっていたそいつの座る机の前に、集まり…。

 きちんと、一列に並びはじめたという。

 「気になるのは、並んでいた男子たちの表情が、薄かったことだなあ」

 「ふうん」

 「それで?」

 次に、マネージャーらしき男性が、並んでいた人たちに声をかける。

 「皆さん?もう、よろしいですよ?」

 すると、列の先頭にいた男子が、急に動かなくなったという。

 マネージャーらしき男性が、ぽつり…。

 「あ、止まった。AIロボも、もう少し充電できれば、良いのになあ」

 なるほどね。

 社会は、変わる。

 これからの日本では、AIロボが握手会の列に並ぶ日も、くるんだろうか?

 「アイドルの子も、実は、AIロボット。手には、メタバース空間を作るときに使うようなグローブが、握られている」

 なんてな。

 そのグローブが、その場から離れた場所にいるファン本人に向けて、「今、握手していますよ!」の情報を伝えたりして…。

 そんな未来がきても、不思議じゃないだろうな。

 コスプレ喫茶で働くと、いろいろなことが、勉強できるらしい。

 「SF的なコスプレ喫茶も、ありだろうな…」

 思わず、つぶやいていた。

 そうしたら、ほら。

 「モナタ君?今、面白そうなこと言っていなかった?」

 問題な男が、やってきた。

 「あ、店長!」

 「実は私も、SFが好きなんだ!」

 店長は、蝶ネクタイ型の変なマスクで、目を覆っていた。その手には、ムチとろうそく。

 「ひひひ。SF…」

 「店長?」

 「…ひひ。Fと M のちがいだけでも、世界は大きく変わるんだ!」

 「…はい?」

 「たたけ、たたけ、たたけ!」

 「あ、店長!やめてください!」

「愛は、時空を超えるのだ!」

「やめれー!」

 たしかに、コスプレ喫茶は、勉強の日々です。





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