第2話
病院で目覚めてから一ヶ月が経った。
その間家族と名乗る人たちにも会った。俺にはぽっちゃりした優しそうな母親、がっしりとしちょっと老けてる父親、制服を着た可愛らしい妹がいるようだ。
家族には俺が記憶喪失になったとは言ってない。先生にも口止めさせた。俺じゃない俺をみて「家族」がどう反応するかがわからなかった。怖かった。
母親が職場へ連絡を入れてくれたらしく当分は休んでいいらしい。
家族によると俺は26歳の社会人、東京で一人暮らしをしており交通事故により運ばれたのだと。交通事故のことを考えると頭が痛くなる。
一ヶ月も経ったおかげか体の痛みはほとんど引いており医者からはもう病院から出ても大丈夫だと言われた。
嬉しいことに俺の携帯はなぜかパスワードを設定しておらず地図か検索履歴から自分の家がどこかわかった。
今日は病院最終日だ。明日電車に乗り「家」に帰る。家に帰れば思い出すことがあるかもしれない。
少し浮かれた気分で考え込んでいると先生から訪問があると呼び出された。家族に会ったのは昨日だし今日も来るはずがない。
友達かと思いながら先生の方へ歩いて行くと二人の警察官がいた。
数時間の事情聴取がめんどくさくなった俺は俺が今いる状況をこと細く話し、俺が記憶喪失で自分のことを思い出せないことを伝え、先生から証言があることからすぐに引き返してくれた。
俺に用事ってなんだったのだろうか。聞いておけばよかった。
忘れてしまった君との @anemone_
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。忘れてしまった君とのの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます