もみじがり
@inugamiden
もみじがり
私は今、
京都、秋の名所として、よく知られる東福寺の朝の拝観は、控えた方がよろしい。寒風一歩前の、さわやかな冷気にもまれ、人波にもまれ、まるで、食パンの耳に食らいつく、鯉の群れの一匹となり果てるだろう。そう悟ったとき、私もまた、鯉の一匹として、口をぱくぱく開閉して、景色を食べていたのだった。
そのような屈辱を味わおうとも、見るべき景色であることも、悟った。
まず、有料区である、
美を罪と定める仏法もまた砕かれる、寺の庭とは、どのような皮肉か。私は、ない頭で考える。そもそも、仏法では、肉も厳禁である。
さんざめく
その臥雲橋を、さくさくと越え、有料区へ入ってゆくと、再び、紅葉と楓の、朝日につつまれ金色にかがやく、天狗のおうぎのような葉が、万華鏡をえがいてゆく。そうやって、庭の
また、ふかふかの苔を、これら金色を帯びる
最大の名所、通天橋が、ごった返している。極楽の野火のような、これら美の
今ここで、秋が
私は、このようなめくるめく拝観を終えて、
この、二階層の
私は、秋のささやかな陽気のなかで、近くひかえる冬のひだを、肌の先で感じながら、一礼した。
足もとで、砂利がわびしくさびしく、それでいて、あたたかく、鈴のような音で、さり、さり、と鳴った。
もみじがり @inugamiden
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