第10話
藤原の家には連日連夜報道陣が押し掛けていた。それもそのはずだった。白昼堂々と空き巣に入られたのだった。それはまるで何者かが部屋に導いたかの様に。そんな鮮やかな手口でいとも簡単に空き巣に入られたのだった。
藤原の家は一軒家の豪邸であり、監視カメラも何台もあり、敷地内には犬も放し飼いにしている。家の中もセキュリティーが厳重に張られており、そもそも家の扉はオートロックで家の者でもない限りは簡単には開けられない。そんな作りになってた。
そんな家に空き巣は侵入したのだった。
更に驚くことに、その空き巣が入った部屋には物を荒らした形跡が何も見当たらなかった。この為、世間ではこの空き巣の目的に対する考察が止まらなかった。
そして、この空き巣騒動は連日連夜ニュースの一面を飾った。
藤原辰巳はその環境にうんざりして、一人官邸に立て篭もった。
「全く・・・一体どこのバカが・・・まさか・・・奴等か・・・?でも何で・・・?」
藤原はそんな疑問をずっと抱えていた。そしてある人物に指示を出していた。
「何としても家に忍び込んだ奴を捕まえろ!捕まえないならお前はもう終わりだからな!」
と言って電話を切った。
その数日後、空き巣は簡単に捕まった。
とある警察署に出頭してきたからだ。藤原はその情報を部下から聞くと、すぐにその男の間抜け面を拝みたいと思い、その警察署に向かった。その男はそこの留置所にいた。
そして藤原はその男に向かって言った。
「どこの誰だか知らないが無様だな・・・お前は必ず刑務所に送ってやるからな!覚悟しておけ!」と言った。するとその牢の中にいた男は急に笑い出した。
「クックック・・・やっと会えたな〜・・・藤原辰巳・・・お前がここに来たってことは・・・もう俺達の勝ちが決まったってことだ・・・」
その不気味な笑い方に藤原は困惑した。すると次の瞬間、どこからか多くの足音が聞こえてきたかと思うと、報道陣が一斉に藤原の周りを取り囲んだ。
そして記者達は次々と質問を始めた。
「幹事長。貴方とこの男の関係は何ですか?」
「幹事長。貴方はこの男のことを知っているのですか?」
「幹事長。答えて下さい。幹事長」
藤原は困惑していた。
「君達は・・・さっきから何を言っているんだ?私の家に入った空き巣だぞ・・・それだけの男だぞこの男は⁉︎」藤原はそう記者に言った。するとその記者は、
「幹事長。本当にこの男のこと知らないのですか?今ネットで騒がれていますけど、ご存知無いんですか?」
藤原は何のこと言っているのか分からなかった。藤原はネットを見ない人物だったからだ。
そんな困惑している藤原に、その牢の男は話し掛けた。
「幹事長さんよ。あんたもう少しネットとかそういうのを気にした方がいいぜ。アンタがちょっとでもそういうのを気にしていたら、俺達はアンタに潰されていたかもしれない・・・だがアンタは自分の力を過信し過ぎていた。自分の罪を暴ける者などこの世の中には存在しないと。だから俺達はその隙を突かせてもらったんだ」
その牢の男の不気味な告白に、藤原は寒気を感じた。
そして、記者からタブレットを取り上げて、そこで流れている映像を見た。
そこにはある施設が映っていた。ナイトフォレストだった。そしてその中に冴島知事の姿が映っていた。そして冴島知事は次の告白を始めた。
「都民の皆様。まずは民事党を代表して一言お詫び致します。私は今まで我が党の人物が政治活動の裏で作り上げた強大な愛人ネットワークなるものを探していました。そしてそこで行われていた様々な悪事について調査を続けていました。そしてその調査を任命した人物がこちらの人物です」
そう言って冴島知事は、スクリーンにある写真を映し出した。その人物を見て藤原は驚愕した。その写真の人物こそ今目の前にいる牢の男だったからだ。更に冴島知事は話を続ける。
「その人物から以下の調査結果が届いています。まず北海道につくられた施設の中にどこで捨てられたのかわからない子供があり確認したところ、その母親が見つかりました。その母親の告白がこちらです」
冴島知事がそう言うとふたたび画面が変わり、目線を隠された女性の姿が映し出された。
「私は・・・五年前・・・その時の施設の指示で、ある議員の愛人にならされました・・・それ自体も辛かったのですが、それよりも辛かったのが、子供だけは欲しいと言っていた私に対してその議員は一度承諾したにも関わらず、藤原辰巳の力を使って、産まれたばかりの子供を奪いに来ました。そして私にはこんな金だけ置いて」
そう言うその女性の手には、大金が入った茶封筒が見えた。そしてその女性は話を続ける。
「更にその議員は私に対して『施設上がりの女なんかどこも雇ってくれないぞ。それでも関係を切るのか?』って言いました。私はその言葉がとても悔しくて、その議員との関係はすっぱり切りました。そして私は貧しいながらも生きることを決めました。いつか・・・その時の子供に会えると信じて・・・そんな折、こちらの施設から連絡が来ました」
『貴方の子供が見つかりました。今私達のところで預かっています。ここで一緒に暮らしませんか?』。私は、半信半疑ながらその申し出を受けて案内された施設に行くことにしました。そしたら本当にそこの施設にいたんです。私の子供が。私は涙を抑えきれませんでした・・・生まれてから一度も会ってなくても、不思議とその子が自分の子供だとわかりました・・・そして気付いたら私はその子を抱き締めていました。子供の方はキョトンとしていましたが・・・そしてその施設の方から言われたんです。ここで一緒に生活したいのであればここのルールを守ることと・・・私達と戦って下さいって。私にはその申し出を断る理由はありませんでした」。そこまでその女性は話した後で更に、
「私はDNA鑑定に応じました。私とその子供は親子関係であると認知されました」
「厚生労働大臣。次は貴方の番です。私のことが嘘だと言うのであればDNA鑑定に応じて下さい。応じれないのであれば貴方は全てを認めたことになります」
その動画はそこで終わった。
「な・・・なんだ⁉︎ この動画は・・・一体・・・どうなってる・・・⁉︎」
藤原は、ただただ困惑することしか出来なかった。そんな藤原に対して更に記者が続ける。
「この関連動画が今何十個もあって、今世界中がパニックですよ⁉︎本当に何も知らなかったんですか⁉︎」
藤原はそのことに困惑していた。確かに誰からもそんな情報が入って来なかったからだ。
そんな藤原に対して、その牢の男が話し掛けた。
「クックック・・・そりゃそうだろうな・・・この動画を見れるのは、極一部の限られた人物だけだったからな・・・今日までは・・・そんな小さい世論じゃお偉いさんは誰も騒がないさ・・・だがなその世論が大きくなるきっかけがあったらどうだ?例えば幹事長宅に入った空き巣がその人物だったなら?そしてその男の上司が知事ならどうだ?小さい世論が気付けば爆発するってそういう仕組みだ。おそらく今頃お前のお仲間はどこもかしこも大騒動だろうな」
そう言ってその男は高笑いした。藤原は唇を噛み締めて、その記者のタブレットを床に叩きつけた。そして、
「デ・・・デタラメだ・・・こんな動画・・・そもそも証拠もないだろ!」
藤原は動揺を少し見せてそう言った。そんな藤原に対してその牢の男は、
「やれやれ・・・記者さん・・・あの動画見せてやってよ・・・」
と言って記者に何か指示を出した。するとその記者は、何かを察知して別の動画を見せた。
そこにはとある施設が映っていた。そしてそこに黒い服を来た男達が映っていた。
その男達は一言、
「藤原幹事長の指示で来ました。この子は別の施設に移動して下さいとのことです」
そう言って、そこの施設長に写真を見せた。するとその施設長は小さく頷きすぐに保育士に指示を出してその子の荷物をまとめ出した。そしてその子を黒ずくめの男達に渡した。
そういう動画だった。
「この動画だと幹事長の指示でってこの男達は言ってますが・・・これは一体どなたなんですか?」記者がそう幹事長に問い詰めた。すると幹事長は、
「誰だ?この男達は?知らんぞこんな奴等!」と言った。するとその牢の男は、
「クックック・・・そりゃアンタは知らないだろうな。だってこれ俺の友達だもん」
と言った。その言葉に藤原は絶句していた。そして、
「じゃー何で俺の友達なんかにここの施設長はすぐに言うこと聞いたんだろな?ロクに確認もしないでさ。しかもアンタ何も関係ないのに何で幹事長って言葉だけで動いたんだろうな?」そこまでその牢の男が言った後で更に、
「それは過去何度もこういうことがあったってことだよな!」
と言葉を強めて言った。その言葉だけで記者も全てを理解した。大事なのは誰が子供を攫ったのではなく、どうしてその言葉で施設長が子供を差し出したのかということだった。
「か・・・幹事長・・・確かに・・・本当に関係なくてこんなことあり得ませんよ!幹事長!幹事長!一言お願いします」
そう言って、また記者達は幹事長を囃し立てた。幹事長はうんざりした顔をしながら一言、
「だからなんだと言うのだ!確かに私が作った施設で何人かの人間が何か悪いことをしているのかもしれないが、私は全く何も知らない!」
そう言って開き直った。そんな藤原の様子を見てその牢の男が一言、
「確かに・・・俺達もこの程度だなと思っていたよ・・・」とボソリと言った後で、
「三島由希子。アンタこの名前知ってるよな」
と言った。その名前を聞いた瞬間、藤原の顔は一気に青ざめた。そして一言、
「な・・・なぜ・・・お前が・・・その名前を知ってるんだ・・・⁉︎」
驚きながらその牢の男に言った。するとその牢の男は話を続けた。
「四十年以上前・・・アンタはある女性と恋愛関係になった・・・まだアンタは議員成り立てだったんだろうな。若気の至りだったのかもしれない・・・そしてその人とアンタは結婚した。そして子供を授かった。だがそれから十年後思いもよらない話がアンタに訪れる。その時の権力者の娘との政略結婚を持ち掛けられたんだ。アンタは悩んだ。その女性とどうしても別れたくなかったから。そこでアンタは重婚という道を選択したんだ。だがそんな生活は上手くはいくはずがなかった。だからアンタはその女性に離婚を持ち掛けた。だがその女性のことを諦められなかったアンタはこともあろうに愛人関係をその人に持ち掛けたんだ。その女性は激怒したんだろうな。で、色々あってアンタはその時の娘である芽衣ちゃんを隠し子にすることに決めた。おそらくその頃閃いたんだろうな・・・愛人ネットワークの仕組みを」。そこまでの話を聞いた後で藤原はその牢の男に対して、
「デ・・・デタラメだ!それこそ根も歯もないただの妄想だ!」
と声を荒げて言った。その藤原に対してその牢の男は、
「デタラメかどうかはもう少ししたらわかる・・・そろそろ次の動画がアップされる頃だ・・・」
そう言った。すると記者のタブレットのサイトに新着動画が到着した。そこには別の女性が映っていた。年齢にして四十代ぐらいの女性に見えた。そして目線と声を加工されたその女性が自己紹介を始めた。
「初めまして。藤原芽衣です。私は藤原辰巳と三島由希子の子供です」
その画像を見た藤原が膝から崩れ落ちた。
「芽衣・・・何で⁉︎ いやそもそもどうやって芽衣に辿り着いた⁉︎あの場所は私以外誰も知らないはず・・・」
そう藤原が呻いた。その言葉をその牢の男は聞き逃さなかった。
「藤原辰巳・・・遂に認めたな・・・俺達の・・・勝ちだ・・・」
そう牢の男は声を振り絞りながらそう藤原に言った。
藤原は何の意味もわかっていなかった。その藤原に牢の男が告げる。
「皆んな。ありがとう。もういいぜ」
その牢の男がそう言うと、そこにいた無数の記者達はその言葉を合図に藤原の元を離れだした。藤原はただ困惑してそこに崩れ落ちたままだった。その藤原に向かって牢の男が話し出した。
「まだわからないんだな・・・やはり思った通りのクズだったわけだなお前は。誰が誰かなんかどうでもいい。その時の状況で瞬時に判断し、そしてその時の一番いい言葉を選択する。その行為は一見すると万人に響くどうでもいい言葉になり、そして最も妥当な言葉となる。ただ、もしそこに偽りの行為が入っている場合、それは自白になるんだよ!」
そう語気を強めてその牢の男は藤原に言った。
その言葉に我に返った藤原は立ち上がり、その牢の男が入っている牢まで向かって走り出した。そしてその牢を強く手で握りながら、
「まさか・・・全て・・・嘘だと・・・⁉︎ そう言うのか!」
そう牢の中の男に向かって問い質した。するとその牢の男は
「嘘・・・とはちょっと違うな・・・全て真実だ・・・ただ証拠が何も無かった・・・そして芽衣ちゃんの場所だけは本当にわからなかった・・・だから俺達は一芝居打っただけだ。架空の芽衣ちゃんを作ってな!」。そう藤原に言い切った。すると藤原は、
「バカな・・・あれは芽衣だった・・・私が自分の娘を間違えるわけない!あの雰囲気は・・・」
と言い切った藤原に対して牢の男は、
「おっと。それ以上は言わない方がいいぜ。それ以上は実の娘の侮辱に繋がるからな」
と次の藤原が言うであろう言葉を遮って、その牢の男は藤原にそう言った。
その言葉に藤原は青ざめた。そして、
「ま・・・まさか・・・そ・・・そんな・・・それこそあり得ん!私の娘がお前の様な者に協力するなど・・・」
そう言って藤原は自分でも有り得ないと思っている可能性を、その牢の男に問い質した。
その牢の男がその質問に答えようとした時に、突然藤原の携帯が鳴り出した。
藤原はその電話に出ると、電話の向こうから、
「もしもし・・・パパ・・・本当にわからなかったんだね・・・最初は半信半疑で協力してたけど・・・私達のことなんか最初からちゃんと見てなかったんだね・・・私達は目線と声を加工していてもパパは絶対気付くって信じていたのに・・・」
その言葉に藤原は絶句した。その電話を掛けてきたのは三女の美奈代だった。
「まさか・・・美奈代⁉︎ お前が⁉︎ でも何で・・・何でお前から子供を奪ったこんな奴等に協力なんかしたんだ⁉︎」
藤原は当然の疑問を美奈代にぶつけた。美奈代はその言葉に対して、
「協力・・・じゃないよ・・・賭けをしただけ・・・そして・・・私は負けたんだ・・・パパが認めたから・・・」そう声を振り絞りながら藤原に言った。
「ど・・・どういうことだ・・・⁉︎」
藤原は当然の疑問を美奈代に問い掛けた。その言葉に対してその牢の男は少し笑いながら、
「クックック・・・ここまで上手くいくなんてな・・・本当アイツには感謝しないとな・・・俺には考えもつかなかった・・・最悪どんな凶悪な犯罪者になっても、全ての場所から奪い尽くして芽衣も意地でも見つけ出して全て攫うつもりだったんだがな・・・」
その牢の男はそう優しく語り出した。話しはここから数日前に遡る。
― 数日前 ―
「さて、斎藤先生のおかげで全ての母親の場所と、その子供の位置の特定が出来たわけだが、これからどうする?」
ミーティングルームで、蔵馬が純と唯と舞と緑と今回の計画について話し合っていた。
「・・・想像以上に広範囲ですね・・・本当に全国にこれだけの施設を作ったってことは感謝しないといけないのかもしれません。その点だけは本当に」
唯がそう言って、今回ターゲットとしている施設の数とその範囲の広さに驚愕し、不本意だけど藤原のその功績だけは認めた。
「・・・本当・・・何箇所あるんだ?これ?全部で二十以上⁉︎ 流石にこれだけあると一気に動かすのは難しいし、けどどこかでバレたらもう全て終わりになるし・・・難しいな・・・」
舞はその施設の数の多さと、今回のミッションの難しさを痛感していた。
「・・・法に触れない様に・・・でも迅速に・・・そしてばれない様に・・・ですか・・・ちょっと難しいですね・・・これだともういくつか絞るしかないのかもしれません・・・」
緑は想像以上のミッションの難しさに、数箇所だけを襲撃する案を考えていた。
「ダメだ!今回のミッションは完全なる取り戻しが第一だ。そうしないと残された子供達も親達も可哀想過ぎる。もしかしたら俺達が原因で何か今後酷い目に合うかもしれない。それだけは避けなきゃいけない。だから一斉でなくても何とかして全部から取り戻す方法を考えなきゃいけない!」
蔵馬がそう語気を強めて皆んなに言った。その言葉にその場が更に重くなって皆んな言葉が発せなくなった。そんな中、純がある提案を始めた。
「蔵馬さん。そもそも・・・それが第一ではないですよね?一番大事なのは子供や母親を奪うことではなくて、藤原の罪を暴いて全てを白日の元に晒すことではないんですか?そうすれば、後はそれぞれ望んでいる母親の元にその子供を返すだけで話は済むと思いませんか?」その提案に対して蔵馬が頭を掻きながら、
「あのな〜・・・それが出来ないから攫って来るしかないんじゃないか?そしてその人達に協力してもらって、そういう動画を取って、それを全世界に配信するしかないんじゃないのか?」
そう純に言った。そんな蔵馬と純のやり取りを見てた緑が、
「純ちゃん・・・もしかして・・・フェイク動画を作ろうって言ってる?でもそんな動画作ってもそれじゃー世間は納得しないと思うわよ」そう純に言った。そんな緑に対して純は、
「納得させる必要はないと思います。例えばそれを使って、そのフェイクを信じ込ませたら・・・例えばそれで私達の行動を真実だと思わせれば・・・後はただ私達は手紙を出すだけで大丈夫です。そうしたらそれぞれの母親が恐らく動くと思います」
そう言って自分の考えを緑にぶつけた。するとその様子を見ていた舞が、
「でも・・・もしかしたらありかもよ・・・少なくとも私達だけだと全ての母親の元に子供を戻すことなんか、どんな手段を使っても難しい。けど、それぞれの母親がその子供のことを思い、迎えに行くのであれば、それは違法でも何でもない当たり前なことだ」
そう言って純の考えに賛同した。すると今度は唯が、
「子供のことを思うなら・・・母親の元に戻すことが一番・・・か・・・当たり前だけど・・・何か私達の活動否定されているようで考えもつかなかったけど・・・でも・・・それが本来の正しい家族の形だもんね・・・うん・・・私も純ちゃんの考えに賛同するよ」
と言って唯も純の考えに賛同した。するとその様子を見て蔵馬が、
「・・・わかったよ。じゃーその考えを基本線とするとして。どうやってそれを信じ込ませる?・・・相手はあの藤原だぞ。」
そう言った。だがその後で蔵馬は斉藤の言葉を思い出していた。
【芽衣ちゃんとその母親とその子供を見つけることが藤原の逮捕に繋がる・・・】
そして蔵馬はもう一度斉藤が作成したデータを見直してみた。
そこには十歳の当時の写真と、その時の性格等が載っているデータがあった。
ただ、そのデータの中に今の芽衣に繋がるデータは一切無かった。
この日の話し合いはここで終わった。
その翌日。蔵馬は純と唯と舞と緑をミーティングルームに呼び出した。
そして皆んなに向かって話を切り出した。
「昨日あれから誠に連絡して、より深く藤原の過去と芽衣ちゃんについて調べてもらった」
そう言って、スクリーンにその調査結果を映し出した。
そこにはどうやって調べたかわからないくらいの、詳細なデータが書き込んであった。
だがそのデータを見て蔵馬が一言、
「残念だが、藤原の過去を調べても、出て来たのは母親と思われる藤原が若手議員時代に付き合っていた女性の名前とその関係性、それと藤原が過去重婚していた事実だけだった」
そう残念そうに皆んなに言った。そして更に話しを続けた。
「更に芽衣ちゃんについても藤原の娘と思われる情報は出て来たが、今現在どこにいるのか、子供はいるのか、それと母親はどこにいるのかという情報は全く出て来なかった。それどころか母親に関しては芽衣ちゃんが十歳以降のデータがどこにも無かった」
そう言って悔しがった。そのデータを見て純が一言呟いた。
「もしかして・・・母親は亡くなっている⁉︎ でもそれを藤原は隠している⁉︎」
その言葉に一斉に唯と舞と緑が純の方を向いた。だが蔵馬は、
「・・・その可能性は俺も考えた・・・だが仮にそうだとしても・・・それは最後のトドメには有効かもしれないが・・・そもそも母親と藤原の関係が証明出来なければ・・・そのトドメも使えない・・・」
そう落胆しながら皆んなに話し掛けた。その言葉にまた全員黙り込んだ。
今日もこのまま何の方法も見つからなく会議が終わると思ったその時、純が話を切り出した。
「でも・・・ここまでわかっているなら・・・現在の芽衣ちゃん再現出来ないかな?」
そう言う純に対して蔵馬は、
「バカかお前は!仮に色々加工して再現したとしてもだ、絶対にバレるぞ!少なくとも肉親でもない限り、雰囲気か何かで絶対バレるだろ!」
と怒りながら言った。その言葉に緑が反応する。
「肉親・・・そういえばいたわね・・・」そう言う緑に唯が、
「緑さん・・・何考えてるの?・・・絶対嫌よ!私!」
その言葉を強く拒絶する様に言った。その言葉に対して舞が、
「・・・確かにそれなら・・・でも・・・協力するかな・・・あの人が・・・」
と緑の考えを察知して話し出した。そんな舞を見て唯が、
「舞さんまで・・・わかってるの⁉︎私達はあの人の元から子供を奪ったんだよ⁉︎私達のこと憎んでるに決まっているでしょ!何考えてるの⁉︎」
そう怒りながら言った。そんな唯を見て純が、
「唯さん・・・私達は唯さんの過去も・・・私達があの人にした事も忘れていません。でもあの人は藤原の娘です。娘である以上、全ての藤原の悪事を知る必要はあります。もちろん一緒に説得して欲しいなんて言いません。唯さんはここで待ってて下さい。私と舞さんと緑さんで説得して来ます」
そう言って唯を説得した。唯はその純の言葉で、少し落ち着きを取り戻して静かに頷いた。
そして純は蔵馬に対して、
「蔵馬さん。今回の作戦は言うなれば賭けです。それならばこの賭けに藤原の娘達を関わらせてもいいと思います。もし彼女達を説得出来れば、藤原の家の中に入って藤原の毛髪なり何なりを取ることも可能になります。そうすれば最後のトドメとして使えるのは間違いありません。ここは私達に任せてもらえませんか?」
そう強く宣言する様に言った。蔵馬はその純に向かって、
「・・・今回の作戦の基本線は元々お前の案だ。ダメ元で行って来い!」
そう言った。その言葉に純は頷き、緑と舞と一緒にミーティングルームを出た。
その場に残った唯は蔵馬に、
「私はこの作戦だけは賛成は出来ません。でも純ちゃんがそこまで言ったんだからその言葉を信じて次に動ける様に色々準備をします」
そう言って頭を軽く下げるとミーティングルームを出て行った。
美奈代は藤原の家に戻っていた。何不自由の無い生活。何もしない生活。美奈代は一日中家でダラダラしていた。そんな夜、美奈代の携帯電話が急に鳴り出した。美奈代は電話に出た。
「アナタノチチオヤノアクジヲ、ワタシタチハシッテイル。ハナシガキキタカッタラシテイシタバショマデコイ」
そう言って変声機で声を変えた者からの電話は切れた。その送られて来た指定場所を見るなり、美奈代は指定された場所まで急いで向かった。
「・・・やっぱりあなた達だったのね・・・それで今更私に何の用があるのかしら?」
美奈代は、全てに気付いていてその場所まで向かっていたのだった。指定された場所がその昔唯が勤めていたあの閉園した保育園だったからだ。
そして見慣れたその暗闇の保育園の中に美奈代は呼び出されていた。
「美奈代さん。単刀直入に言います。私達と賭けをしませんか?もし美奈代さんが勝ったら美奈代さんの言う事何でも聞きます。その代わり、私達が勝ったら藤原の罪の告白に協力して下さい」。暗がりの中で、純が美奈代にそう話し出した。
「賭け?ふん!ふざけているの?こっちは今すぐ警察に通報してもいいんだけど」
そう美奈代は強気でその女性に対して言った。
「待てよ!自分の父親がどんな酷い事しているのかアンタは本当に知っているのか?」
そう言って、今度は舞が美奈代に対して言った。その言葉に美奈代が反応した。
「酷い事?何よそれ?パパは立派な政治家だし悪事なんか何もしてないわよ。デタラメ言わないでよ!そりゃー私達を守る為にたまに酷いこともしているかもだけど、それ以外で酷いことなんかしてないわよ!」。そう言って舞の言葉に対して、強く反対した。
「それが藤原の愛だとするのなら・・・それは偽りの愛ということになるのかもしれませんね・・・あなたの知らないところで藤原は多くの女性を泣かして来ました。それは別にあなた達の為ではなく自分自身の為です。あなた達はそんな男の娘なんです」
そう言って、今度は緑が逆に美奈代を糾弾した。その言葉に対して美奈代は少し黙った後で、
「・・・話しだけ・・・聞くわ・・・その話し次第で考えさせてもらうから」
そう小声で呟きながら言った。その美奈代に対して、暗がりの中でスクリーンに写して三人は藤原の悪事を説明して、賭けの内容を伝えた。
「・・・つまり・・・うちの家に入りたいと?そして藤原の毛髪なりを欲しいと。更に私にこの芽衣ちゃんを演じてそれを動画で撮らせて欲しいと・・・そんでその動画を見て私だと見抜けるかどうかの賭けがしたいと・・・」美奈代はそこまで言うと急に大笑いしながら、
「アッハッハッハ・・・面白いねアンタ達。いいよ。乗るわよこの賭け。私としてもまさか実の娘のこと見抜けないとなんか思わないし。それにアンタ達の言っていることが本当なら私も元母親としては許せないから。それに今もそんなパパに騙されているママのことも気の毒でしかないしね」。そう言った後で、
「でも賭けは賭けだからね・・・それじゃー明日うちの家に来な。それじゃーな」
美奈代はそれだけ言い残してその園を後にした。
― そして 現在 ―
「こ・・・この映像は何⁉︎」
ナイトフォレスト内の職員室で、純は急に流れて来た動画で今の現状を理解した。
その日は珍しく昼から蔵馬が施設にいなかった。ただ純はいつもの様に休憩室にいるもんだと思っていた。そんな時に急にネット動画が回って来たのだった。
「やられたわね・・・」純と一緒に職員室にいた唯がその動画を見て言った。
「全く・・・蔵馬さん・・・」同じく職員室にいた舞もそう言った。
「まんまと騙されたわね・・・」同じく職員室にいた緑もそう言った。
全員、今回の蔵馬のことは聞かされていなかった。それもそのはずだった。
当初の予定だと空き巣ではなく堂々と家に入り、しかもそこで動画を撮って、それを後日ネットニュースで流すことになってたからだ。
そしてそのことを空き巣が侵入としたとして、後日美奈代に通報してもらい、藤原を官邸に足止めさせるというのが今回の作戦だった。そして、その後で全ての藤原の悪事を晒していき、そこに世間の目を向けることで、徐々に空き巣の事件を風化させていくと言うのが本来の作戦の最後だった。
つまり、純も唯も舞も緑も、今の状況については蔵馬からは何も聞かされていなかった。
この日行われていた逮捕劇は、全て蔵馬の独断だったのだ。
「やれやれ・・・蔵馬さんらしいと言うか何というか・・・やはり皆さんには何も言わずに行ったんですね」。そんな四人の元に朽木が急に現れて一言そう言った。
「どう言うことですか⁉︎ 朽木さん!」四人は朽木のところまで走って行って、そう言って朽木に問い質した。そんな四人に対して朽木は、
「私も・・・詳しくは聞かされていません・・・ただ昨夜呼び出されまして・・・」
そう言って、朽木は昨日の蔵馬とのやりとりを語り出した。
「朽木よ・・・今のこのメンバーどう思う?」
そう言って蔵馬は朽木に問いかけた。そんな蔵馬に対して朽木は、
「素晴らしい方々だと思いますよ・・・皆さん個性的ですが、全員この施設に必要な方々です」。そう蔵馬に答えた。その言葉を聞いて蔵馬は、
「そうか・・・だったらやっぱり皆んなには危ない橋は渡らせれないな・・・」
そう朽木に言った後で一言、
「今回の作戦・・・失敗したら・・・藤原はこの施設を全力で潰しに来る・・・この施設の為、そしてアイツらの為・・・最善な方法を俺は取らないとな・・・」
そう言うと、朽木と離れてどこかに電話をしだした。
「誠。そういうことだから協力してくれないか?」
「・・・それこそ賭けだぞ・・・いいのか?」
「ああ・・・それでいい・・・」
「涼子姉ちゃん・・・一生のお願いだ・・・頼む・・・」
「全く・・・私までアンタの賭けに乗れと・・・まあいいわよ・・・元々知事ってポストも今回の為に取ったものかもしれないもんね・・・でも・・アンタはいいの?確実に捕まるわよ?」
「ああ大丈夫だ・・・もう後任も出来たしな・・・まだ若いけど。それに斉藤先生もいるし」
「バカな・・・まさか・・・こんなことが・・・」
藤原は、美奈代が協力したことにただただ信じれない様子だった。
そんな藤原にその牢の男が話し掛ける。
「クックック・・・もうアンタは終わりだ・・・今のアンタの様子は生で動画配信されている。もうじき本当の記者もここに駆け込んで来るだろう。そしてアンタの全ての悪事は全て晒される。アンタが過去にしたこと全てな!」
そう語気を強めて言った。もう藤原はその牢の男の前から動けなくなっていた。
そこに藤原の秘書みたいな人物が何人も駆け込んで来た。
「幹事長!立って下さい!色々とにかく大変なんです!今すぐ官邸に戻って下さい!」
その男達に連れられて、藤原は少し正気を取り戻した。そして最後に藤原は、
「貴様・・・一体・・・何者だ・・・?」その牢の男にそう言った。するとその牢の男は、
「ただの一施設長だよ」
そう一言だけ言った。そして藤原は、複数の男達に連れられて官邸に戻って行った。
「あれ?もう終わりました?」
その警察署に間抜けな警官が戻って来た。その警官に対してその牢の男は、
「ああ席外してくれてありがとう」。そう言うと警察官は、
「誠さんの指示ですから。気にしないで下さい」。そう言った後で、
「ただ。仕事は仕事ですので、脱走の手助けとかは出来ませんがそれはいいですか?」
と言った。その言葉に牢の男は、
「・・・構わないよ・・・それで・・・」
そう言った。するとその声が聞こえたのか遠くの方で女の声がした。
「構うわけないだろ!このバカ野郎!」
その牢の男が声の方を見るとそこには純と唯と舞と緑がいた。更に純が続ける。
「バカ!本当にアンタはバカだ!アンタ無しでどうやって活動続けるんだよ!アンタがいなきゃ・・・夜の活動なんか出来るわけないだろ!」
そう言って、純は号泣しながらその牢の男の元に駆け寄った。それに続く様に唯が、
「蔵馬さん・・・私達はあなたによってここに導かれたんです。そんなあなたがいなくなるのは困ります・・・一日も早く出て来て・・・私達をまた導いて下さい!」
と眼に涙を溜めながらそう牢の男に言った。それに続く様に舞が、
「確かに蔵馬さんいなくても施設は何とかやっていけるのかもしれない。けどな、夜の活動だけはダメだ!まだ救わないといけない子供がいっぱいいるんだろ?こんなとこにいる場合かよ!早く出て来てまた救いに行こうぜ蔵馬さん!」
一筋の涙を流しながらそう言った。その様子を見て緑が、
「ここに超一流の弁護士がいるの忘れてませんか?私の力で蔵馬さんを一日でも早く出所させますからね」。そう涙を流さない様に気丈に振る舞いながら言った。
蔵馬はそんな四人を見て一言、
「・・・すまん・・・しばらく施設を頼んだ・・・」
とだけ言った。そしてその眼から一滴の雫が零れ落ちた。
その日のニュースから数日間は、藤原幹事長関連のニュースが独占していた。
愛人ネットワークのこと。隠し子のこと。そして娘からの様々な告白。
その日の内に民事党は幹事長の交代を報道した。
そして、藤原辰巳自身も議員の辞職をすることとなり、これもまた大きな報道となった。
また、愛人ネットワークを利用した政治家及び有力者が、一斉に世の中に晒される事態となり、政治的にも社会的にも数日大混乱を引き起こした。
そしてその後で、全国の元愛人達の元に一斉に手紙が届いた。手紙には自分が産んだ子供達の今いる施設がそれぞれ書いていた。
そこに向かう者、向かわない者対応は様々だったが、とにかく皆、自分の子供の所在がわかり安心はしていた。そして向かった者の内、何人かが自主的に告発を行い始めた。そうして更に世の中は混迷を極めることになった。
「ここまでのことになるなんて・・・」
その世の中のあまりにも大きな混迷に純はそう呟いた。
「まーそれだけのことを藤原がしていたってことなんだろね・・・でもこれで何人もの母親達が子供に会えたんだし・・・いいんじゃない?施設長代理」
そう唯はあっけらかんとした感じで、純に対して言った。
「しっかしおかげでこっちの事件は皆んな忘れてくれたし、施設としては問題なく運営出来ているし。まー結果オーライじゃない?施設長代理」
そう言って舞も純にそう言った。
「うん・・・そうだよね・・・って言うか施設長代理って呼ばないでよ〜何か恥ずかしい」
そう言って照れながら、純は二人にそう答えた。
「いいじゃん施設長代理」。唯はそう言って笑った。
「そうだよ施設長代理」。舞もそう言って笑った。
「もう!絶対からかってるでしょ・・・」純は少し不貞腐れながら、そう二人に言った。
「全くもう!ちゃんと仕事して下さい。施設長代理」そう言って緑が純に叱咤した。
「緑さんまでそう言う・・・」純は更に不貞腐れながら、そう言った。
「良いですか?純ちゃんの役職はとても大事なんですよ。施設長代理」
緑はそう言って純を鼓舞した。その言葉で少し純は不貞腐れを抑えた。
「まったく・・・では私はこれから蔵馬さんの弁護に行って来ます。まー私が弁護すれば一年も経たずに一ヶ月程度で釈放させれると思いますんで」
そう言って、緑は自信満々にその場から出て行った。その緑の言葉に三人は、
「行ってらっしゃーい」と行って見送った。その後で朽木が純に対して、
「さて施設長代理。今日も色々覚えてもらいますからね。斉藤さんからも色々言われてますのできっちり指導していきます」。と言った。
あの日、警察署から施設に戻って来ると、斉藤がまた施設にいた。そして数日だけ施設にいて、朽木と純を軽く指導した後、また数日後に置き手紙だけ置いて急にいなくなっていた。
その手紙には、
【一之瀬さん。アナタはいずれここの施設長として、健人くんを支える存在になれます。健人くんのことよろしく頼みました。朽木さん、健人くんは大変な子で手も焼くかもしれませんが、よろしくお願いします。それと一之瀬さんの教育の方もこれからよろしくお願いします】
その手紙に従って、朽木は純の指導を始めたのだった。
「ふわ〜〜〜い・・・」純は気の抜けた返事をして朽木に付いて行った。
―数ヶ月後―
民事党は大幅な改革を断行していた。
その先鋒として、藤原の告発をした冴島知事が選ばれていた。
ニュースで冴島知事の演説が聞こえる。
「我が党は、大きな過ちを犯しました。いえ過ちなんて言葉では片付けれない重大犯罪です。我々は女性をそしてその子供を、一部の人間の身勝手な欲望だけで、その人権を踏み躙って来ました。まずそのことについて党を代表して謝ります。誠に申し訳ありませんでした」
「我々は、この過ちを二度と犯さない為に、全国の施設に対して勧告を出すと共に、どんな権力にも屈さないところが必要と考え、その心の拠り所を設置することを決定しました」
「また今まで同様、育児に悩める母親の為の相談所と、その母親や子供を保護する施設の運営に対しても、党としてどんな協力も惜しまないことをここに宣言すると共に、誰の人権も侵害されない、社会の設立を目指していきます」
この演説の後、そこにいた大多数の人々からの鳴り止まない拍手が、冴島知事に向けて送られた。
都内某所あるアパートの一室。
「アンタなんか産まれなきゃ良かったんだよ!」
そう大声で言いながら、一人の女性が五歳ぐらいの男の子を殴っている。
その家のドアが急に乱暴に開けられた。その女性が、その音に驚いてそのドアの方に目を向けると、そこには一人の男と、四人の女性が立っていた。
「まったく・・・産んだんだからそんなこと言うなよな」
「そこまで殴ったらもう犯罪ですね。アナタは母親じゃなくて犯罪者です」
そこに立っていた二人の女性がそう言っている間に、一人の女性がその母親から女性を奪って抱き締めて一言、
「もう・・・大丈夫だからね・・・私達が助けに来たからね」
そう言った。その言葉の後でそのドアに立っていた一番若い女性が、
「アンタみたいな母親を私達は母親とは認めない!だから・・・」
そう言うその女性の言葉をその男が遮り一言、
「喜べ。アンタのその子供を百万で買ってやる。その代わり二度ともう子供には会えなくなるが、さあどうする?」とその母親に言った。
闇の児童相談所 〜光の章〜 @kkk-777
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