22:ダチョウのお怒り
ここはヒード王国の王都、名前はダチョウが全く覚えられないと有名な"ガルタイバ"と言う町。王都と言うだけあってこの国の中で一番栄えており、毎日たくさんの人が出入りしています。
お貴族様が王さまに会いに来るため自分の領地からやって来たり、冒険者が食い扶持を得るためにやって来たり。そして商人の人たちが物を売り買いするためにやってくるのです。
なんてったってここは王都、沢山の人がここで生活しているものですから、この国で一番需要が大きい場所です。ただのごはんから始まり、魔物素材、そして少々マニアックな商品などが毎日時間問わず運び込まれてきます。王都を守るために作られた防壁によってスペースは限られており、中はびっくりするほど建物でパンパン。中で何かを生産するには少々向いていない町です。そのため他の町と比べ、やって来る商人の数がとても多いんですねぇ。
そんな毎日忙しい検問所に、とっても可愛らしい子たちがやってきました。
そう、ダチョウです。
現在ダチョウちゃんたちはとっても好奇心旺盛、眼に入るものすべてが真新しい存在であり、彼らの基準で美味しそうならば何でもモグモグしちゃう時期です。それも仕方ありません、ついこの間まで彼らは"高原"というとっても大変な場所に住んでいたのですから。
ちょっと見渡せば、自分たちを簡単に捻りつぶしてしまうような魔物たちがわんさかいる場所が"高原"です、ゆっくりのびのびする時間などほぼ存在せず、お腹いっぱいになるために走り回ったり、逃げるために走り回ったりと大騒ぎの毎日でした。まぁ彼らは彼らで大好きなママ、ことリーダーで群れの長であるレイスちゃんと一緒に居られれば十二分に幸せですけどね?
そんな彼らが急に人間さんの住むところにやってきたのです。これまで自分たちが全く見たことの無い物ばかり、そしてびっくりするぐらい自分たちが負けそうな相手がいません。高原ではちょっと周りを見渡せばダチョウをひょいっとしてぱく、と食べてしまう敵がうじゃうじゃおりました。そんな天敵が全然いないとっても安全な場所なのです。これはもう……、はしゃがないと失礼ですよね?
そんなわけでダチョウさん、遊びました。それはもう、沢山。
彼らの脳みそは3秒ぐらいしか記憶を保持できません、なのでどれだけ遊んでも『まだ自分は遊んでいない』と思っていますし、そもそも遊びという概念を忘れて今自分が何をしているのか把握していない子すらいます。けれどこれまで全く使ってこなかった脳みその一部が強く刺激されているのは確かでした。つまり、ほんのちょっとだけ。ダチョウちゃんたちは、アリさん一匹分くらいかしこくなれた、というわけです。まぁ記憶力はそのままなんですけどね……。
では、そんなちょっとだけ賢くなったダチョウちゃんが手に入れたものは何でしょうか?
そうですね! 溢れんばかりの"好奇心"です!
なんてったって見るものすべてが知らないものばかり、三秒後には頭が真っ新になっているのですから何度見ても初めてみた不思議なものです。不思議なものはもっと見てみたい、不思議なものはもっと触れてみたい、不思議なものが美味しそうならばもっと食べてみたい。彼らは現状、そんな状態なのです。
「なにあれー!」
「ふしぎー!」
「くるくるー!」
「いこー!」
そんなダチョウさんたちの眼の前に現れてしまったのが、検問所に並ぶたくさんの馬車や人間たち。冒険者の人だったり、町の中でお商売をするためにやってきた商人さんだったり、そんな人たちがダチョウの視界に入ってしまったのです。そんな面白そうな存在にダチョウが突っ込まない訳がありません。運悪く彼らのリーダーであるレイスが、過労により指揮能力の低下を引き起こしていたということもあり、彼らが脱走してしまうのは避けられない現実でございました。
そして、誰かがしていることを自分もしたくなるのが赤ん坊……。おっと申し訳ない、赤ん坊に失礼ですね。同族がしていることを自分もしようとするのがダチョウさんです。誰かが動き出せば自分も自分も、とついて行ってしまいます。あれよあれよと群れから40近いダチョウたちが抜け出し、そちらの方に向かって行ってしまいました。
「なにー?」
「なにこれ?」
「まんまる?」
そんな彼らがたどり着いたのは、一つの荷馬車。実はここに来るまで何度も見ているのですが、少しも頭の中にその情報は残っていないようで。その物体に興味津々です、特に馬車を動かすために必要な"車輪"がお気に入りなようで、お目目をまん丸に開いて観察をしております。まぁ高原ではこのように綺麗な円を見つけることはほぼ不可能です、それが動いているとなるともう気になって仕方ないでしょう。
「ん? っておォ! なんかいつの間にかいっぱいいる……。おーいガキんちょども、そんな近くにいるとあぶねぇぞ、離れな。」
そんな彼らを見つけて話しかける人間さん、どうやら馬車を動かしていた人の様です。検問所と言うか、王都でなにか問題が起きてしまったのか一向に進まない列に痺れを切らし、ちょっとだけうたた寝をしていたようで。お目目を擦りながら男の人が出てきました。
「あぶない?」
「???」
「くるくる?」
「そうそう、轢かれたら痛ぇぞ? というかどんだけ……、40近くいんのか。どっから出てきた? お前ら、親御さんは?」
「?????」
「……あぁ、解らんか。パパとかママ、どこにいるか解るか? 保護者でも知り合いの大人でもいいぞ?」
これだけ子供の集団が町の外で集まっている、しかも全員が同じ種族のように見えます。男性は『集団で移民とかそういうのかねぇ?』と思いながらダチョウさんたちに問いかけました。ヒード王国は多民族国家、たまに自分の国が嫌になって逃げこんでくる人たちも多くいます。集団でやって来ることもあるため、彼はその子供たちだと判断したのでしょう。
しかしながら彼が話しかけたダチョウたち、実はその男性と同い年の子もいます。様々な種族が暮らすこの世界において、その体つきや顔だけで正確な年齢を導き出すのは非常に困難です。故に幼そうな顔と、扱う言語の幼さから子供と判断した商人さんでしたが、残念ながらハズレです。そしてもっと残念なことに、ダチョウに『パパ』や『ママ』の概念は理解できません。
「ぱぱ?」
「まま?」
かろうじて、何を血迷ったのかTS勢なのに自分のことを"ママ"呼びする個体もいるため『ママ』の方は聞いたことがありましたが、その単語とレイスの姿が繋がる前に記憶がリセットされます。というかたった一人の例外を除き仲間の顔どころか自分の親や子供の顔を覚えられないのがダチョウです。両親という概念は存在せず、『みんなおなじなかま』ぐらいでしか把握しておりません。
「おっとぉ……、藪蛇だったかこりゃ。悪いこと聞いちまったな。」
しかしながらこの商人の男性、ダチョウの習性や知性レベルなど全く知りません。つまり彼から見ると『何らかの理由で両親を亡くしている』ように見えてしまうのです。それも自分の記憶がまだ定まらない、赤ん坊の頃とかに失っていると。
何分この大陸は現在戦乱の真っただ中、子供だけ残されてしまう痛ましい事件など、もう見慣れてしまうほどに転がっています。そんなよくある話の被害者なのだろうと彼はあたりを付けました。見るからに幼い彼らはそのことをあまり深く受け止めていないようですが、商人の彼は違います。受け取った側が何も思っていなくても、彼は悪いことをしてしまったと考えてしまいました。
故に、お詫びをしようとしてしまいます。
「あ~なんだ? 実はおじちゃん地元の村は牛がたくさんいるんよ。んで毎日牛乳とかチーズとか色々町に持ってきて売ってんの。まぁ、アレだ。良かったら見てけ、さすがにチーズはやれんが牛乳一杯ぐらいなら恵んでやるよ。」
「にゅー?」
「ちー?」
「なにそれー!」
「おいおい、初めてか? しゃあねぇなぁ!」
勢いよく荷馬車の台の中に入り、大きな金属の瓶を片手に降りて来る男性。その手には黄色い丸っこい物体、チーズも乗せられていました。とっても、美味しそうな匂いがします。
「なにそれ!」
「おいしい!?」
「おう、美味いぞ~。ちょっちパンはここにねぇけどな。コレをアツアツのパンにのせてとろ~りとさせてな? それを牛乳で流し込めばもう最高って奴よ! コレが朝飯に出れば最高の一日、お貴族様でも体験できないPerfect dayがまってるぜぇ、ってな! 今日は特別だがちゃんと次は買いに来いよ?」
「ごはん!?」
「おう、そうだぜ!」
……もし、この中にダチョウ検定5級をお持ちの方がいらっしゃれば、その言葉がどれだけ危険なのか簡単にご理解いただけるでしょう。
彼らにとって『ごはん』という単語は、『狩り』という概念に直結しています。なにせ高原では狩りをしなければ食事にありつけることはないのですから。人間社会にやって来て何もせずご飯を食べれるようになった今でも、その言葉の関係性はとっても小さな脳みそに深く刻まれています。なにせ食べなければ生き残れないですから。
「「「ごはん!!!!!」」」
ダチョウちゃんがその言葉を発した瞬間、彼らのスイッチが入り全力で行動を開始します。ダチョウちゃんたちに牛乳が入った金属瓶の開け方なんて解りません、けれど一つおじさんが開けちゃいました、そして荷馬車の中からはもっと美味しそうな匂い。目の前のおじさんが、それを差し出している。つまりダチョウさんたちの眼にはソレがプレゼントされた、としか考えられません。
ということで、ダチョウ。動きます!
「「「わーーーー!!!!!」」」
おじさんは瞬く間に吹き飛ばされ、ダチョウちゃんたちは馬車へと突撃。どこかから彼らの母親代わりである彼女の悲鳴が聞こえたような気もしますが、ダチョウちゃんは目の前のごはんで頭がいっぱいです。おじさんが開けてくれた金属瓶に頭を突っ込む子、馬車へと突撃し中においてあったチーズに齧りつく子。金属瓶を食べられると勘違いし、噛みついて『いたい……』と涙目になる子。もうしっちゃかめっちゃかです。
そんなダチョウたちの大騒動に荷馬車が耐えれるわけがありません、車軸が重さに耐え切れず粉砕し、馬車はゆっくりと倒壊を始めます。金属瓶に齧りついていた子が、歯で瓶に穴をあけちゃった頃にはもうすでに馬車はひっくり返り、中から色んなものが飛び出してしまっていました。
「何事だ!」
「出合え出合え!」
「その場を動くな!」
そしてもちろん、何かあれば兵士さんが飛んでくるのが世の常です。
プラークからやってきた兵士さんならまだ話が通じますが、今飛んできた兵士さんは王都を守る兵士さんです。まったくダチョウさんたちなんか知りません。初めて見る存在が見るからに他人の馬車で暴れている、馬車の持ち主らしい男性はダチョウさんに吹き飛ばされてきゅぅ、と気絶中。どう考えても刑事事件です。
兵士さんたちのお仕事は町に悪い人が入ってこないように色々チェックするのがメインですが、何かもめ事が起きた時に対応するのも彼らの役目です。訓練し頭に叩き込んだマニュアル通り、対象者に持っていた槍を向けてその場から動かないように指示を出します。
「てき!?」
「てき!!!」
「やっつける!」
しかしながらダチョウちゃん、そんな人間さんのルールなんか全く解りません。彼らからすれば昔あった果物屋での出来事と同じように、優しいおじさんがごはんをプレゼントしてくれたとしか理解していません。なのにそこに急に現れて、見るからに危なそうなもの、武器を向けてこっちを襲おうとしてくる敵が現れました。明らかにごはんを横取りしようとする敵です。
ダチョウさんは思いました。なんでかは忘れましたが、自分たちのごはんを奪おうとする敵がいる。彼らの故郷高原では強いものが総どりの世界です。力づくで奪いに来るのなら、たっくさん懲らしめて二度と奪えないようにしてしまいましょう。だってそうすればごはんの数が増えるのですから。
正に一触即発の状況、兵士さんたちが動いた瞬間ダチョウちゃんたちの止まらない殺戮が始まってしまうかと言う時。
「やめよッ!」
背後から、声が聞こえます。
ダチョウちゃんたちは未だ戦闘態勢を崩しておりませんが、何かを察知し行動を停止。そして兵士さんたちも背後からやって来る存在を見るために後ろを振り返ります。
「兵士たちよ、槍を収めよ! その者たちは我が客人ぞ!」
「あ、あれは!」
「へ、陛下!?」
「は、はッ!」
なんとそこに現れたのは、真っ白なお馬さんに乗った幼女。この国で一番有名な人物、そう彼らの女王陛下です。明らかに頭の大きさに合っていない大きな大人用の王冠を被り、とっても豪華そうな服装の女の子。後ろにたくさんの護衛と宰相のお爺ちゃんを連れての登場です。
兵士さんたちは女王陛下のことを見たことがありませんでしたが、幼女であることは知っていました。王冠を被って滅茶苦茶強そうな甲冑に身を包んだ騎士さんを引き連れた人を見れば、アレは自分の国の王様だと一目で解ります。すぐさまその場に跪き、頭を垂れました。
「"ダチョウ"の方々も! この場は私に……、ヒィッ!!!」
すぐに武装を解除した兵士さんたちを一瞥し、すぐさまダチョウさんたちに向かって声を上げようとした幼女王でしたが、つい恐怖のあまり声を上げてしまいます。そして脳が精神を守るためにしめやかにシャットダウンし気絶。さらに背後から聞こえるドタドタという騎士が落馬していく音。乗っている騎士さんも、そして乗られていたお馬さんも仲良く気絶です。あぁ、もちろん宰相お爺ちゃんもぶっ倒れました。
それも、仕方ありません。
なにせ……
「お゛・ま゛・え゛・ら゛ァァァアアアアア!!!!!」
怒りのあまり全身から真っ赤なオーラをこれでもかと吐き出し、漏れ出る魔力のせいで天候を一瞬にして快晴から曇天へと変え去った化け物。ガチギレ中のレイスちゃんがそこにいたのですから。
なんかもう、背後からビクビクさんよりも怖いドラゴンのイメージが浮かんでる様な感じです。
お顔もこう、お目目がこれでもかとつり上がってて、般若のような感じでお口がガバっと開いてとんがった牙が見えてますし……
うん! この前より怖い☆
「「「ご、ご゛め゛ん゛な゛さ゛い゛~~~!!!」」」
う~ん、デジャブですね。
◇◆◇◆◇
「ひっぐ! ひっぐ!」
「ごめんなさい……。」
「だいじょうぶ?」
あ~~~、ちょっと怒り過ぎちゃったかねぇ? ガチ泣きしちゃってる子がいるや。あ、うんうん。今こっち見たキミ? あぁやっぱデレか。そうそう、デレちゃんや。ちょうどそのえぐえぐ泣いちゃってる子、私の膝元まで連れて来て上げて? そうそう、よくできました。わちゃわちゃしてあげるねぇ~。
「ほら、もう怒ってないよ。怒ってない。」
「……ほんと?」
「うん、ほんとほんと。……もうちょっと落ち着いたら、商人のおじさんと兵士さんたちにごめんなさいしようね。」
「あ、あの。俺、ダイジョウブですんで……。」
「そう? でも悪いんだけどもうちょっとだけ待ってもらえる? この子たちに謝り方を教えなきゃだから。さっき買い取らせてもらった商品と荷馬車、あと追加の慰謝料、それに追加してもっと出すから待ってもらえる?」
「アッ、スッ……。」
私の怒気に完全に気押されてしまったのか無茶苦茶顔色の悪い商人さん。いやほんとごめんね? もうちょっとしたらお返ししますんで。……にしても買い取らせてもらったこの牛乳とチーズ。ほんとに美味しいね。ちょっと食べさせてもらったけどかなり質がいいんじゃない? ちょっと後で大口の契約でもしてもらおうかな~。栄養価高いし、美味しいのなら他の子にも味わってほしいからねぇ。
(にしても。まぁ~たやっちまいましたねぇ、私。)
疲れがたまっていたということもあり、ブレーキが壊れてしまっていたようで前よりも結構ガチで怒ってしまった。なんか周りの人たちも結構な人数がドタドタ倒れていたし、結構な大事故になってしまったような感じだ。悪いことしたから怒ってあげることは悪くないとは思うんだけど、疲労とストレスのせいか必要以上に怒ってしまったような気もする。そのあたりはガチで反省しなきゃ……。
現在私たちはちょっと離れた場所で待機中、んでマティルデさんたちプラークから来た兵士さんたちが途中で合流してくれて、現場の対処に当たっているような感じだ。
(あとなんか王冠みたいなのと、女の子が転がっていたような気もするけど……、まぁ気のせいでしょ。なんか地面が湿っていたような気もしたけど、その子はマティルデが保護してくれてたみたいだしね。"悪くて怖い化け物"は退散ってやつだ。)
「……ん。」
「お? もうなんとかなりそう? まぁちょっと落ち込んでるみたいだけど……、今のうちにごめんなさいしに行こうね。反省会はそれからで。」
まだ全然この子たちも本調子ではないが、なんとか動ける程度には精神が回復したようで。今回の件に関わった子全員を立たせ商人さんに謝罪を受け取ってもらう。なんかこう、無茶苦茶恐縮しているけど受け入れるだけ受け入れて……、あ、くれる? いやほんとありがとう。あともうちょっとだけ待ってくれる? マティルデの方にお金預けてる……。あ、自分で取りに行くの?
そう言った商人さんは逃げるようにこの場から去って行った。……まぁ仕方のないことだろう。お詫びと言ったらなんだが、プラークに帰ったら御用商人のアランにでも頼んであの人の商品を定期購入できるように計らってもらおう。怖い思いさせちゃったし、それぐらいしないとね~。
「ん、誰か来た……。ってマティルデ! どうしたの? もう終わった?」
「あぁ、いやちょっとその件はまだだ。だが王宮? 王宮でいいのか? まぁ上の方から『会談の方は明日にしてくれないか』という連絡が来てな。場所もそちら指定でいいとのことだ。大丈夫そうか?」
「あれ、そうなの? 全然大丈夫と言うか、むしろありがたい位なんだけど。」
正直今の状態で難しいお話とかそういうのできる気がしない。お休みが欲しかったところだし、この体の回復力なら一晩しっかりと寝ることが出来ればまぁ何とかなるぐらいには回復できるはずだ。だから私としては大丈夫なんだけど……、いいの? なんか王都に着いたらすぐやる~、的なこと言ってた気がするし。そっちで何かあった?
「まぁ何かあったと言えばそうなのだが……、(一国の王が恐怖のあまり気絶しただけでなく色々漏らしてるとは言えないよなぁ……)と、とにかく気にしないでくれ。それと自身はまだ仕事があるのだが、旗下の兵たちはもうそろそろ撤収可能だ。終わり次第こちらに宿泊用の天幕を張る故、少し待っていて欲しい。」
「あぁうん、ありがとう。ゆっくりでいいよ、って伝えといて。」
「助かる、では!」
そういうと足早にまた王都の方へと戻っていく彼女。
まぁとりあえずお仕事は明日って言うことですし……。
「休むかぁ。」
色々漏らしてしまったためマティルデに全速力で王宮まで輸送された幼女王陛下のコメント
「…………もうやだ。」
……だ、大丈夫! 世の中には大きい方漏らしながら撤退した武将もいるから……!
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