5:ダチョウと新天地




「あ、そう言えばなんだけどザッドさん。私ら全裸なワケだが……、これ色々大丈夫?」


「……レイスさん、それ絶対同性に聞くやつっす。男のあっしに聞かないでくださいよ……。」



私たちに送迎されることになった冒険者パーティ、その斥候を務めるハーフドワーフのザッドさんに問いを投げかけてみる。いや最初は同性のアメリアさんに聞こうと思ったよ? けど今席を外してるわけじゃん。思いついた疑問はすぐに口に出して解決しとかないと安心できないのよ私、だってほら、ダチョウなワケだし。今のところ大丈夫だけど、私の種族の記憶力ってものはガチで信用ならんからさ……。



「あぁ、確かに……。」


「んで、実際のところどうなん? やっぱ隠しといたほうがいい?」



ちょっと私の群れを見てくれたら解ると思うのだが……、全員全裸である。完璧な裸族である。もちろん、私も含めて。こらそこ! 変態とか言わない!


い、いやさ? 言い訳させて欲しいんだけどね……。まず、私たちの文明レベル的に洋服を作るってのはマジで不可能なワケ。糸をつむぐとかこの翼じゃどうにもならんし、そもそもそんな知能こいつらにはない。作れるものがいなければ自然と服飾文化ってのは生まれない訳だ。そして、もう一つ追加するとすれば、服なんてもの私たちダチョウには必要がない、というものがある。


私たちが持つ羽は非常に多機能に渡る、ちょっと前にエルフのアメリアさんから教えてもらったのだが、この羽自体かなり価値のあるものらしい。故に取り扱いと言うか、私たちを狙う奴が必ずいる、と言うことも。……まぁそれもそのはずだ、だって私ら人生で一度も寒いとか熱いとか感じたことないもの。……バカだからじゃないよ?



(羽の性能が良すぎるんだよねぇ、雷への耐性もあるし、多分簡単な刃物じゃ切れない。)



羽が寒さから私たちの体を守り、キツイ日差しからも肉体を守ってくれる。まぁ早い話温度に対する耐性がすごく高いの。ダチョウ自体元々環境適応能力が高いんだけど、私たちの羽毛はそれを異世界に適合するように進化した感じ。だから防寒具としての服なんか必要なかったし、そもそも作れないんじゃ"服"なんか生まれないという……。



「あ~、別に大丈夫だとは思いますっすよ? 獣人の方々全員がそういうわけではないっすけど、毛皮が厚い人たちはあんま服を着ないってのは聞いたことあります。見た感じレイスさんたちはみんな大事なとこ羽で隠れてるっぽいですし……。」


「へー、そんな感じなんだ。」



もう少し詳しく聞いてみると、私らと同じように服の必要性を感じない獣人とかがいて、そんな人たちは自分たちの文化のまま生活しているらしい。流石に腰巻とか胸元を布で隠してる人が多いらしいが、私たちのように"すっぽんぽんマン"ってのも一定数いるみたい。まぁそれでもネックレスとか腰にベルトとかの装飾品は付けてるみたいだが。



「ウチの地元に、バチクソに足の速いサルの獣人がいるんですけど、そいつは腰巻と顔に厳ついメイクだけで年中過ごしてましたね。まぁ私らドワーフだったりエルフだったり人間だったりは基本服着ますけど、あんまり気にしなくても大丈夫だと思うっす。」


「なるほどなるほど、じゃあとりあえず町にお邪魔した瞬間に『変態さんの集団がいる~~!!!』とはならない訳だ。安心安心!」


「…………そのまま行ったら違う意味で驚かれそうな気がするんすが。」



そう? なんて話の内容を分かっていないような"フリ"をしながら、今日の昼飯である肉を噛み千切る。流石に口でそのまま貪るのはちょっと嫌なので、上手く翼を使ったり足でつかんだりしての食事だ。テーブルマナーとかクソ喰らえ! みたいな食事風景だけど許してちょ!


……ん? 何食べてるかって? 聞いて驚かないでよ!




なんと今私が食べてるのは……、オーク! オークちゃんです! あの豚さんの魔物!


いや~、私らが住んでた高原じゃ見なかったけど、だんだん町の方に近づいて来たせいか魔物の種類も変わってきましたねぇ。うんうん、さすがに前世で食べた品種改良しまくって美味しくなった豚さんに比べればまずいけど、今世に入ってからは上から数えた方が美味しい肉だ。ちょっと脂肪が多いけど軽く焼いて油を飛ばせば絶品~!



「……なんでオーク食べてるんですかねぇ? 一応魔物とは言え人型ですよ? 皆さんすごい、血まみれですし。」


「あはー! 今更じゃない? 土竜の時も酷かったでしょうに。ま、私らは同族以外なんでも食べちゃう感じだからね~。」



逆に言うと、同族以外なんでも食べられないと生きられないような環境にいた。ってことなんだが……、まぁそれは置いておこう。


私たち一行はもうそろそろ町へ到着する、ってところまでやって来ることが出来たんだけど、群れのメンバーたちが『ごはん!』という回数が増えて来て、そろそろちゃんとした補給をした方がいいという話になった。かといって高原から離れたこの場所じゃ私の知識や経験はあてにならない。そんなわけで、どんな魔物でもいいから可食部が多そうな魔物はいないか? と聞いたわけだ。


その後斥候のザッドさんと一緒に色々探していたところ、なんと運よくオークの集落を発見。即座に踏みつぶしてご飯に変えたってワケ。


私にはあまり違いがよくわからなかったが、なんでもオークの中に上位個体がいたらしく、このまま放置しておくと結構な被害になったそうだ。軽く数えて50以上いたわけだし、確かに面倒な相手なのかもしれない。



「最初はね、興奮したんっすよ。あっし一人じゃ倒すのが難しいオークを皆さん足一本で吹き飛ばしていくんすもん。レイスさんとか足だけで真っ二つにしてましたし、本当にかっこよかったんす。でも、殲滅した瞬間バラバラになったオークや、未だぴくぴく動いてるオークにみんな頭から突っ込み始めて……。」


「あ~、なんか。ごめんね?」



ウチの群れは死傷者どころか軽傷者も出ていない。でも返り血やらなんやらで血まみれだし、個体によっては顔面血液パックしてる奴もいる。まぁグロテスクだ。私も他に比べれば幾分か返り血が少ないと言えども、両足は血で汚れているし、口の周りはちょっと血が付着してしまっているであろう。まぁこればっかりはね……。ダチョウがマナーなんか理解できるわけもないし。



「さっきの話だけど、私ら同族意識がすごく強いのよ。そして、"おつむのわりには"同族と他を見分ける能力が高いの。一応高原にも人型に近い魔物はいたんだけど、そういうのも気にせず食べてたからねぇ。最初は私も忌避感覚えてたけど、喰わなきゃ餓死する、ってなったら、ねぇ?」



味方には手厚く、敵には苛烈に。それが私たちダチョウ獣人だ。最初冒険者の彼らを発見した時、うちの子たちが彼らを見てなんて言ったと思う? 『ごはん?』だぞ? 多分私が止めていなければ『食べれるかな~?』とか思いながら口にしていた個体は多分いるだろう。ブクブクと太ったオークが人のように二本足で立っていても、構わず腹に収めようとするのが我らダチョウだ。


まぁさすがに人間相手だと少し躊躇するようだが……、まぁ私が敵と断じた瞬間全力で襲い掛かるような奴らばっかりだ。いいのか悪いのかはわからんけど、まぁ彼らの特徴として覚えておくほかないだろう。私としては愛らしい同族だが、同族じゃない方々はたまったものじゃないだろう。



「つまり、私たちにとってはダチョウ以外みんな、『ごはん候補生』ってこと!」


「えぇ……。」


「あはは! そんな怖がらなくってもダイジョブだって! 私がいれば敵じゃない限り絶対に止めるし、襲うならもっとおいしくて食べやすいの狙うでしょ? ダイジョブダイジョブ!」



"デレ"がアメリアさんというエルフを気に入っているように、目の前にいるハーフドワーフのザッドさんや、人間のクルディウスさんのことに興味を持つダチョウは存在している。私らダチョウはなんでも"ごはん"にしてしまう激ヤバ集団ではあるが、同時に仲間が大事にしているものを食べちゃったり壊しちゃったりすると、大事な大事な仲間に嫌われてしまうということを本能的に理解している。



「ま、そんな感じだから! がんば~!」








 ◇◆◇◆◇








さて、オークを無事完食し、近くの川で私を含め全員をキレイキレイにした後。私たちは同行者である彼らの住む町へと向かっていた。クルディウスさんが言うには『見慣れた道になってきましたし、そろそろです。』とのことだが……。



「? なにあれ!」

「おっきい?」

「わかんない!」

「びっくり!」

「ふしぎ!」


「おん? どうした……、って。あれかぁ。」



ウチの愛すべき阿呆どもが普段とは違う声を出していると思うと、彼らの視線の方向に明らかに人工物が見える。おそらく、城壁とかそういう類のものだろう。数キロ距離が離れているが、ここからでも石の壁によって視界の一部が遮られていることがわかる。


ダチョウたちの記憶保持能力からして、見るものすべてが真新しいのは確かだが、彼らの脳内辞書にあんな物体を表す言葉はない。本当に初めて見るものに興味津々なのだろう。ほーい、みんな注目。あれね、あのなんかでっかい奴。アレ、『城壁』ってものだからねぇ? 覚えられないだろうけど頑張って覚えましょうね~。


あの中にね、人間さんが、たくさん住んでるんですよぉ? 今からね、ご挨拶。『仲良くしてね~』って言いに行きますからねぇ? 解りましたか~!



「「「はーい!!!」」」



まぁ十中八九到着する頃には全部忘れてるだろうが、言っとくだけ損はないからね。たまぁ~に、ほんと偶に数分前の記憶思い出してくれることとかあるしさ。今後一時的に私が群れを離れて行動しなきゃならない時が来るだろうし、その時のためにも教育はしっかりしときませんと。あの中にいるのはごはんじゃないですよ~って。


ところでクルディウスさん? あの町ってあなた方のホームで間違いないですか?



「はい、あそこが自分たちのホーム。プラークという町です。人類の生息圏の最南端の都市で、自分たち冒険者による魔物素材関連の商業が盛んな町ですね。少ないですが自分たちにも伝手がありますし、例のモノをうまく売ることが出来れば十分な活動資金になると思いますよ。」


「だといいけどねぇ。……変な横やりが入らなきゃいいけど。」



なるほどねぇ。


うん? 例のモノって何かって? あぁそう言えば説明してなかったか。流石に私も無一文で町に入れると思うほど"ダチョウ"ではない。何かしら換金できるようなものをいくつか高原から持ち込んでいる。基本、道中でごはんに変えた魔物の討伐証明部位。冒険者の皆さんに回収をお願いしてもらった奴だ。


後はアレだね、土竜の素材。アイツのお口の中にたくさん生えてる歯を何十本か持ち込んでいる。私はよくわからないんだけど、アメリアさんが言うには『とても土属性の適性が高い、魔道具の素材に使える。いい収入になると思うよ。』とのことだったのでコレも持ち込んでいる。全部合わせてどれぐらいの値段になるかはわからないけど……、我が愛すべき同胞たちの食欲相手に何日持ってくれるかなぁ。



「あはは……、そうしたらちょっとプラークを楽しんだら、もう少し北に進んだところにある穀倉地帯に行くのはどうでしょう。"大陸の食事処"と言うぐらいですし、お安く食料品を購入できるかと。」


「ほいほい、輸送費が掛からない分。ってコトね。」



基本は近場の魔物をごはんに変える、という補給方法になるだろうがいずれ"食料"は狩りつくしてしまうだろう。食べるものが無くなったのなら、そっちにお邪魔するのも悪い選択ではなさそうだ。まぁ行くとしたら、どうにかして『勝手に畑に生ってるの食べちゃダメ!!!』と言うことを教えないといけなさそうだが。……む、無理そう。



「ま、とにかく初文明。楽しみましょうかね。」



そんなことを言いながら、普段の私たちを考えれば欠伸が出そうなほどの速度でゆっくりと進む。流石にこれから『仲良くしましょ』って言いに行くのに全速力で走っていくのは色々と危ない。私たちの存在が理解できるように、そしてあっちがこちらの応対について決められるような速度で歩いて行く。



「レイス殿、どんな感じでしょうか。」


「あ~、上で守ってる人? 兵士さんたちがちょっと慌て始めてるね。流石に大人数過ぎたか。これ先触れとか出した方がいい奴? まぁうちの子は出したらどっか行っちゃうからそっちにお願いするしかないんだけどさ。」


「やはり目がいいですね……。解りました、ザッドにお願いして兵士の方々に話を付けてもらおうと思います。」


「悪いね。おらお前ら、とまれー! そしてお座りー!」




「すわる?」

「すわる!」

「きゅうけい!」

「おやすみ!」



うちの子たちをその場に座らせ、時間を潰させる。クルディウスさんにお願いする対価として後で換金した額の取り分を多く持っていってもらうことを決めた後、町に向かって走っていくザッドさんを見送る。ん? どしたクルディウスことクルちゃん。お金要らない? おうおう、ダチョウと一緒に過ごしたせいでおバカがうつっちゃったかい? 駄目だよそんなことしたら、正当な労働には正当なお駄賃がないと。


そんなことをクルディウスさんと話したり、"デレ"ちゃんに甘噛みされるアメリアさんを眺めたり、あとは急に立ち上がって走り出そうとしたダチョウを呼び戻したりしていると、町の方からザッドさんと数人の武装した人が走ってきた。一人は騎乗しとるね。……うん、私らの方が速い。というかお馬さんの獣人はいるのかね? それとも著作権的に無理?



「クルディウスの旦那! レイスさん! 呼んできましたぜ!」



そう言いながらザッドさんが現着すると、それに合わせて馬に乗っていた兵士さんも飛び降りてくれる。あ、馬上からじゃないのはありがたいんだけど、もうちょっとその子離してもらってもいい? うん、そのお馬ちゃん。うちの子たちが獲物だと勘違いしちゃうから……、ってコラ! アレは食べちゃダメな生き物! さっき座っていなさいって言ったでしょ! お座り!


あいや、うちのおバカたちが申し訳ない。何分お馬さんは初めて見たもんで。



「いや、こちらも申し訳ない。貴殿らを刺激する意図はなかった。……改めて、ヒード王国から"騎士"の爵位を拝命している。マティルデという者だ、プラークの守護を仰せつかっている。」



……おっと、せいぜい警備隊長レベルかと思ったら、"守護"と来たか。しかも"爵位"持ち。細かい意味合いが間違っているかもしれんけど、多分お貴族様とかの偉い感じの人だなこの女騎士さん。


私の目の前に立ち、鉄の馬上鎧を着たマティルデと名乗る女性。綺麗な金髪を後ろで縛ってその上から兜被ってるのかな? ちょっとお顔が鋭い感じではあるけど、敵対的な感じはしなさそう。というかビーさん大物連れて来たねぇ。お知り合いだったの? あ、なんか運よく近くにいたのね、なるほど。っとと、失礼自己紹介してなかったね。



「私はレイス、見ての通り獣人。ダチョウっていう鳥系の獣人だよ。この子たちのリーダー、まぁ族長だね。それをやらせてもらってる。今日はちょっと遊びに来ちゃった。」


「……遊び?」


「そ、まぁ観光だね。一人で来ても良かったんだけど……、ウチは全員でしか行動できないからさ。」



普段通り、人に警戒心を与えないように態度を柔らかくし、笑みを浮かべながらそう言う。今は族長としての顔を見せる時ではない、こっちはお邪魔させてもらう側だ。あんまり軽く見られるのは困るから簡単に頭とかは下げないけどさ、変に偉そうにして話がこじれるのも困る。これぐらいがちょうどいい塩梅のはずだ。



「そこの冒険者、ザッド殿からは移住する可能性もあると聞いたが?」


「あ、そこまで言ってくれたのね、助かる。その件はまぁおいおい、私らにとって過ごしやすい場所ならばちょっと町の外でもいいからスペースもらえると嬉しいな、とは考えてたね。合わなければ元居た場所に帰るつもり。」


「なるほど、な。」



そう言いながら少し考えるようなそぶりを見せる彼女。……にしてもこの女騎士さん、面白いな。自然体を装っているようには見えるけど、ちゃんとこちらのことを警戒している。感じられる覇気と言うか、生命としての格は冒険者の彼らと同じくらいだけど、その分意志の力。目に宿る力が非常に強いように思えた。う~ん、とてもいい人材。ウチの群れにもこんな子欲しいや。


ウチのダチョウはみんな無垢の中の無垢、って感じだからこんなに強い意志の力はそうそう見れないのよねぇ、なんて変なことを思いながら彼女の返答を待つ。後ろについて来た兵士さんの一人が持っている荷物からこの人がやろうとしていることはある程度理解できるんだけどね。そっちから話しかけてくれないと話進まないのよ。


……あ、喋ってくれる? どうぞどうぞ。



「貴殿の希望は理解した。プラークを預かる身としても町に人が増える事、そして何より戦力と成り得る人物が来ることは非常に喜ばしい。周辺国の怪しい動きも増えている、戦力は多いに越したことはないが……。貴殿が真に信用足る者であるか。その証明が未だ済んでいない。」



「故に。」



そう言いながら、背後に控えさせていた兵士の一人を呼び、包まれていた袋を開ける。そこから出てくるのは木製の槍。



「貴殿と手合わせ願いたい。」


「…………いいねぇ、そういうの大好き。ただ」



私も、そういうの大好物だからすぐさまお受けしたいんだけど……。ちょ、ちょっと待ってもらえる? うちの子たちが雰囲気に押されて『狩りの時間?』『やっつける!』『倒すー!』とか言い始めたから! ちょっと、ちょっと待って! お前ら落ち着け! 落ち着け~!!! 狩りじゃないから! 違うから! 今からこのお姉さんと遊んでもらうだけだからね! お友達! お友達だから~~!!!






















〇ダチョウの同族意識


過酷な環境で生き残るために進化してきた彼らは、非常に同族意識が高い。故に、脳の破壊と再生を繰り返していたため植物人間状態であったレイスを決して見捨てなかった。誰かを見捨てるということは、次は自分が見捨てられるということ。個人では生きられない高原に住む彼らは、群れることを学び、助け合うことを本能で理解した。


そのため誰かの嫌がることはしないし、したくない。みんな仲良くご飯を食べられればとっても幸せなのである。仲間の顔は覚えられないし、群れの数が増えていても減っていても理解できない、何とか理解できたとしても三秒後には全部忘れている。だけど仲間がいればとっても幸せ、リーダーがいればもっと幸せ、それがダチョウ獣人だ。


因みにだが、同族意識が強すぎるあまり他の個体が嫌がることをしてしまうとひどく落ち込んでしまう。その日はご飯もろくに食べればくなるほど参ってしまうようで、迷惑を掛けられた個体が逆に心配するほどに落ち込んでしまう。流石に一日たてば全部忘れるのだが、同じ行動を繰り返してしまう可能性は減るらしい。(なお一月経つとその記憶も飛んでいくのか、繰り返しちゃう個体が非常に多い。)


高原にいたころは、よく彼らのリーダーがデザートに取っておいた果物を『あまってる!』と勘違いし、勝手に食べて叱られ、『ご゛め゛ん゛な゛さ゛い゛~~~!!!』と泣きながら謝る個体がよく見られたそうな。叱った彼女が逆に慌てて慰め、数か月後にまた同じことをすることから次第に『もう私の分も食べていいよ』と言う様になったそうな。





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