第8話ラクトア国から来た兵士の中に奴隷の首輪を付けられた異世界勇者がいた。
ラクトア国からは数十万の難民と数万の兵士がやって来る。
時空魔法の拡声を使い、ラクトア国からの難民と兵士に警告を発する。
「お前達が向かっている獣人国や小人国は我々が占拠し、新たな国として収めている。難民は受け入れるが、兵士共は駄目だ戻れ、帰って戦うんだな。戻らなければ侵略者とみなして、攻撃し殲滅する。」
長い列の隅々まで声が届くようにして、注意をすると、一度は止まるが難民と一緒に兵士も進んで来る。その兵士の数は数万に登り、難民の両サイドに長い列を作っている。
「レイマ、ヘズマさん、仕方ないです兵士の方のみ作戦通り、攻撃してください。なるべく難民には危害を加えないようにしてください。」
「ハッ、主様了解しました。」
「ハッ、ランド城主様了解しました。昼間は、獣人兵士で撹乱し、弓の上手い森人のウマ族のケンタウロス200人を中心に走り掛けでの兵士の狙い撃ちや森からの狙い撃ち、他の獣人による誘導、揺動を日中行います。」
「夕方から翌明け方までは、変わって私レイマ率いる不死団がラクトア兵士に一晩中休ませることなく、寝かせることなく攻撃を連続して仕掛けます。心身共に極度の疲労を与えてみせます。」
余り殺りすぎない事を祈りつつ、こちらに敵が侵攻してくるのだから仕方ないんだ。殺るしかないんだとなるべくなら、引いてくれと願うのだった。
その日から獣人、小人、エルフ、不死族の絶え間ない攻撃が始まったのだった。
ウマ族のケンタウロスは上半身は人だが下半身は馬である。森の中で狩猟を主に行い森の番人ともいわれている。
その弓の腕前は百発百中の腕前で左右から走り抜けながら、ラクトア兵士に弓矢で敵の指揮者を狙い撃ちするようにヘズマは指示するのだった。
指示する指揮官が居なくなれば後は右往左往するしかない雑魚ばかりだからだ。
馬を操るラクトア騎士がケンタウロスを追いかけて来るがケンタウロスが逃げ込む先には他の獣人、小人、エルフ、人が罠を張って待っているのだった。
そういう攻撃が日没まで起こり、ドンドンラクトア兵士が倒れていく。
ラクトア兵士は日が沈み、やっと休めると思ったそうだが、ここからが本番なのだ。
5万の不死族の軍団が向かって行く。
それは生きている人にとってはそれだけで背筋が凍る思いである。
しかも戦いに長けた歴戦の猛者の死なない魔物達なのだから、明方近くになると半分以上が倒れ、生きているほとんどのラクトア兵士が負傷している。
不死族軍団を死霊倉庫で回復の為に戻す頃
1日でカタが付き、白旗を掲げて降伏の意思表示をするが、ミサキさんは容赦しない。
「こちらに向かって来るなら“死あるのみ”戻らないなら命は無いものと思え」と警告を発した時だった。
その後ろから三国の連合軍約50万の軍団が難民、兵士関係無く攻撃を仕掛けている。
その報告を受け自分は怒りに震えるのだった。許せないやっていることは、ラクトア国と同じじゃないですか。
時空魔法の拡声を使い、難民に手を出さないように警告を出すのだが、警告を無視してラクトア兵士共々難民にも攻撃している。
「ヘズマさん、レイマ我が国に助けを求めてくる難民に攻撃を仕掛けるのは我が国に戦争を仕掛けているのと同じ事、三国連合軍50万等何するものぞ、遠慮なく叩きのめしてしまいなさい。」
「「ヴォス、では遠慮なく全力で叩きのめしてやります。」」
日が昇り始めたので交代で獣人、小人、エルフ、人の同盟軍が三国連合軍50万に攻撃する。小人族は魔道具を駆使して色々な攻撃を仕掛け、人族とエルフ族は弓と魔法で攻撃し、獣人は弓と獣術の肉弾戦を仕掛け、ヒットアンドアウェイで攻撃しては引きを繰り返して敵の戦力と体力を削って行く。
その内、日が暮れて死霊倉庫で回復しスタミナ抜群の不死族の兵士に身体強化の魔法を掛けると、力がミナギリ有り余っているのか、雄叫びを発しながら
「「「「ウオオォー、ヤッタルゼー敵はドオコダァー、ウオオォー」」」」と5万の軍勢が元気良く敵に向かっていくのだった。
これには流石に例え50万の軍勢とはいえ相手は死なないのだから、パニックになり、敗走するのだった。
ラクトア兵士は全員が武器を捨てて両手を上げて抵抗しないものだから
「ミサキさん、例えラクトア兵士とはいえ、無抵抗の人を傷付けるのは無しです」
「しかし、ラクトア兵士は信じてはいけません。主様は甘過ぎます。騙されてはいけません。」
「ミサキさん、攻撃は止めてください。もし、不安なら捕虜収容所にラクトア兵士は無防備にして固めてから対策をとりましょう。」
「分かりました。主様がそこまで言うなら従います。」
捕虜は全部コロポックル城に連れてきている。自分もそこに居て、
“ふぅ~”これで全部解決ですかねとお茶をススリながら一息入れるのだった。
“ズズズズズゥ、フゥ~”遠くで
戦勝祝の雄叫びを獣人が上げるのだった。
そんな中、捕虜収容所を監視している獣人から報告を受ける。
「ランド城主様、捕虜の人族の勇者というものから、面会を申し込む者がいるとの事、どうしましょうか。何でも、魔族、魔王に関する話だとの事。私では判断しかねる為、報告に来ました。」
「ご苦労さまです。気になりますので、ここに連れて来てもらえますか。」
「ハッ、急ぎ連れてまいります。」
部屋の中には自分の他にセリア、ポックルさん、ヘズマさん、レイマ、ミサキさんと小人の騎士3人がいて、丁度捕虜をどうするか等話し合うところであった。
セリアは部屋から追い出そうとするが「私も一緒に聞くの、ここに居るの」と言い、残るのだった。
”コンコン“とドアがノックされ、獣人が2人の女性を連れて来た。
入ってきたのは美神ローラと美咲カオリだった。2人は少しうつ向き緊張しているようだった。
「久し振りですね、勇者美神ローラさん、美咲カオリさん、後の2人の勇者の七光ユウタさんと山本セイヤさんはどうしました。」
「「?????えっ、えっどういう事、何故あたし達の名前を知っているの?」」二人は顔を見合わせて困惑してる。
「それは、私もあなた達と同じ地球の日本人で、一緒に召喚されたからです。
最も私の場合は特殊で幽体離脱をしている所に強制的に召喚されました。
なので、私は誰にも見えず、声も聞こえずボッチ確定の所一人だけ見える人がいました。カナン神官です。
カナン神官が幽霊に手を捕まえられて、ローラさんが助けに入りましたね。
アレ私何です。勇者覇気が付与された剣で切られた為、ものすごく痛くて、壁抜けで図書館へ逃げ、ローラさん達が追って来た為、更に地下へと逃げました。」
それを聞いたローラさんが
「申し訳無い、カナン神官を助ける為だった。」
「イエ、責めているわけではありません。あなた達も私も被害者だと思っていますので、後の二人はどうしました?」
山本セイヤの方は城の地下でのガス爆発に巻き込まれて亡くなりました。
七光ユウタは奴隷の首輪を装着されて、城地下ダンジョンの魔物を殺せと命令されて無理を命令されて亡くなりました。」
どうも、城地下の爆発はミサキさんの爆裂系魔法とはバレていないようである。
「ユウタさんは奴隷の首輪をハメられたとのことですがあなた達の意識混濁魔法や洗脳魔法は溶けたようですね。
良かったです。でも、あなた達の首にも奴隷の首輪が着いていますね。何かを命令されてやって来たのではないですか?」そう言いながらローラの首輪を見えるように服をチラリと動かすと。
美神ローラが「ゴメン!」そう言いながら、アイテムボックスから剣を抜き出して私を刺す。が私には剣が届かずに私を庇ったセリアの心臓に剣が刺さる。
「セリア、セリアー、」
「お兄ちゃん、エヘッ良かったお兄ちゃんが助かって••••」静かに息を引き取るのだった。
その時、捕虜収容所の方から
「捕虜が反乱を起こしたぞー、」と数万のラクトア兵士が武器を持ち小人兵士やエルフ兵士、獣人兵士、人の兵士達に襲い掛かったのである。
勇者の持つスキル、アイテムボックス(小)に裏技で収納袋に詰めた武器防具を勇者のアイテムボックスに収納した物を幾つも入れていたらしい。
それを、捕虜収容所に来てから出して密かに装備したらしい。
捕虜達は何時の間にか傷も治されていた。
美神ローラと美咲カオリは直ぐ様、ポックルさん指示の元、小人騎士とヘズマさんにより取り押さえられる。
「セリア、セリア、セリアー」とセリアを抱きしめて泣いていた私に
『アニキ、セリアを助けてやってくれ』
そう言って“ぽん”と背中を押されランドの身体から追い出される。
ランドを見ると、本人が身体の中に居る。
どうも天国に行ったのではなく、元々魂が身体の奥底に居たようだ。
直ぐ様セリアの体に入り、死霊治療で傷を治すと心臓が“ドクンドクン”と動き出すが生き返ったはずなのにセリアはまだ、目を覚まさない。ショックを受けているのだろう。
ならばとセリアの身体を使い
「ランド、敵を倒すぞ」そう言ってセリアを殺された怒りが身体中から湧き上がり、セリアの身体が九尾の狐に変化していき、白く輝き身体も5mの大きさになり、大きな九本の尻尾が扇のように立ち広がっている。
ランドも小人族に作らせた魔道具、疑似の光る黄色い球を見て、金狼に変身する。
「ヘイ、アニキ、一緒に戦います。」
2人して、捕虜収容所の方へ行くと、捕虜達は作戦を練り、用意していたようで、騎士の猛者を集めてる為、小人兵士やエルフ兵士、獣人兵士、人の兵士達では太刀打ち出来ないでいた。
ならばと九尾の狐の尻尾の力を使う。
第1の尻尾魅惑、魅了の力でラクトア兵士を魅了して、仲間同士を戦わせる。
第2の尻尾幻術でラクトア兵士を敵の獣人兵士に見せてラクトア兵士同士戦わせる。
第3の尻尾分身で九尾の狐の分身を作るが小さな子供の狐になり、使えない為諦め、
第4の尻尾カミナリの力で敵を痺れさせて動きを止め、
第5の尻尾重力の力で敵を地面に伏せさせ動けなくし、
第6の尻尾タツマキの力でラクトア兵士を空高く飛ばし、
第7の尻尾炎の力でタツマキに放つと炎のタツマキになり、
第8、9の尻尾の力を開放することなくラクトア兵士を殲滅したのであった。
ランドの金狼は何にもしないうちに終わったので”ポカ~ン“として、
「アニキ、俺にも残しておいて欲しかったな、腕の見せ所だったのに」とブツブツ言うのであった。
「スマンスマン、余りにもカッとなって、見境がなかったな。すまんな」そう言いながら、拘束されているローラとカオリのところへ行く、2人は涙を流していた。
「私達のやったことは、許されることじゃない。死を覚悟している。殺ってくれ。」
「分かりました、あなた達には死んでもらいます。2人を外の訓練場に連れてきなさい。」その時皆は公開処刑をするものと思ったそうだ。
「他の人が見えないように人払いと立ち入り禁止処置をしてください。」
そう指示を出すと見えない幕の中には拘束されたローラとカオリ、セリアの中に入っている自分とランド、ポックルさん、ヘズマさん、ミサキさん、レイマがいる。
「ミサキさん、やはり自分は甘い様です。まず、ローラから死んでもらいます」
ヘズマさんに合図を送るとヘズマさんは間を置かずに剣でローラの心臓を刺すと事切れたかのようにグッタリする。
拘束を取ると横に寝かせ、待つと奴隷の首輪が勝手に外れる。
「私の出番です。ランド、セリアの身体を頼みましたよ。」
そう言ってセリアから抜け、ローラの身体の中にはいり、死霊治療で傷を治して置く、私が痛いのが嫌だからだ。
ローラを助けた後、ローラの勇者の力を使う。助け賃、治療代の対価のつもりだ。
その力は私に写るのを知っている為、普段は人のを勝手に写すのは自分の中で納得が行かないが、治療代なら良かろうと思っている。“ドクンドクン”と心臓が動き出す。ローラが目覚める前にやることがある。
ローラの勇者覇気にて、勇者覇気を剣に宿す。
次に氷雪魔法のLV7の絶対零度~LV3の烈風氷刃を空に放ち、写ったところでローラが意識を取り戻しローラの中から出される。写したいものを優先的に写すことができたので満足だ。
ローラは自分の心臓が刺された所を擦りながら、「傷がない、何故私は生きている。これはどういうことだ。」と言って皆を見るとヘズマさんが、お前の奴隷の首輪は超一流の高級品の為、パスワードが分からないから外す為には一度死んでもらうしかなかったんだ。
カオリは涙を流しながら「助かってヨガっだねローラ、ウェエエン」
自分は今は幽体離脱中の為、ヘズマさんが答える。「次はカオリの番だ。」
「ハイ、お願いします」そう言って目を閉じる。へズマは間を置かずに剣を抜いて、カオリの心臓に剣を刺す。
同じ様に、カオリの勇者の力を使い写すのであった。カオリから写したものは勇者気合、高速弓連射、命中補正、緑魔法LV7植物連鎖爆生~LV3植物ゴーレム、無毒性化、毒拭きを写した所でカオリは意識を取り戻し、出されたのであった。
今度も写したい物を優先的に写せたので満足だ。
その頃、セリアも意識を取り戻すのだった。セリアとローラとカオリは1度死んだからか幽霊を見る力が備わっていた。
ローラが「もし、地球に戻る方法を探しているのなら、神聖国コンロンにそのような技が有るとの噂を聞きました。
偶に地球に出る鬼やカッパ等の妖怪は異世界の魔物だと聞きました。
勝手なお願いなのですが、もし見つかったら私達も一緒に連れて行ってください。お願いします。この異世界で死ぬのは嫌。」と頭を下げるのであった。
「分かりました。有益な情報提供有難うございます。早速、神聖国コンロンに行って来ます。
ランド、セリアの事は頼んだぞ。後この勇者達も被害者なんだ面倒を見てやってくれ。
セリア元気でな」
「アニキ分かってるよ任せてくれ」
「イヤー、イヤ~お兄ちゃんが行くのは絶対にイヤー、セリアの側に居てよ。お願いお兄ちゃん。ウワァァン」とセリアが抱きついて来るが私の身体をすり抜けるのであった。
皆に別れを言い、泣きじゃくるセリアの側に行き、
「セリア必ずここに戻って来る。その時はどういうふうに来るか今は分からないから、2人だけのハンドサインを決めておくから覚えておけ。
先ず右手をグーのまま突き出して親指を立てるコレは、俺だぞというサインにする。それから、手を頭に乗せると今は俺を知らない振りをしろ。
それから右手で左耳を触ると悪いやつが側にいる気をつけろのサインだ。」
「ウン、分かった。必ず帰ってきてね」
そう言ってからセリアの頭を撫でるとフワフワモフモフ尻尾をパタパタ勢いよく降るのだった。
別れを告げ北の神聖国コンロンへと空を飛んで向かう。
自分の従属達は自分と一緒に来たがっていたが「皆、気持ちは嬉しいが、今の獣人国はお前たちの力が必要だ。必ず迎えに来るからその時まで獣人国を守って欲しい。」そう説得をして別れを告げたのであった。
ー ー ー ー ー ー ー
空を飛びながら、神聖国コンロンの王都に来たときだった。
教会の鐘が鳴らされ、高貴の貴族の葬式だろうか?沢山の人々が大きな声で泣いている。ツイ気になり、誰が死んだんだろうと祭壇にある棺の中を見ると黒い霧に包まれた7才位の男の子が眠っていた。
神眼の鑑定を使うと呪いにより死んでいるようだ。
このままでは、天国に行くことはできず、地獄行きとなる。
可哀想に思えて、死霊術の呪い食いを発動してしまう。
左手を死体に当てて、(呪い食い発動)と言うと左手の前に黒い円板が現れ、死んでいる少年の身体中のドス黒い呪が左手に吸い込まれて行く。
呪いを掛けた奴が許せない。こんなに小さな命を奪うのはどうかと思う。なのでその呪いを呪い返しで掛けたやつに倍返しで返してやったのだった。
「フゥ~、これで天国へ行けるでしょう」とそこを去ろうとしたとき、身体ごと後ろからホールドされて、身体を引っ張られてその子供の中に入ってしまったのだった。
「ウワァ~、何でだよぉー、何かに身体を掴まれてるようだ。抜け出せない。嘘だろう、どうにかして身体から出なくては」と悪戦苦闘していると、“ドクンドクン”と心臓が動き出し生き返ってしまった。
棺の中から自分が起き上がってきたものだから、「神様の奇跡が起った。奇跡だ。」と教会中大歓声が湧き上がるのだった。
第一章終了。第二章は楽しみにしておいて下さい。•••終了。
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