第12話エピローグ
夢を見ていた遠い千年前の夢を……
「化野!飲みに行こう!」
茶髪のメガネを掛けた女性が声を掛けてくる。
「酒々井先輩……たまには他の人と行って下さいよ」
「いやいや、私は化野と飲みたいんだ!」
「そうですか」
「何か最近悩んでるようだしね、先輩が相談に乗ってあげようと…」
先輩の言う通り悩んでいた、伊能先生に従うべきか……それとも……
酒々井先輩はチームないでもよく絡んできた、気持ちは嬉しいが、自分の道に先輩を巻き込む訳には行かなかった。
先輩の手を取っていればもっと良い未来があったのか、それだけが心に引っかかっていた。
気が付くとテントの中で寝かされていた、意識を失って居たようだ。
「気がついたか…」
女の声がする、横になったまま声の方を向く。
「し、酒々井先輩……」
夢に出てきた女性に何処となく似ている。
自分の言葉に女性は一瞬驚く、暫くして何か思い当たったようだ。
「どうやら…上書きされた魔神の記憶が残っているようね」
「上書き?」
女性は事情を説明する。
「マヒトは魔神に体を乗っ取られていた……その時の記憶が残って居たのだろう、私のことは解るか?マーシャ・シスイ、化野のと縁があった賢者酒々井の子孫だよ……」
「……体を乗っ取られた?」
マーシャさんは何を言ってるんだ真実は……
俺の心情を察したのか、彼女は諭すようにいう。
「そういう事にしておきなさい……君が真実を語れば一人の女性が不幸になる……わかるね?」
「どういうつもりですか!?」
私は神殿に帰ると神官達に拘束された、お父様から古代の科学を学んだ特別な神官に
「パトリシア様……貴方の能力は無効化しました大人しくしてください」
神官の一人が私に意見してくる、巫山戯るな!お父様亡きいま教団のトップは私以外あり得ないというのに!
「古代の科学技術は封印します、新たな危機が現れた時の為に」
「アダシノの城から持ち帰った技術があれば、もっと上に人間はいけます!不老だって夢じゃないのよ?」
私の言葉に神官達が辛そうな顔をする。
「アダシノのやり方は間違っていました、しかし教祖のやり方全てが正しかった訳ではありません…」
神官の一人が棚の瓶詰めを指をさした、中には異形の退治が薬に漬けられていた。
「彼女らだけではありません……貴方を創り上げる為に何人ものアリシア様とパトリシア様が犠牲になったのですよ?もう辞めるべきです」
「だからこそです!払ったコストにリターンが見合ってません!私達はもっと上に!それがお父様のご意思にそうのでは無いのですか?」
この馬鹿共を説得しなければ今までの苦労が!
「少し頭を冷して下さい」
神官達が私を部屋に押し込んだ、牢獄ではないが聖女である私になんという事をするのです。
その後聖女パトリシアが表舞台に出ることは無かった、数年後聖女の名は彼女の娘フェリシアに受け継がれた。
フェリシアは幼いながらも母の代わりに聖女の役目を果たし、信者からも慕われ、教団は古の技術に頼る事無く人々を導いた。
俺は故郷の村にリンと共に戻ってきた、勇者は魔神と相討ちになったと村の人には話した。
そして、死んだカラの両親の墓の隣に彼奴の遺品を埋めた。
パトリシアの改造が死因とは言え、自分も無関係ではないせめてもの償いだった。
追放された薬師と女剣士 シノヤ @sinotuka
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