第11話決戦

私は勇者に魔神を任せ自分の使命を果たしに行く、魔人城中枢、そこにオートマータのコントロールルームもしくはそれに類する物がある。

ドローンにより位置をした、私は姿を消してそこを目指した。

これだ!、私は心の中で叫ぶ、他の部屋とは違う金属性の扉、拳に最大出力の魔力を篭め打ち込む。

一撃目で扉が僅かに凹む、警報が鳴るが私は構わず何度も拳を叩き込む。

やがて扉は壊れ人一人通れるスペースができた、私は中に入る。

勇者が魔人と交戦中の為かオートマータは来ない、私は急いで作業に取り掛かる。

部屋の中にはモニターとコンピューターがあった、神殿の地下に合ったものと多少違うようだが、使えそうだ。

私は呼吸を整え端末を操作する、全オートマータの無力化とアダシノの研究成果を持ち去るために、この日のために私は生まれた、今こそ使命を果たす時と自分を奮い立たせた。



女剣士は走っていた、世界を救うとう崇高な目的もなく、ただ一人の女として愛する男の元に辿り着く為に

『酷い有り様だな…』

私は驚く城内には無数のオートマータの残骸があった、光熱で溶かされたもの剣で切断されたものとにかく数が多かった。

やはり二人の力は人の範疇を超えている、パトリシアが作られた人間で有るという本当のようだな……そしてカラも何かされてる。

切断面が綺麗過ぎる私でも、いや真っ当な人間にはあんなふうに斬れない。

マーシャのくれた呪符の反応を頼りに城の中を進むと、二人の男が争う声が聞こえてきた。

私は通路を走り抜け、声のする大広間に飛び出す。

「――カラなのか?」

そこには傷だらけのマヒトと変わり果てた勇者の姿があった。

全身の皮膚はただれ、顔も真っ赤に染まり、額には血管が浮かんでいた。

「良いところに来たなリン!今から魔神をぶっ殺すからよ!!」

勇者の姿か……これが!?

「カラ!パトリシアに何かされたのか!」

「ああ?加護貰っただけだ!」

これが加護なわけない、カラは状況が解ってないようだ。

「リン逃げろ……」

「マヒト思い出したのか!」

私はマヒトの言葉に反応する、彼は逃げろと私の身を案じたのだ。

「カラはパトリシアに改造された!もう助からないリン逃げてくれ!」

「何をわけのわからねぇことを!今の俺は聖女の加護で絶好調だ!」

怪物と化した勇者は笑いながら聖剣を振るう、マヒトを守ろうと複数の機械人形が襲いかかるが。

「うぜぇ!」

聖剣の一振りでガラクタとかす。

機械人形達が再起動しようとした時異変が起きた、全ての機械人形が停止したのだ。

「はは、パトリシアはやったようだな!」

勇者が大声で笑う、全身が泥人形のように溶け出しているのに平然としている。

「カラもう辞めてくれ!機械人形は無力化し、マヒトは記憶を取り戻した!命まで取ることはないだろう!!」

「は?何をこの裏切り者が!」

勇者は私に殺意を向ける。

「記憶を取り戻そうがこいつは魔神だ!殺すぞ!裏切り者があ!!」

私はとっさに後ろに飛び聖剣を避けた、聖剣は床に激突し無数の亀裂を走らせた。

「それでも魔神其の物ではない筈だ、共に子供時代を過ごしただろう!」

私の呼びかけにカラは応えない、パトリシアに改造されたとマヒトは言ったが……

『斬るしかないのか?』

泥人形のように体が崩れていく、幼馴染みを見て思う、マヒトがもう助からないと言ったのはおそろく事実、マヒトを連れ自滅するまで逃げるか?

駄目だ、一撃でも食らったら死ぬ。

私は意を決して構える、自分の最速の剣技で首を落とす。

「散華!!」

私は一瞬で間合い詰め、勇者の首をすれ違いざまに切断する。

私は振り返り勇者の姿を確認する手応えはあった。

勇者を首は床に転がっている、だが可笑しい首から殆ど血が流れていない。

ピクリと切断面が動いた、次の瞬間には亀のように胴の中から新しい頭が飛び出す。 

新しい頭は最初から煮崩れた芋のようにどろどろだった。

「この売女が!」

勇者が怒鳴りつけ雷撃を放つ。

「あああー」

体に電流が流れ私は悲鳴を上げる、その場に倒れ身動きが取れなくなる。

「死ね!」

勇者が聖剣を振りかざす、だがその時勇者の体を背後から剣が貫いた。

「マヒト…てめぇ…」

「時間切れだ……パトリシアに嵌められたんだよ……」

マヒトがそう言うと一気に体が崩れだした。

「パ、パトリシア……」

勇者の体は呪詛を吐きながら崩壊し、跡には骨ものこらなかった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る