第6話新聞部に写真と謎の手紙が届く


 新聞部に着いて扉を開ける。電気もつけずにカーテンも閉めて真っ暗の部屋の中にただパソコンの前に座って黙々とキーボードを打つ手を止めない。


「あんたか、こんな記事を書いたのは」


 電気をつけて問い詰めるように掲示板に貼ってあったポスターを見せる。


「おや、これはついさっき私が掲示板に貼ったはずなのですが。なぜあなたがこれを」


「いいからこっちの質問に答えてくれ、この中二病全開姿の昔の俺の写真をどこで手に入れたそれに名前もどうして知っている」


「へーこれ昔のあなただったんですか、いやぁ写真写りも良くて中々自分でも面白い記事がかけた自信作」


 全力で机に手を叩き新聞部の部員は黙り込むと俺は少し笑みをみせてもう一度聞く。


「もう一度だけ聞くがこの写真はどこで手に入れた」


「いやぁどこで手に入れたかって言われても私にも分からなくて昨日の昼頃この部室に来た時に封筒の中にこの写真と手紙が一緒に入っていたんですよ」


「手紙?」


「はい、こちらに」


 俺は手渡された物を受け取るそれは昨日俺のもとに届いた手紙と同じ紙であり読むと俺が中二病時代の時に考えた名前やセリフなどが事細かく書かれていた。そして最後にこれは序の口無視せずに見つけだすようにと書かれていた。


「それであんたはこれが記事になると思ってポスターを作って掲示板に貼ったと」


「はい~中々面白くないですか」


 笑顔を浮かべながら答える新聞部の部員


「まぁいい、もし今度こんなのが届いたら俺に渡しにきてくれ、それと今度俺に黙って似たようなこんな記事を書いているのが分かったらまたここに来るからな」


「いやぁ手厳しいですね、ですが分かりました。けど一つだけ私からもお願いを聞く条件として聞きたい事があるのですがよろしいですか」


「まぁ、こっちもお願いしてる立場だから多少聞いてもいいけど」


 そして俺が新聞部から出る事になるのは昼休み前になり、その日学校が終わる頃学校中で俺の事が噂になり始める。


「それじゃ例の件は頼んだぞ亀野」


「はいはい、春日谷君も答えてくれてありがとうございました。また新しい記事を掲示板に貼るので楽しみにしててくだされ~」


「おーう、くれぐれも俺の事は内緒にしてくれ」


 新聞部を出た俺は疲れた様子で教室に向かう。


「お兄!?」


 教室に向かっている最中に鈴菜とばったり会って鈴菜は駆け寄ってきた。遅れて鈴菜の隣に駆け寄ってきたのは昨日鈴菜と友達になった叶瀬さんが一緒だった、もしかしたら二人で昼を食べに行くのだろう。


「お兄、何かあったのすっごく疲れているみたいだけど」


「大丈夫だ、けど二人には少し悪い事をしたかもしれない」


「お兄、お兄!!」


 俺はそのまま鈴菜に体を預けるように倒れた。


「ここは……?」


「あっ、お兄気が付いた?」


 起きたら目の前に鈴菜の顔があり目があうと鈴菜はほっとする声をあげた。


「悪いなすぐに起き上がるよ」


 起き上がると風が吹き、外の風景を見てここが屋上だと気付く。どうやら俺は鈴菜に屋上に連れてこられて鈴菜の膝で寝ていたようだ。


「そういえばさっき叶瀬さんの姿も見えた気がしたんだけど」


「月ちゃんなら、ついさっきお弁当を食べ終わったから先に教室に戻っていったよ。私はお兄が起きるまで食べれそうになかったから、まだ食べてないけど」


「そうか、それは悪い事をしたな。鈴菜ちょっと待ってろ」


 俺は屋上から急いで教室に戻ると、自分の弁当を持って屋上に急いで戻った。


「俺もまだ食べてないから一緒に食べようか」


 鈴菜は嬉しそうに笑みを浮かべて言う。


「うん、一緒に食べようお兄」


 鈴菜の隣に座って一緒に会話しながら弁当を食べ始める。聞くとどうやら鈴菜と叶瀬さんの二人が支えて俺を屋上まで連れてきたらしい。


「保健室まで行こうにも距離があったから、一番近いと思った屋上まで来たのか」


「そう、昨日お兄に教えてもらったから月ちゃんと話してせっかくだし屋上に行ってお弁当を食べようってなってその途中でお兄と会ったんだよ」


「鈴菜ありがとな、それにまた叶瀬さんにもお礼しないと。そうだ朝母さんが言ってたけど今度叶瀬さんを家に遊びに連れて来て欲しいってさ」


「え!? いいの」


「鈴菜のできた友達が凄く気になるらしい」


 母さんから聞いた事を鈴菜に伝えたら凄く嬉しそうな様子だ。


「そういえばお兄、さっき私と月ちゃんに悪い事したかもって言ってたけど何かあったの?」


「ああ、多分それは……今日の放課後にでも分かるよ」


 鈴菜は俺が言った事を疑問に思っているがそれ以上は何も言ってこなかった。そして鈴菜と一緒に弁当を食べ終わる頃ちょうど昼休みが終わりに近付いてきていた。


「それじゃ俺はこっちだから」


「うん、お兄さっきも言ったけど放課後は一緒に帰るつもりだから教室にいてね」


「分かってるよ~」


 俺と鈴菜は学年別なので階段で別れ、教室に入るとクラスメイト達が一斉に俺に視線を送ってきた。何かあったのかと思いながらもすぐに昼休みが終わるチャイムが鳴ってクラスメイト達は自分の席へと戻っていく。

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