第4話教室で拾った手紙を読む
鈴菜から聞かされ、どうやら鈴菜と叶瀬月は同じクラスメイトだったらしい。
「それにしても月ちゃん大丈夫。入学式の日にそんな目に遭うなんて、中々辛いよね」
「うん、平気だよ。ほら鈴菜ちゃんのお兄さんに守ってもらったから」
俺の後ろを歩きながら二人は一緒に話し込んでいる。
「あっ、お兄さん私の家ここです」
俺と鈴菜の住む家からそこまで遠くない場所に建っていた、家の前を通り過ぎようとした所で叶瀬月に声をかけられて止まる。
「まさかこんな近くに住んでいるとは、でもここって確か最近まで空き家だったような」
「はい、実は前までは隣町のマンションに家族一緒に住んでいたんですけど父の仕事場がこの付近なので私も通いやすいようにここに引っ越してきたんです」
「えーそうなんだ、それじゃ月ちゃん明日からさ同じ学校なんだし私達一緒に登校しようよ」
鈴菜は嬉しそうに叶瀬月の手を握って話す。
「鈴菜、いきなりそんな事言ったら困るだろ」
「えー」
猫のように鈴菜の制服の首根っこを優しく掴み叶瀬月から離す。そしたら鈴菜は不満気に顔を膨らませる本当に鈴菜は昔から何かと自分の思い通りにいかない時や不満気な時は顔を膨らませる仕草が変わらない。
「あのお兄さん私そんな困ってなくて、実は私も鈴菜ちゃんと一緒に登校したいなとは思っていて」
「ほらお兄、月ちゃんもこう言ってるよ」
ぷらんぷらんと鈴菜は制服の首根っこを俺に掴まれたまま体を揺らす、俺は掴んでいた手を離して鈴菜を立たせた。
「まぁそういうなら俺がそこまで口出す権利はないか」
「そうだよ、お兄は口出しする権利なんてないんだから、もうお兄はさっさとお家に帰ってて私は月ちゃんともう少しお話していくから」
「分かったからそんな押すなって、それじゃ鈴菜が迷惑かける事もあるかもしれないけど今後ともよろしく頼むよ。あと何かあったらすぐに俺に言ってくれ」
「はいこちらこそよろしくお願いします。それとお兄さん今日は本当に助けてくださってありがとうございました」
「俺はそんなお礼を言われるような事はしてないからいいって、んじゃ、鈴菜あんまり遅くなると今日の寿司全部食ってるかもしれないから気を付けろよ」
俺は鈴菜よりも先に家に帰る。
「ただいま~」
「おかえり、あら鈴菜はどうしたの」
「今日できた友達の家がこの家の近くだったからその子とまだ話してるよ。あんまり遅くならないようには言っておいたから、多分もうすぐしたら帰ってくると思うよ」
家に着いてリビングに入ると母さんが台所で洗い物をしていて、鈴菜がいない事に気付き聞いてきたので説明した。
「そう、もう少ししたらお父さんが注文したお寿司が届くから先にお風呂沸いてるから入ってきちゃいなさい」
「ういー、そういえばどこの寿司頼んだの」
「昔父さんと母さんがよく行ってた近所のお寿司屋さんよ、最近出前を始めたって聞いてねあんたも昔食べた事あるでしょ」
「あーあ、そういや小学校の頃何回か行ってた気がするような、あそこの寿司美味かったな」
「ほら、そんな所に突っ立ってないで早く」
「はい、はい」
母さんの言うことを聞いて先に風呂に入って気持ち良くなり、まだ寿司が届いてなかったので部屋に戻って鞄を開けて今日新しくもらった教科書を整理していると。
「ん、そういやこんなの拾ったんだったな」
教室を出る前に拾った俺宛の便箋を見つける中身は手紙だったが時間もなかったので結局中身はまだ見ていなかった。
「どうせまだ時間もあるし読んでみるか、今時ラブレターって訳じゃないよな」
便箋の中に入っていた綺麗に折り畳まれた紙を取り出し開けて読んでいく。
途中から手紙に書かれていた内容が俺の過去に関する事だと分かった。
「なんだこれ、いやそれよりも最後の文の見つけてほしいってこれを書いて俺に渡してきた奴をか」
手紙の内容を抜粋すると俺の過去に関する事が事細かく書かれていて、もし学校の先生と生徒や関わりのある人間にバラされたくなければ見つけ出して欲しいという事だった。
「いや落ち着け、こんなのは無視しておけばいいそれにバラされたってもう過去の事だし気にする事でもないだろ」
手紙を机の引き出しに入れて寿司が届いた事を母さんが知らせてきたので俺は部屋から出る。
ちょうど父さんと一緒に部屋に出るのが被って一緒にリビングに行くと鈴菜も帰ってきている事に気付いた。
「おぉぉ、美味そうじゃないか」
「ねね、早く食べようよ」
「そうね、それじゃあ今日は鈴菜の入学式と家に帰ってきた事を祝していただきましょう」
「いただきまーす」
家族一斉に箸を割り目の前に拡がる大量の寿司を食べ始める。結局俺はその日寿司をたらふく食った結果、そのまますぐに部屋のベッドで横になって寝てしまう。
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