第7話 誓いと共ににゃんこ族

 翌日、今日は政府高官に御主人様の日記帖を見せる日です。


「御主人様、日記帳を預かりにまいりました」


 御主人様の自室の前で声をかけるとドアを開けます。そこに居たのは学生服に腰にはサーベルを付けた御主人様の姿でした。


「今日は一緒に政府高官に会いに行く。そして、大学への復学の要請する」


 流石、御主人です。私の心はビリビリして歓喜の嵐です。


 そして、魔導列車に乗り首都エキスに向かいます。落ち着いた様子の御主人様に比べて、私の方が緊張してきました。大学への復学の要請です。事実上の軟禁からの解放です。


「君は緊張しているのかい?」

「はい……」


 私は金魚の様に口をパクパクさせて返事を返します。ここまで来たら何が何でも御主人様を軟禁から解放させます。


「僕は不思議なほどリラックスしている。下手をしたらその場で斬首かもしれないのに……」

「そんな事はさせません!私は御主人様が正しいと思うから命がけで守ります」

「頼もしいな、君は僕に勇気をくれた、だから現実と正面から向き合うことにしたのだ」


 そんな話をしていると、首都エキスに着きます。その後、馬車に乗り換えて官庁街に向かいます。


 つ、着いた。


 あのズラの政府高官との対面です。


 政府高官の執務室の前に来ると秘書官が扉を開けます。


「受付から君が来た事は聞いている。復学願いに来たのだろう?」

「はい、話は簡単です。大学を卒業したら官僚になろうと思います」

「皇帝ではなく、官僚に成りたいとな……」

「この国に必要なのは軍事政権ではなく、国を支える民です」


 ズラの政府高官は手をあごに持っていき。何か考えている様子です。この政府高官は本当に偉い人で事実上内閣を仕切っています。


「その覚悟、本物と見た、一般試験からはい上がって来い」

「ありがとうございます」


 良かった、斬首にも成らずに軟禁を解いてくれた。


 私は三毛猫の姿に成り、御主人様の胸に飛び込みます。


「こらこら、今日はささやかな祝賀パーティーをひらこうと思う、その為に働いてくれないか?」


 私は人の姿になると最高の笑顔を返します。


 しかし、執務室から出て階段を下りている時の事です。その男は突然現れました。


「俺は軍幹部だ、軟禁が解かれてそうだな」


 嫌な予感がします。


「君は私の手で皇帝になるべきだ」


 これはクーデターの誘いです!!!


 すると、御主人様はサーベルを抜刀すると。軍幹部に突き付けます。


「僕の考え方は民が支える国家だ、力による支配など求めていない」


 サーベルを突き付けられた軍幹部は脅えた様子で逃げ出します。


「御主人様、本当に良かったのですか?上手くいけば皇帝に成れたかもしれないのに……」

「この国は、今、ひへいしている。必要なのは動乱ではなく、安定だ」


 流石、御主人様です。


 しかし、私は旅人です、路銀が溜まればお別れです。私は旅人に戻るか迷い始めていました。帰りの魔導列車の中でそんな事をぼんやりと考えていました。


 それから半年後。


 私は行先を決めず、魔導列車に乗っていました。そう、旅人として世界中を旅していました。


『次の駅は古都サンディン、サンディン』


 列車内にアナウンスが流れます。私は一週間の有給を取って旅人をしていました。


 それは有意義な旅であった。


 私の決断は御主人様にご奉仕する事でした。


 旅から戻ってお屋敷に着くとメイド部長さんからお風呂に入るように言われます。


 お風呂で体を洗っていると。


「やあやあ、メイル君奇遇だね」


 ラメさんがお風呂に入ってきます。このガチ百合が!!!


 私はラメさんを追い出すと湯舟に浸かりまったりします。


 さて、お仕事の時間です。今の時間、御主人様は大学でお勉強です。御主人様の部屋に入るとお掃除開始となります。


 ふと、飾ってある写真たてを見ると御主人様とのツーショット写真があります。ホントにもう恥ずかしい写真を飾って……。


 私はこれからも御主人様にご奉仕を誓うのでした。

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ご奉仕、ご奉仕・にゃんこ族のメイド 霜花 桔梗 @myosotis2

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