断章 ある邪神の脱獄(強制)

 えーーっと

どこまで語ったでしょうか。


 そうそう、私がて、大虐殺をしてしまったというところですね。


 一応、弁明しておくとですね。狙ってあの現象を引き起こした、ということではないのです。私の権能ちからはあくまで願いに応えるというものでしかないのです。

なのでまぁ多分、願った方々の中に、地質学者だとか、気象関連のお仕事の方であるとか軍人さんとかそんな方々がきっと大勢いらっしゃったのでしょう。皆さん優秀な方々だったようで、危機感をしっかり持っていたのですね。


 邪神、女神テラフィナとはこの一件で生まれた、私のもう一つの顔の名前です。神とは二面性を持つものです。

 暖かな太陽だって恵みの雨だって日照りや水害を引き起こすように。二面性を持ってこそ神としてみたいなこと、あると思いませんか?


 さすがの私も事態の深刻さは理解していましたよ。なにせ邪神テラフィナのほうに凄まじい信仰畏怖が捧げられ続けましたから。

 うっかり顕現してしまったのが不味かったみたいです。無事な国々のテレビとかネットなんかに私の姿とか惨状とか色々流れまくってましたからね。

 そのままだと邪神が私から分離して勝手に権能ちからをふるいかねませんでした。


 それで慌てて封牢の用意を他の神々に頼み込んで、自分から引きこもったわけですね。

引き留めてくれる友神もいたのですが、人を守る為に邪神は封じねばなりませんでしたから。


 とりあえずはこんなところでしょうか?

あらためてとんでもないことをしてしまったものです。

それでもまぁ、あとはのんびりと消えるまで過ごし……


◇ ◇ ◇


ナニかとんでもない事態が起こっています!

だって、今まさに私のいる封牢が外側から圧されているようにバキバキと音を立てているんです!


「ちょちょちょ…ちょっと!封牢!封牢ってなにがあっても壊れないんじゃないんですかぁ!?音!音がヤバい!あぁ!ひびまで!?」


どんどんと亀裂が入っていく封牢、ナニか強烈なエネルギーの奔流に曝されているように

どんどんと広がる亀裂に焦りまくりです!


「タタタタ、タナトぉお!封牢がっ!壊れっちゃっっっ! !!あっ」


友神の名を叫んだところで時既に遅く…

ぱりんっ

というなんだか呆気ない音がして封牢に穴があきました。


「あっちょっ、吸われ…!」


強烈な浮遊感と共に私は封牢から吸い出されるようにポーンっと飛び出し、謎の奔流に巻き込まれてしまいました。


「待ってええ!封牢からでたらマズイのぉお!人が!世界が!ヤバいのよぉお!」


 そんな嘆きもむなしく、奔流は私をどこかに連れ去っていくのでした。

 これから私、どうなってしまうんでしょうか?



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

断章 女神はかく語りき

断章 ある邪神の脱獄(強制)


は、元は一章開始前にあったお話ですが、

色々考えた結果、この位置になりました。 

多分、読み進めるには問題ないかとは思いますが、わかりにくくなった、と思われたらコメントいただけると有り難いです。



 


 

 

 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る