第8話:ある庭でのお茶会
『それにしても……相変わらずノヴァに似ているわね。セラスちゃんは。』
そう目の前で微笑んでいる女性は綺麗な漆黒の髪にアメジストを嵌めたような綺麗な瞳を持っている。彼女の発言を聞いて母は嬉しそうに……。
『まぁ……ジュネルー様に言われるなんて嬉しい限りですわ♪ねぇ……セスちゃん』
『ふふ……ノヴァ相変わらず子供達が好きね』
『それは当たり前ではありませんか』
そう母が話す相手はこのガルトロス王国王妃。ジュネルー・エレ・アルミ・ガリエル。此処は王宮の
此処に来れる貴族は限られているが代々王妃と公爵、侯爵夫人が
社交界では、王妃を含めぬ4つの派閥が存在し、黄薔薇、赤薔薇、青薔薇、紫薔薇という名である。やはり、この国にも貴族派と王族派が存在する。公爵、侯爵達はさほど敵対もしていないが、その下の伯爵達がうるさいのだ。ルトランド家は王族派だ。革命派である王族派は現国王になってから、さらに革命的な事を行っている。その為、保守派の伯爵家達がとても反発的である。
そんな中にいる母は学園時代で派閥に入っていなかった学生の1人だった。母の今の立ち位置は嫁入りしただけで中立派ということになっている。
そんな母とどうして、私が此処にいるのかと言うと、第3王子の婚約者の話だろう。それしかない。と、私は思う。
『ねぇ……セラス嬢、フォルスはどうだった?』
そんな王妃の声色には不安が感じ取られた。一つだけ言うと、現王妃にあらせられるジュネルー様はとても寛容的な常識人だ。そこだけは誤っても天然とか、変人と思ってはいけない。
『第3王子は、婚約に乗り気ではありませんでした。なので、難しいと思います。』
そんなことを私が言うと、王妃は困った顔をした。そして……。
『それなら……婚約は無理ということになることよね。貴方なら、ヤンチャなフォルスを何とかしてくれると思ったのだけどね……』
『……。』
そんな感じで、お茶会は終わった。もし、第3王子と婚約関係になっても、王妃は同情くらいはしてくれると思った。
天才様には気をつけて♪ Hign @Hign
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