雑談記録

一透たちの日常会話をメモしただけのものですが、せっかく書いたので置いておきます。

どれが誰のセリフか分からなそうであれば名前書いて台本形式にします。


__________



「九十九くん」

「ん」

「…………」

「……なんだ」

「……九十九くんも、胸は大きい方がいい?」

「俺に女性の胸の如何が分かると思うか」

「だって、見てたから」

「ああ、まあ……ほら」

「……シール?」

「気づかないんだろうかと思って」

「Lだね」

「Lだな」




「九十九くん」

「ん」

「見て」

「……消しゴム」

「もげちゃった」

「そうか」

「一回もげると、そこからどんどん削れちゃうよね」

「わからんでもない」

「そういう時は、欠けた部分を切り落とします」

「…………」

「九十九くん、あげる」

「いらん」




「九十九くん」

「ん」

「九十九くんは、普段どんな曲を聴くの?」

「聴かない」

「私も」

「…………」

「この間、真咲ちゃんにおすすめしてもらったのがあるんだけどね」

「ん」

「ちょっと聞いてみて」

「……いい」

「大丈夫。イヤホン汚くないよ」

「……俺が汚いから、いい」

「汚くないよ」

「……ベタ耳だから」

「べたみみ?」

「耳垢が湿ってるタイプ」

「どういうこと?」

「調べてみろ」

「……湿性耳垢? そういうのがあるんだ」

「汚すと悪い」

「そっか」

「……なんで綿棒なんて持ってるんだ」

「いいから」

「何をする気だ」

「いいから」

「くるな」

「いいから」




「九十九くん」

「ん」

「犬だよ」

「ああ」

「大型犬だね」

「ああ」

「こっち来たね」

「凄い嗅がれるんだが」

「すみません!」

「いえ、大丈夫ですよ」

「俺の台詞」

「かわいいね、九十九くん」

「制服の裾食べられてるんだが」

「すみません! あの、クリーニング代を……」

「大丈夫ですよ」

「だから俺の台詞」




「九十九くんと一緒にSNSを始めてみたはいいけど、呟くことがない」

『あ』

「九十九くんなんてこれ以降更新がない」

「そうだ、いいことを思いついた」

『九十九くん、晩ごはんなに?』

「これで私も九十九くんも呟ける」

『生姜焼き』

『まだある?』

『ある』

『写真みせて』

『生姜焼き.png』

『美味しそう』

「…………」

「しまった。いいねを押されて会話が止まってしまった」

『九十九くん』

『ん』

『何時に寝る?』

『日付が変わる頃には』

『合わせるから、一緒に寝よ』

『一人で寝ろ』

『待ってるから』

『寝ろ』

『待ってるから』


「それで遅刻したの?」

「うん。なんで結季ちゃんが知ってるの?」

「一透ちゃん、あれ、皆に見えちゃうから個人的な会話はDMでやろうね……?」

「迂闊」




「九十九くん」

「ん」

「怖い話して」

「……この間、休日に商店街の本屋に行ったんだが」

「うん」

「ずっと視線を感じてた」

「えっ」

「その後も、誰かが跡をつけてる気配がして」

「大丈夫? 相手の姿は見た?」

「少しだけ」

「どんな人だった?」

「肩くらいまでの黒い髪をしたパーカーの女」

「そっか……私は見なかったや」

「だろうな」

「怖いね……」

「もう慣れた」

「…………」

「…………」

「……もしかして、私?」




「九十九くん」

「ん」

「指相撲しよ」

「遠慮しとく」

「はい、はじめるよ」

「いい」

「いち、に……九十九くん、抵抗して」

「俺の負けでいい」

「九十九くん、手乾燥してるね」

「…………」

「まってね、ハンドクリームあるから」

「いらない」

「しっかり塗り込んでいこうね」

「いらない」


「お前ら何してんだ?」

「あっ、真咲ちゃん。今、九十九くんにハンドクリーム塗ってて」

(また無理やりやってんだろうな……)

「…………」(←もう好きにしてくれの顔)




「クレープなんて初めて食べるよ」

「そうなのか?」

「それなら誘ってよかったよ。美味しい? 一透ちゃん」

「もいひい」

「リスみてえに頬張らんでも」

「一透ちゃん、ほっぺにクリームついてるよ」

「どこ?」

「もっと右の方……ああもう、仕方ねえな」

「あっ、いいな。真咲ちゃんに拭いてもらえて」

「……ティッシュ捨ててくるね」

「あっ、逃げちゃった」

「んはは。女同士で照れなくてもいいのにな……あいつ食べかけのクレープの方捨ててる!」

「動揺しすぎだよ!」




「焼き芋ってずりいよな」

「どうしたの? 急に」

「丁度そこにあるね」

「いや、あの声聞くだけで匂いとか味とか思い出しちゃって腹減らねえ?」

「うん。わたしもちょっと食べたくなってきちゃった」

「買ってこようか?」

「やめろ一透。夕飯入らなくなる」

「匂いで言えば、眠くなる匂いもあるね。わたし、干したての布団の匂いに弱いんだ」

「あれに勝てる人間いねえよな。一透は? そういうのあるか?」

「九十九くんの匂いとか?」

「なんで知っ……ああ、体育んとき借りたジャージとか嗅いでたな」

「わたし、ときどき一透ちゃんが怖い時があるよ……」




「聞いてよ人見さん!」

「どうしたの相沢さん」

「ニノマエが挨拶返した!」

「えっ」

「今日さ、おっはよー! って元気よく教室入ったら丁度目の前にニノマエがいてさ」

「うん」

「ぎゅっ、って顔しかめたから、うるさいって文句言われると思ったら、おはようって。ぼそっと」

(いいな)

「ぞわっとした……」

「えっ」

「普段ロクに口効かないやつが急に返事するとなんか不気味だよね……」

(九十九くん……)


「九十九くん、おはよう」

「ん」

「おはよう」

「? ……ああ」

「おはようね」

「…………」

「九十九くん、おはようは?」

「……?」

「おはようは?」

「……おはよう」

「うん。おはよう」

「なんなんだ」




「九十九くん」

「ん」

「この間美容院に行ったら髪を染めてみないか勧められたんだけど」

「…………」

「九十九くんは何色が好き?」

「……黒」

「黒以外で」

「……濡羽色」

「それも黒だよね?」

「……相済茶」

「あいすみちゃ?」

「ん」


「黒だった」




「九十九くん」

「ん」

「昨日ね、夢にちっちゃい九十九くんが出たよ」

「……ちっちゃい?」

「うん。手乗りサイズ」

「そうか」

「肩に乗せて歩いてたんだけどね」

「……」

「うっかり落としちゃって」

「…………」

「ゾワッてしたよ。キャッチできてよかった」

「……」

「また出てきてね」

「……落とさないなら」


「今度は大っきくなった……」

「お前の頭はどうなってる」




「九十九くん」

「ん」

「付喪神ってあるでしょ?」

「……ああ」

「あれの〝つくも〟って、九十九って表記もあるんだって」

「……」

「……」パンッパン

「…………」

「数学の点数が上がりますように」

「……何が分からない」

「確率。どの問題の時にどの数式を使えばいいか分からなくて」

「今度教える」

「やった」




「九十九くん」

「ん」

「かわいい?」

「……ああ」


「九十九くん」

「ん」

「かわいい?」

「……ああ」


「九十九くん」

「…………」

「かわいい?」

「……なんだそれ」

「九十九くん、ポニーテールでもハーフアップでもなんでもかわいいって言うから。思いっきり変なのにしてって真咲ちゃんに頼んだの」

「……舵輪?」

「……船の?」

「…………」

「…………」

「……ほどいてくる」




「九十九くん、知ってる?」

「ああ」

「……九十九くん?」

「…………悪い。何だ」

「九十九くんもそういう意地悪するんだね」

「…………で、何だ」

「忘れちゃった」

「……………………」

「九十九くん、私なんの話しようとしてたんだと思う?」

「知らん」




「…………」

「…………」

「……いる?」

「……これ」

「飴。一透ちゃんがくれたの」

「俺が一透にあげたやつ」

「……………………」

「そんな目で見るほどか」

「ニノマエくん、全部あげる」

「飴に罪はないだろ」




『もしどんな犯罪も許されるなら、ハジメなら何をする?』

『何も』

『何も?』

『法もそうではあるが、それ以前に自分の良心に基づいて行動してるからな』

『ハジメらしいね』

『お前は?』

『不法侵入かな。隠されると行きたくなる場所ない? STAFF ONLYの扉の奥とか』

『……面白みもないだろ』

『でも行ってみたいのさ。その結果、がっかりするとしてもね』

『そうか』

『……今日、人見さんこないね』

『代わりに、机の中にこれがあった』

『スマホ? ……もしかしてそれ、録音……』

『あいつには、聞くまでもないな』

『慣れきってるハジメも怖いんだけど』


「ばれてた」




「はぁ……」

「溜め息多いね、九十九くん」

「悪い」

「ううん。私はいいんだけど……やっぱり嫌だった?」

「いや、問題ない」

「そっか。私、九十九くんと来たかったんだ。カラオケ」

「……はぁ」

「はい、マイク」

「……俺からなのか」

「うん。頑張って」

「はぁ……」


『ごめんね 上手に言葉にできなくて』

「…………」

『ありがとうも

 ごめんなさいも

 胸の中には溢れるほどあるのに』

「…………」

『喉につかえて出なくて 情けないな』

「…………」

『視線に乗って君に 届かないかな』

「…………」

『この熱が君に 伝わらないかな』

「…………」


「ふぅ……」

「……九十九くん、ずるいからね」

「なにが」

「選曲」

「……」

「ずるいからね」

「……お前の番だぞ」


『大根植えたら芽が出たよ

 もうすぐかなあ

 きっとまだだよね』

(なんだこの曲……)




「九十九くん」

「ん」

「九十九くんって、効率重視なタイプだよね」

「……まあ」

「その子の技こっちにして」

「……この敵にはあまり効かないが」

「いいの。演出が見たいから」

「……」

「おぉ〜。九十九くん、次のボスこの技で倒して」

「無茶言うな」


「やった。倒せたね」

「もうしない」

「九十九くん、次のボスで使う技はね」

「もうしない」




「九十九くんが……」

「っ」

「…………」

「……一透?」

「……んぅ」

「……寝てる、な」

「九十九くんが……」

「……なんだ」

「撫でてくれない……」

「……………………」

「……………………」


「なんか、すごく幸せな夢を見た気がする」

「…………身体は」

「いたい」

「床で寝るから」




「九十九くん」

「ん」

「今日、泊まっていい?」

「よくない」

「お金出すから」

「いらん」

「ご飯も作るから」

「必要ない」

「お風呂も一緒にはいろ」

「入らない」

「水着、家から持ってくるから」

「必要ない」

「……こんな寂しいエンディングになるとは、思わなくて」

「……悪い」

「九十九くんのせいじゃないよ。この映画借りてきたの、私だから」

「……」

「……だめ?」

「……夜」

「……?」

「電話、するから」

「……うん。まってる」


『九十九くん、寝た?』

「起きてる」

『よかった。それで、次に借りてくる映画だけど』

「ビターエンドはもういい」

『うん。ハッピーエンドのにしようね』

「ん……」

『……寝た?』

「おきてる」




「触った」

「触ってない」

「触った」

「触ってない」

「絶対触った」

「触ってない」

「一透ちゃんどうしたの? ニノマエくんに触られたの? わたしが怒ろうか?」

「あっ、結季ちゃん。ちがうの。ものもらいが悪化しちゃうよって言ってるのに九十九くんが触っちゃうの」

「…………」

「触ってない」

「触った……我慢出来ないなら、私がずっと手握っちゃうからね」

「…………」

「九十九くん、今、わざと触った?」

「触った」

「んふふ……じゃあ、仕方ないね」

「一透ちゃん、わたしは?」

「結季ちゃんには左手あげるね」

「ふふん!」

「なんのドヤ顔だ」




「おい」

「! 九十九くん、どうしたの?」

「ペン、落とした」

「わお、これはうっかり」

「…………」

「ありがとうね、九十九くん」

「……わざとか?」

「えっ」

「…………」

「……ごめんなさい」

「……普通に話しかけてくれればいい」

「! うん」


「九十九くん」

「ん」

「あのね、昨日テレビでね――――」



__________



蛇足的おまけは、このおまけのおまけで一旦終わりになります。ふと思いついたら足すかもしれません。


おまけまでお付き合いいただきありがとうございました。


舟渡あさひ

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私の隣は、心が見えない男の子 舟渡あさひ @funado_sunshine

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