第8話(最終)

 かりんちゃんと、やしとちゃんは、同時にそれに気づきました。

 かりんちゃんは、つな引きで負けそうになっていた時に、真上を飛んで応援してくれたのとそっくりな蝶が止まっていて、なんだか嬉しくなりました。

 やしとちゃんは、お遊戯の最後の決めのポーズの時に帽子に止まってくれたのとそっくりな蝶が居て、なんだか楽しくなりました。


 そんなことを思いながら見ていた2人の目に、きれいな花が入ってきました。

「やしとちゃん、そこの雑草をよーく見て。蝶が止まっている雑草だけど、いくつも咲いている花がとてもきれいね。」

「ほんとだ、きれい。雑草と呼んでるけど、花壇のような花を咲かせてる。雑草と呼んではかわいそうなくらい。」

「そうね。こんど、ほんとの名前を調べてみようね。」


 そんなやりとりをしている2人に、ワンさんが、ここぞとばかりにじゃれついてくれたこともあって、草むしりのことは、どうでもよくなったようです。

「すぐに助けてくれて有難う!」


 次の日からは、ワンさんが、引っ張ったり引っ張られたりして散歩するくらいの頃に、おうちの2人が代わりばんこに、わたしにもお水をかけてくれるようになりました。


・・・・・・・・・・


 そろそろ季節が変わるので、しばらくの間、わたしは眠りにつくことにします。

 あれから、名前を調べて呼んでくれるのを心待ちにしていましたが、かりんちゃんも、やしとちゃんも、毎日いそがしくてそのことを忘れてしまったようです。

 それが少し心残りですが…、果報は寝て待てって言いますしね。


「来年こそは、ほんとの名前で呼んでもらおうっと」

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わたしの名前を知っていますか? 一粒 野麦 @Hitotubunomugi

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