第7話
わたしは逃げたくても動けないので、絶体絶命の大ピンチです。
すると、その提案をたまたま一緒に聞いていたワンさんがあわてて、遠ぼえのように、「ワオワオーン、雑草さんに一大事が起こったぞ!助けに来てくれー」と、みなに大きな声で知らせてくれました。
パタさんは小学校の花壇に居ました。
運動会に合わせて咲き乱れている草花の間を飛びながら楽しんでいたら、ワンさんの大きな声が聞こえてきたのです。
何かとても大変なことが起きたようなので、雑草さんをすぐに助けに行きたいのですが、飛んでいくと時間がかかると思い、ピュウさんに頼みました。
「ピュウさん、お休みのところすみません。
雑草さんに一大事が起こっているようなのですが、風に乗せて連れていってはもらえませんか?」
「はい、ちょっと一休みしていたんですが、ワンさんのあわてた大きな声が聞こえたので、おどろいて起きました。
もちろんOK。お安い御用です。」
実はこの時、ピュウさんは、昔、同じような頼みを受けたことがあるのを思い出していました。雑草さんのお母さんからでした。
「ピュウさん、お願いがあります。
ようやく実ったこのタネを、お庭ではなくて、おうちの塀の外側の、道に面したすき間に落としてもらえませんか?」
「もちろんOK。でも、お庭の方が広いし、おしっこや、車がはねた泥水をかけられたりしないから、過ごしやすくはないのかな?」
「有難うございます。おっしゃる通りなのですが…、お庭だと、雑草は草むしりされてしまうことが多いので危ないのです。
すき間で咲く方が、きっとこのタネにとっては幸せなはずです。」
そんな頼みを受けたことがあったのです。
ピュウさんとしては、その時は、ほんのちょっとの移動だけだし、すき間に落ちるようにもしなければならないと、やわらかく口笛を吹くようなつもりで、ふっと吹いて、見事にタネを願い通りに落としたのですが、
今回は息を深く吸いこんで、これでもかとばかりに思い切り吹いて、風を起こしました。
その風に乗って、あっという間におうちに着いたパタさんが、ひらひらと舞いながら、わたしに話しかけてくれました。
「何が起こったんですか?ピュウさんに助けてもらって、大急ぎで来ました。」
「あっ、パタさん。早速来てくれたのですね。有難うございます。
実は、おうちの子供たちが、わたしたち雑草を引き抜こうとしているんです。」
それは一大事と、パタさんが一計を案じて、わたしのところに舞い降りてくれました。
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