シュレディンガーの犬

小学一年生の「黛　結衣」とその飼犬のホワイトトイプードル「リルル」は肝胆相照らす仲である。固形物や水分などの食事を必要としないリルルは、通常の犬のようにパンティングや排泄、排尿を行わない良犬だ。そんなある日、黛家に新たにピンク色の毛色をしたトイプードル「はいり」が現れる。ゴミ捨て場から拾われたぬいぐるみのはいりに対しリルルは、自身の成り代わりになり得るため常日頃から牙を向けていた。はいりにも普通のぬいぐるみと違う秘密があった。ある晩、リルルがはいりを乱雑に扱っていると、はいりは「はなせ」と口にして二本足で立ち上がった。彼女は喋るぬいぐるみ。リルルが何度もごみ収集所へ捨てに行っても、家を見つけて必ず帰ってくるのである。結衣のお気に入りのぬいぐるみを傷付けたことと、リルルをペットショップに頻繁に…続きを読む