第4話 グループトーク

「ねぇ君、お昼一緒に食べない?」

(脳内でこだまするパワーワード)


振り返る俺。


そこにいたのは、まごうことなき






男子だった。


「い、い、いい、いいよ、食べようじゃないか、ハハ、望むところだよ」

強がるあまり、わけの分からない発言をしてしまったようだ。


「そんなに強ばらなくても、僕にはそっちの趣味はないから、安心してよ」


(こっちのセリフじゃボケェ〜)




「おばちゃん、鶏そぼろ丼ひとつ」

「僕は焼き肉定食をいただこうかな」


席に着くふたり。

(隣同士ではないからご安心を)


「君は何で勇空大学を選んだんだい?」

「君、君って、俺はくろる、アナタのお名前は何て言うの?」

ぎこちない問いかけをしてしまった。

この歳になって改めて自己紹介する難しさを知る。


「確かに、お互い名前も名乗ってなかったね。 僕は、むろく! よろしくね」


「おう、よろしく! 俺が勇空に入学したのは、正直流れるままと言うか…。 高校卒業するって言うのに、進学したい! 就職したい! あれやってみたい、これやってみたい! ってのがなくて…。 とりあえず大学にって言う半端な気持ちで入学したんだよな…。 むろくは?」


「僕も似たようなもんさ…。(含みがある言い方をしている) 僕は単身、勇空市に来てて、友達はおろか、知ってる人も誰もいなくて…。 くろるとは気が合いそうだなと思って、声を掛けてみたんだ。 今度、観光学の授業で勇空商店街のイベント案をグループで考えて、立案するだろ 良かったら同じグループにならないか?」


「なんそれ!」

俺がろくすっぽ聞いてなかったのか、いあ全くの初耳だと思う…。

「でも楽しそうかも! まだあまりよく知らない街だし、これから4年も通うんだもんな、それにむろくは勇空に住むわけだから、俺達で勇空市の良い所を余す所なく見つけようぜ!」


「そうだな! くろる、とりあえず連絡先交換しようか。 僕の携帯番号と、SENのアカウントも交換しよう。」

「オッケー!」


こうして、俺に大学で初めて友人が出来たのであった。






「え〜本日は先週お話した通りに、各グループに分かれ、勇空市の集客をあげる為に、勇空商店街と我が校がタイアップし地域活性化のイベントの立案を行っていきたいとおもいます。 目標は9月にイベント開催する流れにしたい為、本日はグループ分けし顔合わせ、各グループの方向性を決め、夏休みを活用し企画の作成をしていきましょう。」


「では、勇空商店街会長ひしんさんよりご挨拶を賜りたいと思います。」


「みなさんこんにちは、この度はこのような素晴らしい取り組みに参加出来る事を、勇空商店街として大変ありがたいです。 昔のような活気ある商店街、みんなが家族のような付き合いが出来る商店街として他県、全国に誇れる素晴らしい街にしたいと思っております。 昨今では過疎化も進み、商店街も高齢化が進み、斬新な意見もない中で、みなさんのような新しい視点で街の活性化が図れる事に多いに期待しています。 宜しくお願い致します。」


「むろく、何かすげぇビックプロジェクト感があるな」(こそこそ話)

「あぁ、そうだな」


「それでは、各グループに分かれてください。 分け方もお任せしますが、最低4名〜となるように」


「むろく、あてはあるのか?」

「あるわけないだろ! 当たって砕けろだろ」

「粉々にならない事を祈るわ」




そうして集まったメンバーは4名

私、くろる

そして、むろく


残り2名は…

ユウナ

珠子


それが珠子との初めての出会いだった。

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アモルストーリー にゃんたろ @Nyantaro2605

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