いつか未来で
『あれれぇ。ちっとも起きないわねぇ』
草原で寝ている若者は、目を覚まさない。
『うぅ~ん。こうなったら、誰か呼んでくるか』
何度か、若者を目覚めさせようと、
異世界を希望する魂を見つけては 入れることを試みた。
しかし、身体は拒否反応を起こすばかりで、誰の魂も受け入れない。
『仕方ないなぁ。待つか!』
いつか、彼が、この若者の身体の 本来の魂が、
また 冒険を願い出たときは、
『わたしが迎えに行くんだから!』
そう決めると、
声の主は、若者の身体を
若者の身体が朽ちてしまわないように。
いつか その時が来るまで、
そこに あるように。
羽の生えた少女が時折様子を見に来ては、小さく何かを告げていく。
大丈夫。
あなたには、幸運が約束されている。
怠惰な身体を 鍛え直したら、
今度こそ わたしに 微笑んで。
女神さまのミステイク。
身体だけ先に異世界に放り込まれた若者は、
次こそ 冒険が待っている。
え?!
では、彼のあの怠惰な身体は 誰かって?!
それは、彼自身の未来だよ。
冒険を夢見ながら
冒険を諦めた彼が進んだ未来の……
彼の夢は、こちらで預かっておくから。
またね。
あるいは幸運なミステイク 結音(Yuine) @midsummer-violet
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