Day21 飾り
今日の
「今日は髄分とご機嫌だな」
わたしにも教えておくれ。声を掛けると、待ってましたと言い出しそうな賑やかな表情で机上に身を乗り出した。吐く息が感じられる距離、耳元へ弾む声が囁く。
「わかるかい? 実はようやく完成したんだ、黒鬼。ようやくだよ」
何が、と聞き返すよりも素早く身を離し、
「……とても、よく似合っているよ」
曇りひとつない鏡面には、身体がないこと以外は記憶の中と寸分違わぬ浅黒い自分と、いつか
宝飾品で身を飾ったことなど一度もない頭上へ抱くには些か分不相応な気が、わたしの困惑をよそに、
「欧州のティアラという宝冠を参考に、私が図案を選んで作らせたんだ。この間見せた金剛石も全部、使ってある」
微笑んでこちらを見守る
「このティアラ、どうして地金が金じゃないんだい?
あの忌々しい
「黒鬼は嫌いだろう? だから無理を言ってプラチナにしたんだ。懐中時計以外で使ったことなんかないと怒られたよ」
最終的には石が峰の名で押し切ったけれどねと澄んだ笑い声を上げた。
「……知っていたのか」
「勿論。君は自分が思う以上にわかりやすいよ、黒鬼。……まぁ、僕らはその
名前の後、消え入るような言葉はあまり聞こえなかったが、それにしてもしてやったりの顔が憎たらしい。仕返しのつもりでわたしの肖像画は、とたずねてみると、
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます