Day3 だんまり

 魔法のように食卓へ並んだ食事は黒鬼の予想に反し、量も質も普通の範囲を超えなかった。薄紙に包まれたものや紙製のカップはむしろ上質とは程遠く感じられる。暴食の悪魔と感じたばかりでこれは、拍子抜けでもあった。まぁ食事を見ることなどいつぶりか、黒鬼は疑問をそのまま口にする。

「意外だな、あまり上等の食事には見えない」

 遭は食べ物へ注いでいた視線を一瞬黒鬼へ向けたものの、すぐに手元へと落とす。救世主と呼んだ時とは違い、怒りや不快さなどは感じられない。あるのはただ、

「……邪魔するなってことか」

 口を開く間も惜しい、遭は右手で器用にてりやきハンバーガーの紙包を開け、出来るだけ大きな口でかぶりついた。食べ物の上等下等など知ったことではない。私が食べたいかどうかだ、満足げな顔は言葉なく雄弁に語る。

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