Day2 食事
それじゃあ、遭は黒鬼へ向かい合うようにして席につき、まずは食事にしましょう、そう発してから柳眉を顰めた。
「あなた、まだ食べられる? 見たところ色々足りないようだけど」
昔話では初代当主の左腕を食べたらしいがその時にもまさか、この姿だったのだろうか。訝しげな遭とは裏腹に黒鬼は愉悦を声へ滲ませ、
「君が手助けしてくれるのなら食べられる。面倒なら君だけで構わないよ」
食卓にいるのはテーブルクロスが好きだからだ。薄く唇を釣り上げる顔はやはり異国の血を感じさせるものの、どこにも角は見当たらない。そもそも、もっと重要であるはずの身体すら見当たらないのであまり大きな問題でもない気がしてくる。
「じゃあ、食事の介助をしたことはないから私だけ失礼するわ。お腹が空いて、このままだとあなたに齧りつきそう」
スカートのポケットからスマホを取り出しどこかへ連絡する遭の瞳はどこまでも澄み、冗談の色は見えない。そして黒鬼もその言葉が冗談ではないことを知っていた。
石が峰
悪魔と呼ばれていた自分よりも余程それらしい、黒鬼は昔を思い出しつつ、運ばれてきた食事へ向き合う遭を見つめた。
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