ハロウィン

ナナシリア

ハロウィン

 ハロウィンといえば渋谷。俺にはそんなイメージがあった。


 しかし、今年の渋谷は過去にない盛り下がりを見せていた。


 どうやら今年は渋谷での大規模な集まりは規制され、厳戒態勢が敷かれているとのことだ。


 下手なトラブルが起きることがなくなった一方で、どこか寂しさと素っ気なさを感じる気持ちもあった。


 多くの人々を、いい意味でも悪い意味でも熱狂させ、感情を大きく動かしたあのイベントが、今年はない。


「べつに、行くわけじゃないけど」


 一人寂しくつぶやく。


 ハロウィンといえども、小学生じゃないのだから大した盛り上がりもなく、同級生の中で静かに一日は過ぎていった。


 日常か、イベントか。そんな区別は、現代を生きる日本人にはできなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ハロウィン ナナシリア @nanasi20090127

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ