第4話
六日目
その日の西村はそわそわしていた。楽な仕事だと思っていたが、なんだか気味が悪い。気にしないようにと考えていたが、どうも昨日の文章が気になって仕方ない。我慢できなくなった西村は例のファイルをおそるおそる開いた。
7月15日 今度は煙草を吸い始めた。 いい加減にしろ。
文章を読んで西村の顔はますます青くなった。昨日確かに煙草を吸った。これは俺に対するメッセージだったのか?俺のことをずっと観察している奴がいる?いやそんなまさか。恐怖と疑念でいっぱいになった西村は、ファイルを震える手で閉じようとした。
「ピシャッ」
突然一斉に照明もモニターも消えて、部屋は真っ暗になった。ギャッと悲鳴を上げて西村は完全にパニックになった。慌てて電気をつけようとあちこちのスイッチを押す。なんとか全部の電気をつけたころには、冷や汗でびっしょりになっていた。こんなところはもうごめんだ。早く逃げ出そう。西村は、もう先に記録簿を書き、今日の仕事は終わったことにしようとした。急いで記録簿を開こうとしたが、間違えて例の文書をクリックしてしまった。それは更新されていた。
7月16日 見てるぞ
警備室に叫び声が響いた。
監視しているとき、人はまた監視されているのかもしれない。
OBSERVATION 南サザ @yput
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