第4話
「嘘…だろ?」
魔法少女となりジャークナーの手下と戦った俺に…
世間は冷たかった。
警察の取り調べでクタクタになりながらアパートに帰宅、すると俺の部屋のドアに紙が貼られていた。
『迷惑行為が確認された為、一週間以内に立ち退きをお願いいたします。 6月20日 大家』
「いやいやいや俺が何したよ…」
大家さんに急いで電話をかけてみたところ、俺の部屋から大音量でエロゲーの音声が流れた事が原因…。
猫にビックリした時にヘッドホンが外れパソコンから大音量であえぎ声。
更に猫がガラスを突き破ったせいで外に丸聞こえになったのだ。
俺のせいじゃないのに…
犯人の猫は戦い以降姿が見えないし…
住む場所が無くなった俺は、なくなく実家に帰ることとなった。
「…ただいまぁ」
小さい声で家に入り、誰にも会わないように足音を立ず自分の部屋へ向かう。
俺の部屋は二階の奥にある、そして手前には妹の部屋。
階段を上っていると、
『ガチャ』
手前の部屋のドアが開く。
「ちょっと飲み物持って来るから待ってて」
見上げるとそこには妹の姿。
ロングの茶髪にスタイル抜群な胸、スカートから見える足はスラッと長く、顔だって超絶可愛い。
高校に入ってからはファッション雑誌のモデルもやっているみたいだ。
そんな可愛い妹、俺の位置からスカートの中が丸見えだ。
妹は此方に気付くとスカートを抑え、
「ちょっ! スカート覗いたでしょ! 変態!! つーかなんでキモ男が家に居るの!?マジキモいんだけど! 最悪!」
「ア…アパート解約されちゃって…」
妹の顔からさっと血の気が引く。
「…え? まさか…またこの家に住むつもり?」
「…」
俺は無言で首を縦に降った。
「嘘でしょ…マジで最悪…今友達来てるんだから部屋から出てこないでよ。あんたみたいな身内が居るのバレたら恥ずかしくて学校に行けなくなる」
そう言うと妹は階段を降りてきて俺の横をすり抜けていく。
すれ違いざまに妹が、
「死ね」
と呟やいた。
「…」
俺は自分の部屋に入り、
「はぁ、何でこうなったんだ…」
昔は『お兄ちゃんお兄ちゃん』としたってくれていたのに。
「あんな可愛い妹とこんな不細工な男が兄妹なんて信じられないにゃ」
「あ? 妹とは血は繋がってないんだ…ん?」
俺誰と会話してんだ?
声のした方に目を向けると、ベッドでくつろぐ猫の姿。
ちょうど良いサンドバッグ発見。
全ての元凶はコイツ…ぶっ殺す!
俺はベッドに近づき猫を見下ろす。
くつろいでいる猫の顔面を『ガシッ』っと掴み持ち上げると、オナニーで鍛えた右手に力を込める。
『メキメキメキメキッ』
「え? え?! ちょっ! 何するにゃ!?痛いにゃ! 離すにゃ!潰れる ! 頭が潰れるにゃ!」
「知ってるか? 俺はテメェのせいで酷い目にあったんだからな?」
『メキメキメキメキッ』
「待つにゃ! 僕が死んだらソフィーナってエロゲーの女の子は手に入らないにゃ! それでも良いのかにゃ!?」
くっ…
ドスケベエルフのソフィーナちゃんは俺の嫁になる女性、画面から出てきて貰わなくては困る。
「ちっ、許すのは今回だけだからな?」
「絶対にピュアな心の持ち主じゃないにゃ…選ぶ人間を間違えたにゃ…他の2人は良いにゃぁ、ちゃんとしたピュアな女の子と魔法少女の契約出来て」
「自分の責任で選んだんだから文句言うなよ、純真無垢なピュアな心が傷付くだろ。大体2人の魔法少女より俺の方が強かったじゃねえか」
「あれは敵との相性が悪かったにゃ。あの豚の怪物は魔法耐性が強かったからしょうがないにゃ。逆に物理耐性の強い敵にはあの2人の攻撃が有効でホワイトの攻撃は効かなくなるにゃ」
「そんなソシャゲの相性みたいなのあんのかよ。そもそも何人倒すとソフィーナちゃんは嫁に来るんだよ」
「倒す敵は首領のジャークナー、大幹部の四天王4人、その部下が240人にゃ」
「ちょっと多くないか? …けど全員倒したら2450万円+ソフィーナちゃんが貰えるのかぁ」
悪く無いな、雑魚が多いのは逆にラッキーか。
「あ、言い忘れてたにゃ。部下は1人10万円だけど四天王は1人100万円、首領のジャークナーは1000万円貰えるにゃ」
「全員倒したらソフィーナちゃんと即新婚生活スタート出来るじゃねぇか!」
『バン!』
ドアが開かれる。
「うるさい喋るな息をするな」
俺を睨み付け隣の部屋に声が漏れないよう小さな声で怒鳴られた。
そして部屋のドアを閉めるときに、
「お願いだから早く死んで」
「…昔は慕われてたって言ってたけど、何であんなに嫌われたにゃ?」
「あれは…誤解なんだよ…必死に説明したけど…誰にも理解して貰えなかった…」
36歳童貞、魔法少女になる 叉焼 @ajisio3
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