エピローグ 聖女密着ドキュメンタリー 〜俺と聖女の十年後〜
十年後。
「ねー、パパまだ〜?」
「ママー! パパ遅いよ〜」
「おいトオル! 何してんだ、早くしろや!」
「ご、ごめんラーナさん」
「本当にとろいんだからな。祭典に遅れちまうじゃねえか」
十年前の学祭の後、俺とラーナさんは結ばれた。
急に俺がクラッと来て、勢いのあまり押し倒してしまったからだ。
今では子供も三人いる。
よそよそしかったあの話し方も、俺だけには気を使わずに普段のままのラーナさんを見せてほしいと言った所、急に態度が激変した。
とはいえ、口調が変わったからといって、実は俺と子供達には優しいんだ。
その分、他人には厳しいが。
「パパ〜、かめらまんのお仕事うまくいってよかったね」
「あぁ、ありがとう」
「ふ、あたしのお陰だからな。感謝しろよ」
カメラマンとして栄誉ある最高の賞を受賞したんだ。
俺のチャンネルも今では登録者が千万人を突破し、いつのまにか身元もバレた。
親父を越えるカメラマンにはまだなれてはいないが、あと数年もすれば目標に到達できるはずだ。
あー、それと魔王とは上手く和解できた様だ。
実際に会って分かったが、案外良いヤツだった。
「エルフの勇者よ! お前に惚れた。結婚してくれ」
結局、魔王はラーナさんから勇者のエルフの女の子に鞍替えし、無事に結ばれた。っと、そんな事を思っている暇は無かったな。
配信の時間だ。
「ラーナさん、配信始めますよ」
「この祭典のためにとっておきのドレスを着てやったんだ。美しく撮れよ」
「もちろんですよ。ではカメラ回します。3、2……」
〜FIN〜
悪役聖女密着ドキュメンタリー 〜聖女の日常を配信したらバズりすぎて最高のカメラマンになりました〜 上下サユウ @TamanJi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます