あとがき

この『かっぱの宅配』は、筆者である私自身のある身体的特徴から着想を得たものです。


具体的にどういう特徴かを書くことははばかられますが、気付く人もいれば気付かない人もいる…そのくらいの特徴です。


私自身、その特徴をすごく気にしていた時期がありまして、なんとか自力でどうにかできないものか…とムダな努力を繰り返しておりました。

なにしろ、「それを気にしている」ということ自体、他人には知られたくなかったもので。誰かに相談したことすらなかったですね。


『若草物語』のエイミーが寝るときに自分の鼻を洗濯バサミで摘むようなものかな? 違うかな。初対面の人から“整形”を勧められたこともありました。その時は「いらんことを言うな」と思いました笑

“良かれと思って”のスケールが『でかすぎる人』ってたまにいると思います。


この小説はそういう経験から切り取りました。

あんまり、自分の経験から切り取ることはしたくはないんですけど。

他にも着想の元になった原因は色々。


作中、カッパの配達員がおどけるシーンは『かつて自分がやったこと』です。そして、サチ恵が自己嫌悪に陥るシーンは『かつて自分がやられたこと』。

「……コレ、傷付くの逆じゃない?」と思うシーンは日常の中にたくさんあります。


今現在も、私は特に変わりなく『そのままの形』で生きております。なんか、ある日突然気にならなくなったもので。

ただ、気にならないは“傷付かない”ではありません。


傷付くことに慣れる。

居やしません、そんな人。


作中のカッパは『他人から疑われること』にはもう慣れてしまっています。自分が本当に河童であるかどうかを疑われること自体は、カッパは特になんとも思っていません。

カッパが河童であることは、カッパからしたら疑いようのない事実なので。


でも、疑われて『常に傷付いて』います。

そして、それは“”。

そういうのって、本人以外は知り得なかったりすると思うのです。


『そのことで悩むのは本人なのだから、本人がなにも言わんのなら、放っといてほしい』


この小説で言いたかったことは、そんな感じです。世の中、サチ恵みたいにいいヤツばかりじゃありませんからね。


ちなみに、登場人物を『カッパ』にしたことに特に意味はありません。

好きな妖怪なんですカッパ。

元々は『水の神様』なのだとか。


また、同じテーマで違う作品を書きたいと思っています。それだけの価値があるテーマだと思っています。





 『かっぱの宅配』あとがき

 …終わり

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かっぱの宅配 アマノヤワラ @sisaku-0gou

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